金剛堂山 (こんごうどうさん)

(1,650m、富山県)  170座


1451峰から見た前金剛(中央)と中金剛(左)


栃谷登山口〜金剛堂山往復

2009年9月5日(土)

自宅730−相模湖IC−(中央道・長野道・北陸道)−1430砺波IC−R156−R471−利賀村(泊)

 今週は北陸遠征である。来週は同じ北陸の毛勝山へ行く予定なので、その前哨戦のようなものである。毛勝山はコースが長くて少々手強いが、金剛堂山は6時間ほどで往復できるので足慣らしにはちょうどいい。

 今日は登山口である利賀村の民宿泊まりなので、朝8時頃出発しようと思っていたが、テレビで中央高速の渋滞を見て、慌てて家を飛び出した。
 しかし、相模湖ICから高速に乗るとガラガラだった。さっきテレビに映っていたあの渋滞は何んだったのだろうか。
 宿へ早く着きすぎてしまうので、梓川SAでゆっくりと早めの昼食を摂って時間を潰す。

 今日は長野道から妙高山は見えなかった。5月に走った時は残雪に輝く妙高山が見えたが、今日は雲に隠れていた。
 上越JCTから北陸道を南下して行く。久し振りに見る日本海は穏やかで風もなく、最高のドライブだった。

 砺波ICで降りてコンビニで買出しをしてからスノーバレー利賀をめざして行く。道路標識にあった「利賀TOGA」の文字に驚く。恥ずかしながら今の今まで、”りが”だと思っていたからだ。”とが”と読むとは知らなかった。

 その利賀村へ行く国道471号線は、ダムの上部をうねって通る細い道で、対向車に気を使う。しばらくするとポツ、ポツと民家が現れ、集落の中心部のY字路へ出た。左がスノーバレー利賀や金剛堂山の登山口であるが、バカナビに導かれて右側へ行ってしまい、結局、今宵の宿も登山口も分からぬままY字路まで引き返す。

 左の道を行き「新梄尾トンネル」を通ってすぐに右折。すぐにスノーバレー利賀のリフトが見えて来た。そのまま直進すると、舗装道路からダートになった所に「この先全面通行止め」の標識があった。「うそ〜!」と、天を仰ぐ。しかし良く見ると5、60m先に車と人影が見えたのでそこまで行って訊いてみると、「車は通れる。登山口はこの先2kmほどで、小屋が建っているから分かる」と言われてホッとした。

 ダートのガタガタ道を進んで行くと、正面に小さな建物が見えて来た。これが休憩舎とトイレで、広い駐車場に車がポツンと1台止まっていた。その車の脇で夕食の準備をしていた若いご夫婦に登山口を尋ねる。ここは「金剛堂山登山口」の標識はあるが、どっちへ行けばいいのか分かりにくい。休憩舎に向かって左後方に赤い橋が掛かっており、それを渡った所に登山口の標識が見えた。これで明日は安心だ。


右手に休憩舎、左手に登山口の標識がある

標識の近くには水が溢れ出ている

この橋を渡ると登山道

 休憩舎は雨の日などに雨宿りをするにはいいが、宿泊するには狭くて適さない。それにお世辞にも綺麗とはいえない。最初はここへ泊まろうかと思ったが民宿を予約して正解だった。

 若いご夫婦から今夜泊まる民宿の場所を教えてもらって助かった。このご夫婦は京都からテント泊で釣りに来ているという。


2009年9月6日(日)

民宿510−520登山口530〜6021km地点608〜6502km地点〜7121346峰〜7223km地点〜7531451m峰〜8054km地点〜837前金剛900〜913中金剛918〜930前金剛945〜10372km地点1050〜1131登山口

 民宿は年寄り夫婦がやっており、客は私一人だけだった。朝食は5時でも4時半でも出来るというで、朝食用にコンビニでサンドイッチを買ってきたが、せっかくの好意なので朝食を頂いていくことにした。

 外が明るくなるのを待って出発。登山口まで10分弱で着いた。登山口5時20分着。昨日の若夫婦がテントから顔を出していた。他に熊谷ナンバーの車が1台止まっていた。若夫婦に聞くと、この車の方は登山ではなく釣りではないかという。

 ということは、山へ登るのは私が一番乗りで、熊に遭遇する危険が多いということだ。昨日、宿の旦那さんからは、「ここで熊を見たという人はいるが、熊に襲われたという話は聞いたことがない」と言われたが、熊と遭遇してからでは遅いので注意しながら行くことにしよう。

