金剛山−2/2

 ここから木段を登って行くと、上からジョギング姿で駆け下りて来る人がいた。しかも次から次へと駆け下りて来る。凄い!こんな所を駆け下りるとは!

 三合目へ着くまでに30人位が駆け下りて行った。
 ここから道が緩やかになりなり、道端にツバキが咲いていた。水分補給のため一息入れたいが、元気に駆け下りてくる人達を見ると、とても休んでなんかいられない。

 四合目を過ぎると階段が急になって来た。

 五合目にピカピカの休憩所(写真)があったので、そこで休憩。私が休憩している間にも大勢が駈け下って行く。どうして駈け下るのだろうか。歩いて下ってはトレーニングにならないのだろうか。
 それよりも駈け下って膝を痛めないのだろうか。

 ここからも木の階段が続く。ただもくもくと登っていると、まるで修行僧のように思えてくる。ここを毎日登ったり駈け下っている人達は凄いと思った。ただただ感心するばかりである。

 九合目に「楽な道」と「近道」の分岐があった。右手の近道を登って行く。

 5分も登ると前方がパーと開け、広い台地へ出た。両側に工事現場のフェンスのようなものが並んでいた。

「え、山頂で工事なんかしてるの・・・?」と思ったが、
近づいてみると、それは登拝回数者の名簿だった。「100回以上」や「1000回以上」という名簿がズラリと並んでいた。1万回以上という人もいるというから驚く。

 ここが国見城跡で山頂とみなされている広場だろうか。とにかく私はテッペンへ行きたいのでそのまま進んで行くと、すぐに転法輪寺があった。ここで参拝してから右手の鳥居を潜り、葛木神社の参道を歩いて行った。

 途中に「福石」というのがあった。見るからにカエルが交尾しているようだった。
 葛木神社へ7時40分着。ここが山頂ということになっているが、神社の裏手の方がわずかに高い。しかし、「此れより先神域につき立入禁止」となっていた。


(転法輪寺)

(葛木神社)

 ここではのんびりも出来ず、参拝して写真を撮っただけで横手のブナ林を下ると、すぐに舗装された林道へ出た。

 林道を5、6分も下ると鳥居が立った分岐へ出た。しかし次の目的地である「湧出岳」という表示はない。ロープウェイ方面へわずかに進むと再び分岐があった。「ロープウェイ・紀見峠」と「第21経塚・一等三角点」という標識だけで、ここにも湧出岳の文字はない。

 しばらく迷ったが、一等三角点という標識に騙されたと思って左手の道を登って行った。

 登り切った所に電波塔と展望台と書かれた塔が建っていた。しかし展望塔へ登る階段がない。あれが本当に展望台なのだろうか。

 周りの展望も利かず展望台へも登れない。こんな所に長居は無用。

 電波塔の脇を下って行くと、やっと登山道らしくなって来た。しかし、すぐに林道と合流し、車とすれ違って驚く。ここは稜線上の車道歩きなのだ。

 湧出岳へ行くつもりだったが、展望台まで来てしまった。ここの展望台はしっかりと階段がついていた。

 近くにいた旦那さんに「湧出岳はどれですか」と訊いてみると、
「それですよ。それ!」
 と後ろの山を指差す。
 何のことはない。今私が下って来た山ではないか!
 とにかく湧出岳を登って来たことでホッとした。この辺では湧出岳はマイナーな山なのだろうか。

   
 展望塔に登ると、電波塔が建った湧出岳とその奥に金剛山が見えた。しかし、ここからは高度差がないためボテ山にしか見えない。

 晴れていれば大峯山や釈迦ケ岳なども見えるようだが、今日は靄って見えなかった。

 伏見峠へ向かって歩き出そうとしたが、峠まで林道歩きではつまらない。そう言えば、先ほどの旦那さんが「展望塔の下にカタクリが咲いている」と言ったのを思い出した。伏見峠へ行くのを止めて、カタクリを見ながらロープウェイで下ることにした。

 遊歩道をわずかに下ると、カタクリが両斜面に咲いていた。風に揺れるカタクリを愛でながらロープウェイ駅へ向かった。
 ロープウェイは6分で下まで運んでくれる。金剛山へ来たんだから「金剛山ロープウェイ」に乗るのもいいだろう。

 ロープウェイ駅から桜並木を歩きながら思ったことは、東京近郊の人達がやすらぎや癒しを求めて高尾山へ登るのに対し、大阪近郊の人達が金剛山へ登るのは鍛練のためではないか。それゆえに2千回とか1万回という脅威的な登拝記録が生まれるのではないだろうか、ということだった。

 桜を見ながら35分で登山口の駐車場へ着いた。