位山・・・2/2

 広い頂稜へ出た。登山道は広く、周りも間伐されているが、奥はまさに原生林である。そんな所を一人心細く歩いている時、3人の作業着姿の下山者に会った。熊の出没について尋ねてみると、「この辺で熊が出たとは聞いたことがない」とのことで安堵した。熊の心配がなくなり、心に余裕が生まれる。

 紅葉もよくなって来た。まったく期待していなかっただけに驚きと感嘆の声を上げる。
「お−、すげえ−なあ−!」
「こうでなくちゃあ−」

【拡大できます】

 さらに登っていくと、門立岩というのがあった。岩の上に木が根を下ろしている。しかし、なぜ門立岩なんだろうと思った。
 次に尻立岩というのがあり、さらに御神楽岩というのがあった。


門立岩

尻立岩

御神楽岩

 天の岩戸という所へ12時42分着。

 ここからはオオシラビソなど針葉樹の中のぬかるみになった。登山道には丸太をぎっしり並べてあった。同じ木道でもこういうのは初めてだ。

 しばらく行くと、御魂(みたま)岩というのがあった。
 分岐へ出た。右側の山頂方面へ進んで行くと、サラサドウダンの群生地だった。すでに落葉したドウダンをかき分けるようにして進んで行くと、大きなドウダンツツジが1本だけ真っ赤に紅葉しているのがあった。思わず息を飲んだ。

(左の写真:拡大できます)

 ドウダンの群生地を過ぎるとパーと視界が開け、広々とした所に作業員らしい人達が寝そべっていた。何か異様な光景だったが、伐採作業者のお昼寝の時間だったようだ。
 そこから山頂はすぐだった。どこが山頂か分からないような所で、わずかに登った所が山頂だった。誰もいない山頂だった。

 標識には、先ほどのサラサドウダンの群生地は「ドウダンツツジの森」と書いてあった。

 ここで昼食を摂り、13時10分下山。

 帰りは「天の泉」へ寄って行くことにした。山頂から往路の反対側の道を真っ直ぐ下る。今日初めての急坂である。今日はわずかに登ったり下ったりで、山に登った気がしなかった。初めての急な下りも2分ほどでT字路へぶつかった。右へ行くと2、3分で「天の泉」という水場があった。せっかくなのでガブガブ飲んで行く。

 再びT字路へ戻り、そのまま真っ直ぐ進んで行く。山頂をトラバースして分岐へ出た。帰りにあの伐採職人にイチイという木がどんな木かを教えてもらおうと思っていたが伐採地も巻いてしまい、今さら戻る気もしなくなった。そのまま下ることにした。

 途中で、年配のオジさんに追いついた。オジさんが「お宅とはどこでも会いませんでしたねぇ・・・・?」と怪訝そうな顔をして言った。山頂を往復するだけだから普通なら何処かで会っているはすだが、という意味である。実はこのオジさんが山頂から下って天の泉へ行った後に私が山頂へ着いたようだ。

 このオジさんにイチイの木を聞いてみたが分からなかった。せっかくイチイの名山へ来ていながら、イチイを知らずに帰るのはちょっと残念だった。

 リフトの最上部へ14時10分着。御嶽山や乗鞍岳は、山頂部が雲に覆われていた。

 駐車場着、14時36分着。
 このまま真っ直ぐ帰る訳には行かない。とにかく位山がどんな山容をしていたのか、一目でいいから見なくては納得できない。R41を高山方面へ車を走らせた。5、6kmほど行って車を止めた時、背後に位山が見えた。ちょっと遠すぎたことと逆光で、バッチリとはいかなかったが、とにかく位山の全景を見ることが出来た(TOPの写真)。

 もう何の憂いもない。Uターンして今宵の宿、下呂温泉をめざして走り出した。