東赤石山・・2/2

 しばらく休んでから、山荘の管理人に直接八巻山へ登る登山口を教えてもらう。管理人は親切に登山口の前まで案内してくれた。もっとも小屋の玄関前から2、30mしかないが、標識がないので分かりにくい。

玄関前から2、30mほど戻った左手に「幕営禁止」の表示がある。その先5,6mの所に細い道がある。(ここがD分岐)

 ここから八巻山を登って行く。岩に付けられたペンキ印やロープがあるのでルートを見失うことはない。

 私はこの山にしか咲かないというオトメシャジンが一輪ぐらい咲いていないかと目を凝らすが、それらしいものは見当たらなかった。
 ただコウスユキソウがドライフラワーになって風に揺られていた。
 稜線のコルへ近づくと、ネットで見覚えのある大きな岩が見えて来た。
 この岩の手前が稜線分岐(E分岐)になっているが、ペンキ印だけで標識はない。(詳細は手前の写真を拡大)

 ここから右手の八巻山・本峰の登りになる。岩場を両手両足の四駆で登って行く。アルペン的になって来た。ルートは岩稜を登らず裏側を巻いて行く。

 途中から正面に待望の東赤石山が見えて来た。スーと立ち上がった山容が美しい。私はこれが見たくてわざわざ八巻山経由を選んだのである。

 東赤石山が見えると2、3分で山頂へ着いた。山頂には「八巻大権現」が奉ってあった。

(岩場を登る)

(やっと東赤石山が見えた)

(山頂の八巻大権現)

 私はこの山頂から見る東赤石山が一番いいかと思っていたが、手前のピークが少々邪魔をしている(写真左)。あのピークまで行けばもっと良く見えるだろうと、休憩もせずに歩き出す。

 そして、ゴジラの背のような岩場を越えて行くと、目の前にドガーンと東赤石山が聳え立っていた。オー、これよ、これこれ!これが見たかったのよ・・・!

 ここから岩の隙間に咲いていたマツムシソウやリンドウなどを眺めながら下っていくと、赤石越の分岐(F分岐)があった。

 ここから、東赤石山への登りになる。森林帯を登り岩場を登ると10分ほどで、私を待つ?ご夫婦がいる山頂へ着いた。

 このご夫婦は私が山頂まであと5、6mという時、上から「写真を撮って上げましょうか」と声を掛けてくれたので、「お願いします」と答えると、「私達も撮ってほしいんですよ」とのことだった。

 そして、私が息を切らして山頂へ着くと、「さあ、撮りましょう」という。私は「水を飲む位待ってくれ」というと、「待てないんですよ。もう下るから・・・、もう随分待ったんですよ・・」とのこと。私は待ってもらった覚えはないが、要はシャッターを押してもらいたいので私が来るのを待っていただけなのだ。

 それにしても山屋なら、相手が息を切らしているのにシャッターを押してくれはないだろう。水を飲むのも待てないなら人に頼むなつーの!

 この夫婦が下ったので、山頂は一人占め。ここからは今下って来た八巻山と、その奥に前赤石山が見えた。前赤石山も西赤石山も同じように三角錐をしている。

(東赤石山からの展望)

 ここで昼食にしたが食欲はなく、コンビニのオニギリを1つ食べるのがやっとだった。
 今朝起きた時は寝不足で頭がクラクラしたので登るのを止めて帰ろうかと思ったが、無理して登って来て良かったと思った。

 一服してから三角点まで行って見た。三角点はこの少し奥にある。「約100m、5分」と聞いていたが、実際は5,60mで3分ほどで着いた。

 三角点の周りは少しなだらかになっているので、大勢で休むには良さそうだ。

 写真を撮っただけで引き返す。再び山頂へ戻ると、すぐに男性5人のパーティーが到着。しばし山談義。

 ぼちぼち下ろう。11時45分。
 山頂から8分ほどで赤石越の分岐(F分岐)へ着いた。ここから左の山荘方面へ下る。岩と石がゴロゴロした涸れ沢のような所を下って行く。周りは低木と高山植物であるが、今は草紅葉である。


(G分岐)

(H分岐)
 10分ほどで次の分岐(G分岐)へ着く。ここは「権現越・筏津(瀬場)」方面へ。

 ここも石や岩がゴロゴロした下りである。道がなだらかになると、次の分岐(H分岐)があった。ここは下ばかり見ていると見落としやすい。小さな表示板が枝にぶら下がっているだけだ。

 ここからは縦走路と離れて下って行く。相変わらず石や岩が多い。

 しばらくすると紅葉が良くなって来た。日当たりが良いせいだろうか。

 2、30分ほど下ると沢へ出た。しかし、水はチョロチョロ。これが渡渉地点だとは思えない。
 さらに下って行く。左手の沢音が大きくなり、やっと渡渉地点へ出た。ここで顔や頭を洗って一服。

 ここからは檜の樹林帯を下って行く。今は樹木の間から日が差し込んで明るいが、日が陰ると薄暗く、気味悪いだろう。

 沢へ出た。飛び石で簡単に渡った。

 やっと今朝の分岐(B分岐)へ出た。13時38分。ここからは今朝歩いた道なので安心だ。
 朝飲んだ水場でゴクゴク水を飲んだ。(14時ジャスト)

 瀬場・筏津の分岐へ14時6分着。
 瀬場登山口へ14時18分着。

 この東赤石山は総じて、渓谷あり、森林帯あり、岩場あり、紅葉も良く、変化に富んだ山だった。
 それも八巻山を登ったからであって、もし東赤石山だけの往復だったら、この山の魅力は半減してしまうだろうと思った。

 帰りに筏津山荘へ寄ってうどんを食べた。
 ご主人に高速へ乗るにはどの道がいいかを尋ねると、
「そりゃあ、R319へ出て川島川之江ICだよ!」と教えてくれた。

 ご主人の言う通り2車線で快適なドライブが出来た。今朝来た別子ラインとはえらい違いだった。別子山村は伊予三島市へ出るのがメインルートで、新居浜へ出るルートは裏道だったようだ。