(2,414m、富山県) 171座
2009年9月12日(土)
自宅−750相模湖IC755−(中央道・長野道・北陸道)−魚津IC−1430片貝山荘(泊) |
先週に引き続き今週も北陸遠征である。今回は日本200名山の中でも手強い山の一つと言われている毛勝山である。
毛勝山は以前は登山道がなく、積雪期か残雪期しか登れなかったが、7、8年前に北西尾根が開拓され無雪期でも登れるようになった。
しかし日帰りするには健脚者に限定され、私のような足の遅いカメさんには到底むりなので、キャンプの達人Nさんに同行してもらい山中で幕営することにした。
北西尾根については色々と情報を集めたが、どうしても分からない点が幾つかあった。その1つは「モモアセ山」がどこにあるのかである。ある人は1769mをモモアセ山といい、ある人は2023m をいい、さらにはそのいずれでもなく別にあるという人もいた。
2つ目は、クワガタ池と2151mピークとの配置関係である。クワガタ池が2151mピークの手前にあるのか先にあるのかが分からなかった。
そんなこともあって、今回はその不明確な配置関係をぜひ検証したいと思った。
今日は登山口近くにある片貝山荘泊まりである。Nさんと相模湖駅で8時に待ち合わせ、相模湖ICから北陸道を目指して行った。今日は関東地方は午後から雨で、長野や北陸はすでに雨が降っているとの予報だったが、笹子トンネルを抜けると雨が降ってきた。まあ、今日は雨でも明日・明後日が晴れてくれればいい。
北陸道を南下し魚津ICで降りる。コンビニで缶ビールや明日の朝食などを買い込んだ。
片貝山荘へ向かって走って行くと、正面に毛勝山らしきものが見えて来た。急いで車を止めて写真を撮った。後で調べてみたら一番左のピークが毛勝山だった。
第五発電所が右手の対岸に見えてきた。私はこの立派な建物が片貝山荘かと思ったが、これは発電所で片貝山荘は手前にあるボロ小屋の方だった。 |
登山口には赤いリボンが2つ付いていると聞いていたが、赤いリボンはなく緑色のテープがぶら下がっていた。 さらに小さな標識があった。標識といっても高さが30センチ位しかないので1m以上近づかないと文字は読めないが、確かに「毛勝山登山口」と書いてあった。 (帰る時は赤いテープもぶら下がっていたが、ここは見落としやすいので要注意) |
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登山口を確認したのでまずは一安心。そこから引き返し片貝山荘手前の路肩へ駐車した。片貝山荘へ1番乗りで入る。さっそく玄関の電源スイッチを入れて部屋を偵察。 4畳半と6畳位の部屋が3、4部屋。それに10畳、12畳、16畳位の部屋があった。 (写真は上流から見下ろした片貝山荘(手前)と第五発電所(奥)) |
我々は2階の小部屋で早速宴会を始める。16時ごろになって隣の部屋へ入ったパーティーがいた。そのパーティーのリーダーらしい女性2人が、毛勝山の登山口を尋ねて来たので教えてやった。
夜になって雨になった。明日の朝までに止んでくれることを祈りつつ、眠りについた。
2009年9月13日(日)
片貝山荘−毛勝山登山口625〜7401060mピーク750〜10071479m三角点ピーク1020〜11551769mピークの手前で昼食1233〜1405池塘〜1500?クワガタ池の手前・幕営 |
朝4時起床。昨夜からの雨はまだ止まなかった。
それでも昨夜21時ごろに到着した7、8人のパーティーは、4時半ごろ出発して行った。我々はしばらく様子をみることにした。昨日、毛勝の登山口を尋ねに来た女性達は、早立ちで毛勝を往復する予定だったが、僧ケ岳に変更するとのことだった。
6時近くなって、やっと雨が止んだ。早速、ザックを担いで山荘を出発。
登山口へ着くと、50代の男性一人が出かける準備をしているところだった。車がないのでタクシーで来たようだ。我々が準備をしていると、福井ナンバーの車が入って来た。中年の男性2人組で日帰りだという。かなりの健脚者だ。
6時25分出発。歩きだしてすぐに福井の2人組に道をゆずる。
ここは約1時間急登が続くとは聞いていたが、まさに「聞ききに勝る急登」で半端ではない。先月登った北ア3大急登の1つといわれる合戦尾根など比べものにならない。急登の上、雨上がりで木の根や赤土が滑りやすく、トラロープや木の根っこに掴まりながら登って行く。
ここは、同じ北陸にある笈(おいずる)ケ岳のジライ谷と同じくらいの急登だと思った。
また雨が降って来た。小雨なので雨具の上着だけを着込む。ここで40代ぐらいの単独行が登って行った。しばらくすると、先に行った福井の2人組が下って来た。
「これじゃあ、登っても何も見えないから出直すことにしました」とのことだった。
時々、雨脚が強くなることがあった。早く止んでくれないかなぁ〜。
コースタイム1時間の登りを約1時間半かかってやっと登り切った。少しなだらかになり、尾根すじを登って行く。周りは大木が多く、見るからに原生林だ。こんな原生林に登山道を切り拓いた人達に心から感謝する。
