御神楽岳(みかぐらだけ)

(1,387m、新潟)  149座

本名御神楽岳の山頂から見た御神楽岳

霧来沢登山口〜本名御神楽岳〜御神楽岳・往復

2006年10月29日(日)

自宅850−川越IC−(関越道)−小出IC−(R252)−只見−金山町・本名(泊)

 御神楽岳は今年の5月に二王子岳へ行く途中で眺め、「何としても今年中に登りたい」と思ったが、その思いがやっと叶うことが出来た。

 (新潟県側から見た御神楽岳→こちら)

 実は先週から風邪を引いてしまい、御神楽岳を諦めようかと思っていたが、金曜日になってどうしても登りたくて我慢ができなくなった。来週になると雪の心配があるので今年最後のチャンスだと思い、上司に無理を言って休暇をもらい、日・月で行って来ることにした。

 最初は新潟県側の栄太郎新道を登り、最近復活したという室谷コースを下りたいと思ったが、下山してからの足がないので諦めた。そこで関東から行くには一番手っ取り早い会津側から登ることにした。

 今日は登山口である金山町本名の宿へ行くだけなので、ゆっくりと8時50分に家を出た。
 関越道の川越ICから小出ICを目指して行く。空はどんよりとした雲に覆われ、榛名山も赤城山も見えなかった。しかし、北へ行くにしたがって晴れ間が広がり、谷川岳がバッチリと見えた。

 小出ICで降りて、R252で只見へ向かって行く。
 途中で昨年登った守門岳への道や浅草岳への道を左手に見送る。ここから先を行くのは初めてだった。

「六十里越」の峠越えになると、周りの紅葉がすばらしくなって来た。峠に車を止め、紅葉した山々を眺め、眼下の田子倉湖を見下ろした。

 まさに燃えるような紅葉である。時々車を止めて写真を撮った。写真ばかり撮っていて車が前へ進まない。北アルプスのような真っ赤なナナカマドの紅葉ではないが、ブナや雑木林の色とりどりの紅葉が目に沁みる。こんな紅葉を山仲間達に見せてやりたいと思った。

「燃える只見」

 只見を過ぎ、本名ダムの橋を渡り切っって右カーブの所に左へ行く細い林道がある。橋の下が発電所になっているため車で走っていると気付きにくいが、橋を渡った所に「御神楽岳」の案内板がある。

 林道入口をしっかりと確認してからコンビニを探したが、会津川口駅まで行ってもなかった。川口駅前でやっと朝食用のパンを買ってから戻って来た。(本名地区でもパンなら買えた)


2006年10月30日(月)

本名の宿530−霧来沢登山口615〜八丁洗板〜830杉山ケ崎845〜熊打場〜930避難小屋938〜1002本名御神楽岳1010〜 1107御神楽岳1150〜1224本名御神楽岳1230〜1316杉山ケ崎1325〜1423八丁洗板〜1516登山口

 4時40分起床。
 夜中に雨が降って心配したが、朝起きると止んでいたのでホッとした。
 本名から登山口まで30分というので、5時30分に宿を出発。本当はもっと早く出て歩き出したかったが、ここはクマが怖い。この山には「熊打場」という場所があるほどだから、クマが多いに違いない。それに今日は月曜日なので登山者も少ないだろう。そんな山へたった一人で暗いうちには入れない。

 発電所からダム沿いの林道を進んで行くと、やがて霧来(きりき)沢沿いの道となった。
 最初の分岐で標識がないので躊躇した。女将さんから「右、左、左と曲がる」と聞いて来たが、右の道は山へ向かっていた。

 しばし思案したが、「沢沿いに進むはずだ」と思い、そのまま真っ直ぐ進んで行った(正解だった)。そこから先は標識があったのでそれに従って行った。

 林道は紅葉で染まっていた。写真を撮りたかったが露出不足で撮れない。帰りに撮って帰ろう。

 誰もいない駐車場へ5時58分着。覚悟はしていたが、やっぱり一人は寂しい。杉の大木から雫が落ちる。雨が降って来たのかと心配した。

 (写真は下山後に撮ったもの。駐車は4〜6台程度)

