石狩岳 (いしかりだけ)

(1,967m、北海道)  199座

石狩の肩(分岐)から見た石狩岳

シュナイダ−コ−ス登山口〜石狩岳・往復

2012年7月22日(日)

糠平温泉の宿320−342十勝三俣−404シュナイダーコース登山口425〜513渡渉点〜845石狩の肩(分岐)855〜955石狩岳1003〜1012最高点(昼食)1046〜1056山頂1105〜1131石狩の肩1135〜1348渡渉点〜1420登山口

 日本200名山もいよいよ大詰めを迎え、残すは石狩岳とカムエクの2座となった。今年はこの2座を登って一気に「日本200名山完登!」と意気込んでいたが、カムエクの林道が今年いっぱい通行止め(橋が崩壊)になってしまい、石狩岳のみの遠征となり、日本200名山完登も来年まで”おわずけ”である。

 その石狩岳であるが、私はこの山が日本200名山だと知った時、てっきり石狩平野近くにあるのだろうと思ったが、北海道のド真ん中よりもわずかに東側の東大雪にあって驚いた。
 石狩岳は東大雪の中核をなす石狩連峰の主峰で、石狩川(日本海)と十勝川(太平洋)の分水嶺になっているという。石狩川が表大雪山や上川、旭川を回り込んでいるとは知らなかった。

 石狩岳は表大雪に比べると斜面が急峻で雪田もお花畑も規模が小さいという。高山植物は余り期待で出来そうもないが、逆に切っ立たアルペン的な景観が楽しめるかもしれない。

 昨日、羽田から帯広へ来て、糠平ぬかびら温泉の”ペンション森のふくろう”へ宿泊。源泉掛け流しの湯に浸かり、バルコニーで生ビールを飲んで英気を養った。

 明日は石狩岳へ登るぞ〜!


 今朝は3時20分にペンションを出発。R273を十勝三俣へ向かって行く。約20分で登山道入り口で、そこには「音更山・ニペソツ山・石狩岳」等の標識が立っている。

 ここからは砂利道になり、すぐにニペソツ山との分岐があった。これを左手に見送って進んで行くと、右手にユニ石狩岳の登山口らしい所があった(標識はなかった)。
 さらに進んで行くと道がY字に分岐し、右手の前方に車が見えた。ここが石狩岳・シュナイダーコースの登山口だった。車がすでに4台あったのでホッとした。たった一人では寂しいからだ。

 私が車を止めると隣の車からご夫婦が降りて来た。どうも車中泊だったご夫婦を私が起こしてしまったようだ。このご夫婦と挨拶を交わしていると、さらに別の車からオジさんが降りて来た。ほとんどが車中泊のようだった。

【写真は帰りに撮ったもの】
(右:シュナイダーコース登山口、駐車場、簡易トイレがある)
(左:岩間温泉へ)

 今日はまだ誰も登っていないと言うので、ゆっくりと準備をする。一番乗りは熊が怖いからだ。
 しかし、私が準備を済ませて一服していても誰も出かける様子はない。仕方なく「熊が怖くて北海道の山が登れるか!」と、自分を奮い立たせて出発した。(4時25分)。

 駐車場から目指す石狩連峰が見えた。私は左手のモッコリした山が石狩岳だろうと思って何枚も写真を撮ったが、石狩岳は右側のボッテリした方だった。

 駐車場の奥に登山口がある。まずは石段を登って10mも行くと祠があった。安全を祈念して両手を合わせて行く。

 二十一の沢に沿って森林の中を進んで行くと、10分ほどで沢へ出た。そそっかしい私はこれが渡渉点だと思って渡渉したが対岸に道が無い。しばらくウロウロしてから引き返す。考えてみれば、渡渉点は約1時間ほど歩いた先にあり、こんな近くにあるはずはないのだが・・。

