石狩岳−2/3

 標識の3、4mほど手前のハイマツの下に珍しい花があった。下を向いて咲いているので這いつくばって写真を撮った。初めて見る花で、どうもリンネソウらしい。コマクサもわずかに咲いていた。

 ここから山頂までは約1時間のコースである。「サア、行くゾ−!」と気合を入れて歩き出すと、何とコマクサの群落があった。バンザ〜イ! こんなコマクサの群落を見たのは久し振りだ。北燕岳以来だろうか。



(リンネソウ)

(コマクサー1)

(コマクサー2)

 鞍部から緩やかな登りになった。盛りを過ぎたマルバシモツケが沢山咲いていた。イワブクロ(別名:タルマエソウ)の群落があったが、登山道から遠くて写真が撮れなかった。

 しかし、そのイワブクロもすぐに道端に咲くようになり、やがて群落になって来た。エゾツツジも咲いている。

 北斜面から南斜面へ出ると、花のオンパレードになってきた。石狩岳は花畑の規模が小さいというので期待していなかったが、この花畑は見事というしかない。
 花の写真を撮りながら登って行くので、なかなか前へ進まない。逆にこんな素晴らしい所をスタスタ歩いてしまってはもったいない。

 シナノキンバイのような黄色の花は、チシマキンバイソウだろうか。そのキンバイソウの花畑の中を登って行く。遠くにエゾカンゾウの群落もあった。




(エゾマルバシモツケ)

(イワブクロ:別名タルマエソウ)

(エゾツツジ)

(チシマキンバイソウ)

 山頂まであと5,6分だろうと思った時、雲とオバさんが這い上がって来た。背後からガスが流れ、そのガスの中からオバさんが突然現れたのでビックリした。今朝、駐車場で挨拶したご夫婦のオバさんだった。旦那さんは少し遅れているようだ。

 石狩岳の山頂へ9時55分、ついに到着。さっきのオバさんが出迎えてくれた。

 本来なら大パノラマが広がるはずだが、今しがた流れ出したガスでニペソツも音更も見えなかった。わずかに表大雪が見えるだけだった。
 ここで一服しただけで、すぐに最高点へ向かった。

 この標識がある山頂は1966mで、10分ほど進んだ先に1967mの最高点がある。やはり最高点へ立たなければ意味がない。

(写真:標識が立った山頂からの最高点)

 その最高点は、ただケルンが積まれているだけだった。私はこの最高点を1人で貸し切って昼食にした。

 私が昼食を済まして一服していると、単独の男性が登って来た。旭川から来たというその方は、駐車場から3時間半で来たという。凄い健脚だ。

 いつの間にかガスが切れ、川上岳やニペソツが見えるようになって来た。糠平湖まで見えたが、一番見たかった表大雪のトムラウシは雲の中から姿を見せない。


(最高点からの小石狩岳、川上岳方面。後方にニペ)

(最高点から山頂を振り返る)

 さて、ぼちぼち下ろう。私が下り出すと、空身で登って来る3人に会った。山頂の手前からシュナイダーコースが見えた。
 再び標識がある山頂へ立った。ザックだけがデポされ人陰はない。ここから見る音更山やポン音更山が堂々と見えた。知り合いから「石狩岳へ行くなら、ぜひ音更山も登った方がいい」と言われていたが、もう石狩岳を登れば充分だ。早く宿へ帰って生ビールでも飲もう。


(音更山とポン音更山)

(音更山とユニ石狩岳)

(シュナイダーコースのヤセ尾根)

 ここからは一気に降りた。石狩の肩で振り返って石狩岳と最後のご対面。「石狩岳よさらばじゃあ〜!」
 ここからはもう何も考えることはない。ただひたすら下って行く。登りでデポしたペットボトルを回収し、ついでに一服して行く。

 すさまじかった斜面が、やっと緩やかになり、2足歩行で下れるようになった。
 左右から沢の音を聞きながら下って行く。沢から吹き上げる風が心地よく、つい休憩してしまう。

 やっと尾根から離れ、沢へ向かって下って行く。とは言え、沢へ向かって一直線に下る訳ではなく、ジグがあるので楽チンだ。
 沢音がだんだん大きくなり、ついに沢が見えた。もうすぐだ。
 渡渉点へ出た。沢の冷たい水で手と顔を洗った。「あ〜、生き返るなァ〜!」

 駐車場へ14時20分着。往復約10時間だった。足の遅い私に取っては上出来だ。

 糠平温泉の”ペンション森のふくろう”へ着くなり、生ビールを注文。バルコニーで一気飲み。 グビグビ、プア〜。これがあるから山は止められねぇ・・!

 今回の石狩岳は、一番心配したシュナイダーコースが思ったほどの急登ではなく助かった。あの程度の登りならどこにでもある。所々に両手両足の四駆でないと登れない所もあったが、それは登山道が整備されていないため、木や根っこなどが多かったからで、笈ケ岳のジライ谷のようにザックを置いたら転げてしまうような急斜面はほとんど無かった。

 また、高山植物も多く、想定外の花紀行になった。

 「ペンション森のふくろう」のご主人が、「来年はニペソツの年なんですよ」という。来年は2013年で、ニペソツ山の標高が2013m(正しくは2012.7m)だからだと言う。
 来年、つまり2013年に、2013mのニペソツ山へ登り、電話番号が(01564-4-)2013のペンション森のふくろうへ宿泊する、という山行はいかがだろうか。ペンションでは登山口まで送迎してくれるそうです。
 ニペソツ山は見ても登ってもいい山です。ペンションもお洒落で素敵です←お勧めです。
石狩岳はまだ続きます。