 準備を済ませ、クマ除け鈴を2個ストックにぶら下げ、ホイッスルを首からぶら下げて、6時15分に出発。
 左手に沢の音を聞きながら、綺麗な紅葉に息を呑む。登山道は雪が来る前に草刈をしたようで歩きやすかった。

 10分も歩くと沢筋へ出た。紅葉の写真を撮ったが露出不足なのが残念だった。

 6時31分、つまり駐車場から16分ほど歩いた時、小さな滝が現れた。「八乙女の滝」である。周りの紅葉と合いまって、なかなか絵になった。
 (写真は下りに撮ったものです。他にも下りに撮った写真があります)

 その滝を右側から高巻きして、クサリで下ると、沢と紅葉の絶景が広がった。

 沢はクマがいそうで怖い。時々ホイッスルを吹きながら歩いて行く。今日のホイッスルは前回までの100円均一で買ったものではない。イギリスの海兵隊が使っているというブランド品である。クマも驚いて逃げるに違いない。

 昨夜の雨で足元が滑って歩きにくい。誰もいない所で捻挫などしたら大変なことになってしまう。注意しながら行こう。

 すぐ左手を流れる沢底が平らな一枚岩のようになって来た。しかし、これを徒渉するわけではない。写真を撮ろうと思いながら、いつの間にか通り過ぎてしまった。

 ブナの紅葉が素晴らしい。今月初めに船形山へ行った時もブナの紅葉が見事だったが、ここも勝るとも劣らない。これで陽が差せばもっと色鮮やかになるんだがなア・・・。
 ここは山全体が錦絵である。見事というほかない。

 7時ジャスト、左手の斜面に日が差し込んで来た。白い雲の間に青空も見えた。今日は絶好のモミジ狩りになりそうだ!

 再び沢に滑底が現れて来た。写真を撮って10mほど進んだ所に「八丁洗板」と書かれた標識が立っていた。

 ここで一服していると、後ろから男性2人組がやって来た。2人とも50代前半ぐらいだろうか。

 彼らは、ホッとしたように、
「相模ナンバーの方ですか」と問いかけてきた。
「そうです」と答えると、
「私達は3時半に駐車場へ来たんですが、誰もいないので一旦引き返したんですよ。」と言い、さらに、
「ここはクマが怖いでしょ。なのに鈴もホイッスルも忘れてきてしまい、民宿で爆竹を分けてもらってきたんですよ・・・」
と言った。
 私も登山者がいてホッとした。

 紅葉も次第に黄色が多くなって来た。ブナと雑木林の黄葉のトンネルである。いかにも日本の山、里山の紅葉という感じで心が癒される。まさに「癒し系の紅葉」だと思った。

【拡大できます】

 登山道は次第に沢から遠ざかり、急登になって来た。ここはかなりの急登らしいので、心して登って行こう。
 山の斜面はかなり急だが、登山道にはジグがあるのでそれほどでもない。知らぬ間に高度を上げて行く。

 7時55分、尾根へ出た。爽やかな風が吹き渡る。それに雲の間から日差しが差し込んで来た。しかし、めざす上部にはガスがかかっていた。はたして山頂は晴れてくれるだろうか。

 左手に県境(新潟と福島)の前岳のスラブ(一枚岩や凸凹の少ない急峻な岩)が見える。アルプスを思わせるような山肌は、ここが豪雪地帯であることを感じさせる。
(拡大できます)。
 ホウの木の真っ黄色い黄葉が目に沁みた。久しぶりにホウの黄葉を見た。

 尾根の上部で爆竹の強烈な音がした。彼らがクマ除けにやったのだろう。私もホイッスルを吹いて合図した。

 尾根を登り詰めた所に「杉山ケ崎」の標識があった。ここで大休止とする。八丁洗板からワンピッチで来てしまったので、少々ヘバってしまった。(8時30分着)

 標識には「本名御神楽まで1.4Km、頂上まで2.6Km、登山口まで3.3Km」と書いてあった。