 沢から引き返すと、涸れ沢の所にしっかりと赤テープがあった。ヤレヤレ・・・。ここからは赤テープに導かれながら進んで行った。

 今日は一番乗りなので熊に遭遇しないように時々ホイッスルを吹きながら歩いて行く。

 涸れ沢からササになった。ヤブコギというほどではないが、ササが道を覆っている所もあり、ストックで掻き分けながら進んで行く。ササダニが心配だ。昨年はペテガリ岳でササダニに食いつかれ、病院で取ってもらたという苦い経験がある。
 沢へ出た。今度は本当の渡渉点である。ここは倒木があって簡単に渡ることが出来た。渡った先に標識があり、何の憂いもない。

 10分ほど平坦な道を行くと、「石狩岳4.5K」という標識と、「シュナイダーコース開削25周年」の表示があった。

 ここから尾根へ取りつく。稜線まで約4時間の登りっぱなしの急登の始まり始まり・・・、と思ったが、さほどの急登ではなく助かった。

 とはいえ30分も登ると、もう汗だくだった。私が休憩していると駐車場で挨拶した単独のオジさんが追い着き、先に登って行った。これで私はやっと熊の恐怖から解放された。

 再び歩き出して2、3分もすると支尾根へ出た。そして左前方の樹間から石狩岳が垣間見えた。

 ここからはヤセ尾根を登って行く。尾根のため緩急こそあるが驚くほどの急登ではない。どこにでも有りそうな登りだった。しかし、私が持っているガイドブック「日本200名山を登る」(昭文社)には、「両手両足を使い四輪駆動の掛け声付き登行」と書いてある。この先に目もくらむような急登が待っているかも知れないので安心はできない。

 小さな岩場を越えた所から石狩岳がバッチリと見えた。

 時々、ササを掻き分ける所があった。さっき、ダニ防止のために着ていたヤッケを暑くてたまらず脱いでしまった。もうダニなどかまっていられない。

 左前方の石狩岳の稜線や残雪がクッキリと見えるようになって来た。ここから見ると北岳のバットレスを見ながら右股を登っているような気がする。もっともスケールでは北岳にははるかに及ばないが・・・。いづれにしても早くあの頂きに立ちたい。

  (正面のピークは山頂ではない。山頂は右にあるがまだ見えない)
 突然、左手に槍ヶ岳のような尖峰が目に飛び込んで来た。「お〜、ニペソツだ〜!」と歓声を上げた。ニペソツは見るからに尖峰で貫録十分だ。私は10年前から「日本20名山に入れたい名峰だ」と公言している。ニペソツ山は見ても登っても良い山だ。

 それに、ニペソツ山を登っている時は、手前の天狗岳がなぜ天狗なのか分からなかったが、ここから見ると天狗に見えないこともない。

 ニペソツ山に元気をもらい木の根や枝に掴まりながら登って行く。1、2mほどのロープもあった。さらに登って行くと、左手に「かくれんぼ岩」と書かれた案内板があった。なぜ「かくれんぼ岩」なのか分からなかった。

 その「かくれんぼ岩」から5、6mも行くと、本格的な岩場が現れロープがぶら下がっていた。


(岩場)

(木に掴まって登る)

(ロープがある岩場)

 途中でペットボトルをデポしていく。ピストンの時は水を全部持ち歩く必要はない。下りで目印になる所へキープした。この丸太(写真右)なら絶好の目印になるだろう。

 8時24分、大分稜線が近づいて来た。
 このコースは、確かに「両手両足の四駆と掛け声付き」の所もあるが、それは登山道が整備されておらず、木の根が張り出している所を跨いだり、えぐれた所を避けて通るためである。決して、天に向かって一気に登る急登の連続という訳ではない。

 周りの視界が開け、ニペソツは依然、堂々と聳え立っている。奥に見えるのはウペペサンケだろうか。

 周りがハイマツ帯になり、そのハイマツを掻き分けて行くと、稜線へ飛び出した。出たぞ〜〜!!ついに石狩の肩へ到着。正面には表大雪山が横たわり、右手には音更山、そして左手には、目指す石狩岳がドカーンと横たわっている。重量感あふれる山容だ。

 表大雪に雲がかかっているのが残念だ。ニペソツにもわずかに雲が流れていた。


(肩からの石狩岳)

(ニペソツ山にはガスが・・・)

(表大雪)