古賀志山−2/2

 山頂から御岳山へ向かって鞍部まで下ると、そこに「赤川ダム2500M」という標識があった。これが「南コース」の分岐である。それを左手に見送って10mも行くと、さらに左へ入る踏み跡があった(下山はこの道を下った)。そこからわずかに登ったピークに朱色の鳥居があった。何を祀っているのだろうか。

 鳥居からわずかに下り、大きな岩を3つ4つ巻いて行くと、さらに大きな岩にぶち当たった。その岩を右から梯子で登って行くと、すぐに御岳山の山頂だった。


(@まずはこの岩を巻き)

(Aこれらも巻いて行く)

(Bそして岩と岩の間を登り)

(C梯子を登ると)


(D御岳山の山頂)
 御岳山の山頂には東稜見晴らしで会った地元のご夫婦がいて驚いた。見晴らしでは私の方が先に出発して来たのに、どこで追い越されたのだろうか。山頂で一服している時か、それとも別な道があったのか?

 ここからも高原山や日光連山らしき山が見えたが、上部に雲がかかって良く分からなかった。

 ここからは「直登コース」を下るため古賀志山へ引き返す。梯子を下った所で、来る時に巻いて来た岩をオバさん2人が登って来たのを見て、俄然ファイトが湧いた。あの岩にコースがあると知れば、是が非でも登って行こう。

 最初の岩は、反対側に鎖があった。
 次の岩は、少々手強いかな?と思ったが1、2m登ると左にしっかりした踏み跡があった。しかし、下りは鎖がなかったが、大したことはなかった。

 再び古賀志山の山頂へ立った。誰もいない山頂だった。風が強いので一番下のテーブルで弁当を広げていると、続々と登山者がやって来た。同じテーブルに座った中年のパーティーは地元の方だという。

 私が「直登コース」について訊いてみると、「どうせなら獅子落としコースを下った方がよいのでは!」とのアドバイスを受け、即採用。獅子落としコースを下ることにした。この「獅子落とし」とは、イノシシを追い落として狩りをしたという絶壁だそうだ。そう言えば群馬県にも鹿を追い落として狩りをしたという鹿岳(かなたけ)があった。

 下り道を教えてもらったので、意気揚々と南コース分岐まで下って行った。分岐から10mほど先(鳥居側)にあった踏み跡から入り、獅子落としの先端から5mほど手前を左に下れば階段コース(南コース)へ出られるとのことだった。

 教えてもらった通り、踏み跡へ入って行くと、すぐに小さな登りになった。この時、左手に道があったような気がするが巻道だと思い、真っ直ぐ登ってしまった。
 そして、登り詰めたピークは視界がパーと開け、「古賀志山大神」があった。

 幸い、近くでオジさんが一人で休んでいた。
 そのオジさんに、「獅子落としコースを下るつもりだったが、古賀志山大神へ来てしまいました!」、と不安そうに言うと、
「ここからも下れますよ。ここを下るとヒカリゴケの洞窟の所へ出て、階段コースへ出られます」と教えてくれた。

 分岐点について訊いてみると、「すぐ下の分岐を左へ進み、その後もとにかく左左と進めばいい」、と教えてもらい安堵した。オジさんにお礼を言って下り出す。
かなり急な斜面を3、40mも下ると、かすかに左へ行く道があった。「これだ!」と獣道のような細い道へ入って行く。

 すぐに、獅子落としの絶壁を正面から見るようになり、そして、その絶壁の基部を目掛けて下って行く。鎖やロープなどはほとんどなく、少々心細い。慎重に下って行った。

 そして獅子落としの絶壁の真下へ出て、V字型の涸れ沢を下って行く。時々、下れなくなって戻ると岩の反対側にロープがあったりした。

 必死で下りながら、ふと見ると正面に「モアイ像」と言われる岩が目に飛び込んで来た。お〜!モアイ像だ!と歓声を上げた。モアイ像はまだ遠く小さいが、あれは紛れもないモアイ像だ。

 実は今回の山行でこのモアイ像が見られるルートを選択したかったが、どうしてもルートが分からずに諦めた経緯がある。これは、まさに怪我の功名である。

 写真を何枚も撮りながら、こんなイヤラシイ道を下って来た甲斐があったと思った。

 下るに従ってモアイが益々大きくなって来た。そして、モアイを見上げる位置まで来ると、一層似ていると思った。特にあの小さなオチョボ口がいい。


 モアイ像からもイヤらしい下りが続く(写真左)。

 そして、垂直に見える3mほどのロープを下ると、ネットで見覚えがあるヒカリゴケの洞窟へ着いた。(写真右。モアイ像から10分弱だった)。

 洞窟へ入ってみたが、この季節はコケも見当たらず、ただの洞窟だった。

 ここから道が左右に分岐。これを左へ入って行くと、すぐに単独のオジさんが登って来た。こんな道を登って来る人もいるようだ。
 この方に道を確認すると、「このトラバース道を多少のアップダウンをしながら下ると、階段コースへ出る」とのこと。もう先は見えた。

 この道は獅子落としの岩場の下をトラバースしている普通の道である。落葉樹から針葉樹になると、すぐに階段コース(南コース)と合流した。ここまで来ればもう何の問題もない。あとは赤川ダムまで淡々と階段を下るだけだ。

 階段コースを10分も下ると林道へ出た。ここも左へ曲がる。古賀志山のテッペンからここまで1時間足らずで着いた。

 10分ほど歩くと三差路になり、今朝歩いて来た道へ入って行く。ここはわずかながら登り返しになる。標識が立ったピークで小休止。
 今日は登りでは少し物足りないと思ったが、下りは道を間違えてヘンな所を下ってしまい緊張したせいか疲労感を覚える。しかし、そのお陰でモアイ像やヒカリゴケの洞窟などを見ることが出来て満足だ。さあ、あとは駐車場まで頑張ろう!

 最後に、山頂で地元の方に聞いた話によると、この山は個人の所有地が多く、標識を付けるのも難しいらしい、と言う。ならば、せめてハイキングコース以外の一般的に登られている中尾根や東稜等々だけでもコース詳細を公開してほしいと願う一人である。それも所有者との関係で難しいのだろうか。