急登を登り切ったところが1060mピークらしいが、ここはピークではなく「登り切ったところ」と解釈した方がいい。
ここからも小さなアップダウンを繰り返しながら登って行く。一時止んだ雨がまた降って来た。今度は雨具のズボンを穿いた。
8時30分、左手後方に砂防堤が見えた。だいぶ登ったような気がしたが、まだこれしか登っていないの〜。足の遅い私はやっぱりカメさんだ。
8時46分、1260m(誤差あり)のピークに着くと、さらに奥にピークが見えた。あれが三角点がある1479mのピークだろうか。
しばらくすると雨が上がって薄日が射してきた。
ここも木の根っこが滑って歩きにくい。少々へばり気味だったので、前を歩いているNさんに休憩を頼もうと思った時、Nさんから「三角点があったぞ〜」と声がかかった。
まずはここで小休止。頭上には青空が広がっていた。右手の山はまだガスって見えないが、左手はだいぶガスが切れて来た。
ここから、わずかに下ってまた急登になった。その急登を登り切ると、さらに奥にピークが続き、がっかりした。
10時45分、右手に大明神山が見えた。しかし、すぐに茂みの中へ入ってしまい写真は撮れなかった。
急登を登り切った所で一服。右手後方に大明神山、前方に毛勝らしき山が見えたが確信はなかった。
僧ケ岳(左)と越中駒ケ岳 |
北西尾根を見下ろす。日本海も見えた。 |
厳つい山が見えてきた。右がウドの頭 |
そこから5分か10分歩いた時、ダケカンバの大木があった。
しばらくして気が付くと正面に厳つい山が見えてきた。「ウドの頭」のようだ。
1769mのピークの手前のピークと思われる所で昼食にした。
食事が終わる頃、ガスが湧いて来た。そして、歩き出して10分もするとまた雨が落ちてきた。
大きな岩を回り込んだところが1769m地点だった(誤差があるので確信はないが)。これがモモアセ山だろうか。それとも奥のピークだろうか。とにかくここは際立ったピークはなく、ボッテリとした似たようなピークが幾つもあるので分かりにくい。
次のピークの急登を登り、さらに小さなピークを登って下ると草地のゆるやかな登りになった。ここで途中で我々を追い越して行った40代ぐらいの単独行が下って来た。なんと恐ろしいほどの健脚なのだろうか。彼に「モモアセ山」と「クワガタ池」について聞いてみたが、分からないという。ただ、「山頂へ行くまでに大きなピークが2つある」とのことだった。
14時5分、やっと草原らしくなって来た。でも稜線ではなく草地の斜面である。こんな斜面を草原というのだろうか。
左手に池が見えてきた。これがクワガタ池だろうか? 奥の方はガスって良く見えないがクワガタに見えないこともない。
時間からすれば、もうとっくにクワガタ池へ着いていなければならないのだが・・・。
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これがクワガタ池という確信がないので歩を進める。道は下りになり、笹が多くなって来た。本当にクワガタ池はこの上にあるのだろうか。ガスが一層濃くなり視界は7、80mしか利かず、しかも今どこにいるか分からないというのは不安だ。しかし、進むしかない。
今度は一気の登りになった。岩混じりの急登で、これは毛勝本峰の登りではないか、との思いがよぎる。もし毛勝山本峰の登りだとしたらモモアセ山もクワガタ池も通り過ぎたことになるのだが・・・。もしこのまま毛勝の山頂へ登り詰めたらそこへテントを張ればいい、と開き直った。
急登を登り切ると、そこは山頂ではなく、なだらかな草地になった。Nさんと今日はこの辺で幕営しょうということで一致した。今度はテントを張れる場所を探しながら歩いて行く。足元にはタテヤマリンドウが咲いていた。
道端に何とかテントを2つ張れるスペースを見つけ、そこへザックを置いて少し先まで偵察に行ってみると、なだらかではあるが下りになったので引き返す。
結局、モモアセ山もクワガタ池も検証できず、それどころかここがどの辺なのかも分からずにテントを張った。(実際はクワガタ池の手前、3分ほどの所だった)
ガスが濃く視界が悪かったが、雨が降っていないのが救いだった。テントを張り、外でNさんが持って来た鶏肉と野菜の水炊きで宴会を始める。山で飲む熱燗と水炊きは最高だった。
宴会の最中に、Nさんが突然歓声を上げた。ガスが切れて目の前にドーンと毛勝山が姿を現したのだ。二人で歓声を上げた。ここから見る毛勝山は、常念小屋から見上げた常念岳のような迫力があった。こんな近くで毛勝山の全景を見ることが出来て満足だった。今日一日の苦労が吹っ飛んだ。
しばらくすると、後立山連峰の鹿島槍から五竜、唐松、不帰、白馬三山から朝日岳までがシルエットになって見えて来た。ここは最高のロケーションだった。
日没が過ぎると急に寒くなり全身がガタガタ震える。宴会を打ち切ってテントへ入ったが、寒くて震えが止まらなかった。有りったけの衣類を着こんでシュラフへ潜り込んで、やっと震えが収まった。