 手早く準備をして5時30分に出発。赤い橋、といってもただの鉄骨で作った橋を渡って登山道へ入って行く。小さな支沢沿いに登って行くが、朝露でズボンが濡れた。しかし、2、3分もすると道幅も広くなって来た。

 道端には紫色の花がいっぱい咲いていた。何と言う花か知らないが、たとえどんな花でも咲いていると嬉しい。写真を撮るには露出不足なので帰りに撮ろう。

(写真は下山時に撮ったもの)

 支流を渡って左手の尾根に取りつく。道は模擬丸太の階段で登りやすい。
 時々、熊チェックをしながら登って行く。ホイッスルはザックの中にあるが、ホイッスルを吹くほどでもないだろう。

 澄んだ朝の大気が心地よい。30分ほど歩くと階段もなくなり、自然の登山道になった。

 6時2分、「栃谷登山口より1km地点」と書かれた標柱があり、周りはブナ林に変わっていた。ここで薄手の長袖シャツを脱いだ。もう暑くてたまらん。

 ここからは、なだらかになった。ルンルン気分で歩いて行く。少し下ると太いブナがあり、そこからまた登りになった。

 6時30分、左手から朝日を浴びた。朝日といってもブナ林の木漏れ日であるが、それが朝の澄んだ大気とともに爽やかで心地よい。

「栃谷登山口より2km地点」へ6時50分着。大分歩いたような気がしたが、まだ2kmしか歩いていない。今、休憩したばかりなのでそのまま素通りして行く。

 太いブナ林になってきた。すばらしいブナ林だと思いながら歩いていると、「ブナの原生林」と書かれた標識が立っていた。


(ブナの原生林)

 ここから、ゆるやかに登って行く。ここを登りきれば「1346m峰」だろうと思っていたが、登り切った所は平坦で何の標識もなく、どこが「1346峰」なのか分からぬままに下りになってしまった(7時12分)。地図には、ここから山頂が望めると書いてあったので楽しみにしていたのだが、樹木で見えない。

 しかし、3、40mほど下った時、正面に三角錐の山と左手にボッテリした山が見えた。やっと金剛堂山が見えた。
 あの三角錐の山は高度こそないが人目を惹く。やはり信仰の対象になる山だと思った。この山の歴史は古く、奈良時代に山岳信仰の山として開かれたという。
 高度は三角錐の前金剛よりも左のボッテリした中金剛の方が少し高い。

 鞍部へ下り少し登り返したところに「栃谷登山口より3km地点」の標識があった。こんな標識よりも「1346m峰」の標識を付けてくれた方が有難いと思った。

 道端には黄色い花が咲いていた。リンドウも多い。この時期にこんなに花が多いとは思わなかった。それに気の早いのはもう紅葉が始まっていた。

 笹が多くなって来た。休憩したいと思ったが、どこも湿っていて休めない。やっと小さな岩をみつけて腰を下ろす。

 ここから5分も登るとピークらしいところへ出た。これが「1451峰」だろうか。

 ここからわずかに下って、ゆるい登りになると展望が利くようになって来た。右手の奥に見える山は何だろうか。(白山だった)

 ピークを登り切った所に、「栃谷登山口より4km地点」の標識があった。前金剛はもう目の前である。ここからなだらかに登って行く。

 左手遠方に凄い山が見えてきた。三角錐で鋸歯のような見るからにアルペン的な山だ。(遠くてボンヤリしていたせいもあるが、これが剱岳だと知ったのは前金剛の方位盤を見てからだった)


剱岳(中央奥に薄くボンヤリと見える)

白山

 オヤマノリンドウが多くなって来た。登山道が細くなり朝露でズボンが濡れた。山頂はまだだろうと思っていたが、ヒョッコリと社がある山頂へ飛び出した。8時37分着。

 広い山頂には大きな社と方位盤、さらには山の由来や歴史などが刻まれた石碑などがあった。方位盤を見ながら山座同定をする。正面にボンヤリと御嶽山と乗鞍岳が見えたが、富士山は雲に隠れていた。北アルプスは焼岳から穂高、槍、薬師、立山、剱まで確認できた。

 それにしても、こんなに展望がいいとは知らなかった。ここから見る剱岳がすばらしい。しばし一人で展望を楽しんだ。