祝瓶山 (いわいがめやま)

(1,417m、山形県)


(東北のマッターホルンといわれる祝瓶山、裏面は今回のコ−ス)


祝瓶山荘〜桑住平〜祝瓶山〜赤鼻〜桑住平〜祝瓶山荘

2013年7月1日(月)

長井市内420−525祝瓶山荘552〜557カクナラ橋〜639桑住平645〜(途中道迷い)〜1050祝瓶山1130〜1147鈴振尾根分岐〜1318赤鼻分岐1337〜1435桑住平1448〜1523カクナラ橋〜1535祝瓶山荘

【プロローグ】
 もう15、6年も前になるが、朝日連峰へ行った時、南方に見えたこの山の異様な山容が忘れられない。尖峰でありながら小さな吊尾根を持った独特の山容が今でも脳裏に焼き付き、一度は登って見たいと思っていた。

 それがこんなに早くチャンスが来るとは思わなかった。
 それは6月に入って間もない頃、家内が「今年は山形へ行かないの・・・?」と聞いて来た。「山形!どうして?」と私が聞くと、家内は「山形のサクランボが美味しかったから・・・!」という。
 それは、一昨年、以東岳へ行った帰りにお土産にサクランボを買って来たが、「それが美味しかったので、また食べたい!」というリクエストだった。

 私は迷わず山形の祝瓶山へ行くことに決めた。そして、すぐにでも飛んで行きたかったが、サクランボの時期は6月下旬から7月上旬という期間限定なので、じっとこの時を待っていたのである。

【登山口までは最悪路、命がけの運転】
 昨夜は長井市内の安っぽいビジネスホテルへ宿泊。朝4時20分に宿を出た。
 途中のコンビニで買い出しをしてから長井ダムをめざして行く。外はすっかり明るく天気もよさそうだ。

 長井ダムを過ぎると三角形の山が見えて来た。祝瓶山だ! 思わずテンションが上がる。

 木地山ダムまでは舗装こそしてあるが、一車線のくねった道でガードレールはない。片側が崖で山側はフタのない排水溝になっており、崖に落ちれば一巻の終わりである。排水溝へ脱輪しても脱出に苦労するだろう。とにかく対向車が来ないことを祈った。

 この先に民家はないのでこんな時間に下って来る車もないと思うが、もし、対向車が来たらそれこそ命がけのバックになってしまう。こんな危険な道だとは思わなかった。

 木地山ダムサイトで車を止め祝瓶山を眺める。ここから見る祝瓶山はマッターホルンというよりもピラミッドのように見えた。

 ここからも対向車が来ないことを祈りながら、くねった道を登って行く。とにかく道が狭く待避場所も少ない。これほど厳しい道は珍しい。
 森林帯からパッと開けた所へ出ると祝瓶山荘があり、ホッとした。車は一台も止まっていなかった。

 それにしても、ここまで来るのに本当に命がけの運転だった。水をガブガブ飲んだ。

【いよいよ祝瓶山へ】
 電話ボックスの中にあった登山簿を見ると、昨日も一昨日も一人ずつしか登っていなかった。祝瓶山は日本300名山であり、しかもヒメサユリが咲くこの時期に登山者が少ないのは意外だった。今日も一人ボッチかも知れない。

 記帳を済ませ、すぐ脇の林道を歩いて行くと、すぐに道幅が狭くなって登山道になった。
 山荘から5分ほどで標識と熊注意の看板があり、その先に吊橋があった。橋を渡る前に保険のつもりで熊鈴をつけ、ホイッスルを首からぶら下げた。ここは山深く、本当に熊が出てきそうな気がしたからだ。

 有名な吊橋・カクナラ橋を渡って行く。かなり揺れるが楽しい。「三人以上は乗らないように」と書いてあった。

 橋を渡って2、3分も行くと、左正面にめざす祝瓶山がバッチリと見えた。心配した山頂直下の雪渓もほとんどない。

 時々、クモの巣が顔にからむ。これは一番乗りの勲章だと思っても、やはりわずらわしい。

 吊橋から20分ほど歩いてから、ザレ場をトラロープで沢へ降りる。そして沢の右側のブナ林を歩いて行く。道はなだらかだが、湿度があるせいかもう汗でピッショリだ。

 祝瓶山がさらに大きく見えるようになると、小さな沢を渡渉。靴を濡らすようなことはなかった。

 桑住平の分岐へ6時39分着。「え、もう着いたの?」という感じだった。ここで一本立てて行く。
 標識には、「祝瓶山荘から2Km、祝瓶山2Km」と書いてあった。もう半分来たことになるが、ここからの2Kmがいかにシンドイかを思い知らされることになる。

【桑住平から直登コースを行く】
 分岐からすぐにカクナラ沢を渡渉。ここも飛び石で渡る。すぐにキャンプ跡地があった。
 その後、ヌルミ沢を飛び石で渡り、倒木を跨いだり潜ったりしながら進んで行く。

 次の小さい沢を一跨ぎすると、周りがブナになり斜面も急になって来た。
 道は次第に急峻になり、ただひたすら登って行く。

 ザレ場から左手にスラブが見える。
 パーと展望が開け、正面に祝瓶山が、右に大玉山?、その奥に朝日連峰の主脈が見える。あれは何だろう。「ここでも水分補給だ!」と座り込む。

 さらに登って行くと、今まで大玉山だと思っていたピークの後ろに、本物の大玉山と思われるピークが見えて来た。ということは手前のピークは1319mピークということになるのだが・・・。あそこから見る祝瓶山が素晴らしいという。今日は絶対にあの1319mまで行くぞ〜!とテンションが上がる。しかし、足の方は一向に進まない。急峻な登りにあえぐ。


(大玉山方面)

【登山道はヒメサユリ・ロードに!】
 白いコメツツジとウラジロヨウラクに励まされながら登って行くと、今度はヒメサユリが出迎えてくれた。感激!嬉しい!!

 それに、イワカガミも咲いていた。下の方は咲殻ばかりだったが、標高が高くなったので残っていたのだろう。

 ついに大朝日岳が見えて来た、と思ったが、それは大朝日ではなくどうも中岳のようだ。
 ヤマツツジが咲いている所でオヤツタイム。今日は米沢で30度以上になるというから、頻繁に水分を補給して行こう。

 ここからはヒメサユリ・ロードになって来た。写真ばかり撮って前へ進まない。

 ヒメサユリ・ロードはまだまだ続く。これほどの群落を見るのは初めてだ。ヒメサユリは浅草岳や守門岳にも咲いていたが、全くオヨビデナイ。