御正体山(みしょうたいやま)

(1,682m、山梨県)  120座目


R24号線から見た御正体山
左手前のポコンポコンした尾根が道坂峠からのコース。右手前の尾根が三輪神社からのコース

 

 A2008年3月2日(日)・・道坂峠〜御正体山往復

 @2004年2月1日(日)・・三輪神社〜御正体山往復

 

 


 2004年2月1日(日)

@ 三輪神社〜御正体山往復

相模原−津久井−(R413−R24)−細野・三輪神社830〜1217峰宮跡1225〜1315御正体山1345〜1533三輪神社

 御正体山は、道志山塊の最高峰で、しかも「日本200名山」であるということを最近知った。
 そもそも道志といえば、相模原に住んでいる私にとっては地元のようなものであるが、今まで”道志の山に登ろう”などとは思いもしなかった。
 しかし、その道志に200名山があると知った以上、何が何でも登らねばならない。

 ガイドブックをコピーした地図と軽アイゼンを持って、6時30分に家を出た。
 空は、昨夜の天気予報では「快晴」と報じていたが、雲が多くどんよりとしている。

 道志みち(R413号線)には、道路脇に残雪が20〜30センチもあった。幸い車が通る部分には残雪もなく、路面も凍結していなかったので助かった。

 途中で、正面に真っ白い富士山が見え、思わず歓声を上げた。空にはいつの間にか青空が広がっていた。

 しばらくして、「道の駅まで2キロ」という標識が出た所で右折、24号線へ入って行く。この道を走るのは初めてだった。道脇の残雪が一層多くなった。残雪をたっぷり抱いた周りの山々が、みんな名山に見えた。

 道坂峠を越え、細野の三輪神社の鳥居まで行った。しかし、車を止める所がない。「もしかしたら上に駐車場があるかも知れない」と思い、鳥居の脇にあった坂道を登って行った。
 しかし雪と氷が多くなり、途中で身動き出来なくなる恐れがあるので、そのままバックで引き返した。

 やっと国道へ戻り、今度は鳥居の脇の路肩へ止めようと20センチほど雪が積もっている所へ頭から突っ込んだ。が、案の定タイヤが空回り、動けなくなくなってしまった。あ〜あ〜。四駆ならこんなことにはならないのになあ〜、とボヤキが出る。

 車のお尻の部分が道路に出ている。このまま放置して山へ登ってしまう訳にも行かず、登山靴を履いてタイヤの周りの雪をかく。登山前から大苦戦。
 やっとの思いで雪から脱出した。今度は峠の方へ進んでみた。50メートルほど行った所に少し広くなった路肩があり、そこに地元の車が止めてあったのでその脇へ止めた。ヤレヤレ。

 登山前から一仕事をしてしまい、8時頃に着いたはずなのに出かける時は8時30分だった。
 まずは鳥居の脇にあった、蛇口からジャージャー流れる水を一口飲んで、凍て付いた階段を登って行くと古ぼけた神社があった(写真左)。右手には休憩所らしいものがあった。

 神社で両手を合わせて安全を祈願をした後、登山標識が見当たらず右へ行くべきか左へ行くべきか迷ったが、左に林道が見えたのでその林道を進んで行った。途中に民家があったので道を尋ねると、「本当は神社の右側を行くんだが、このまま進んでも上で合流する」と言われてホッとした。

 林道は10分ほどで合流し、なだらかな道を登っていく。路面は残雪が凍て付いていた。この辺に住む人は、毎日こんなカチカチに凍った坂道を登り下りするのは大変だろうと思った。

 30分ほどで材木置き場のような所へ出た。そこからは道が狭くなったが車1台なら何とか通れそうだった。しかし雪が20センチも積もっており、車輪の跡はなかった。
 雪道を歩いて行くと真新しい足跡があった。しかし、その足跡は下っている。今朝、もう下った人がいるのだろうか。

 手入れの行き届いた杉林の中を歩いて行く。頭上には青い空が見えた。
 それにしても静かだ。この不気味ほどまでの静寂と肌を刺すような寒気。凛として身が引き締まる思いだった。

 9時30分、仏ケ沢というチョロチョロ流れる小さな沢へ出た。そこを渡って行く。
 前にも後ろにも人陰はない。少し心細い気もするが、この季節にはクマもヘビもいないので安心して歩ける。

 雪を踏みしめる音だけを聞きながら、急斜面を登って行くと支尾根へ出た。そしてまぶしい程の日差しを浴びた。9時50分。
 しかし、樹木が多く展望は余り利かない。周りは雪ばかりで腰を下ろす所もないのでそのまま進み、なだらかになった所で休憩した。

 木漏れ日の下で、賞味期限が怪しいチョコレートを食べた。昨年の11月に天狗岳へ行った時の残りだが、食っても死ぬことはないだろう。
 地図を広げて見ると、正面右に見える尾根と合流する所が峰宮跡で、左手に見える道坂峠からの尾根と合流する所が山頂である。まだまだ先は長い。
 ここでセーターを脱ぎ、日焼け止めクリームを塗った。サングラスを忘れたのが痛い。

 ここからは急登になった。右手からホロホロともホッホッとも聞こえる鳥の声が聞こえて来た。初めて聞く声だった。

 急登となだらかな登りを繰り返す。気が付いたら11時を過ぎていた。足もヨタヨタして来たので、雪のない小さな切り株に座って一服することにした。
 そこから道坂峠からの尾根が良く見えた。その中にかっこいいピークがあった。どうせならあの尾根から登ればよかったと思った。
 その尾根の奥に、ひときわ高い山が見えた。あれは何んという山だろう。丹沢だろうか。
 肝心な御正体山の山頂はまだ見えない。

 ここからは、さらに急登になった。長いロープがぶら下がっていた。そこで初めて下山者に会った。思わずホッとするものがあった。私と同年代の単独行だった。
「登っている人はいますかねぇ」と聞くと、
「山頂に2人いましたよ」と言った。

 峰宮跡へ12時17分に着いた(写真右)。正面に真っ白く雪を被った富士山が見えた。ここでコンビニで買って来た一口サイズのおいなりさんを食べた。

 時間を計算してみると、三輪神社から3時間47分かかっていたが、コピーして持って来た地図では3時間35分になっていた。ほぼコースタイムで来たことになり、私にとっては上出来だと思った。(帰宅後、山渓の山の便利帳では山頂まで3時間25分となっているのを知ってがっかりした)
 ここからも山頂はまだ見えない。

 12時25分、峰宮跡を出発。
 しばらく行くと、凍結した下りになったので立ったまま軽アイゼンを着けた。

 何度も山頂かと騙されながら、やっと広々とした山頂へ着いた(写真左)。13時15分着。
 山頂には高さ1メートルほどの小社が祀られていた。1等三角点もあったが、樹木で展望は利かなかった。
 私が荷物を置こうとした時、反対側から単独行の30代の男性がやって来た。お互いに写真を撮り合った。彼は道坂峠から来たという。下山者から山頂に二人いると聞いたが、その二人も道坂峠へ下ったらしい。ここは道坂峠から往復する人が多いようだ。

 せっかく持って来たのでテルモスのお湯でコーヒーを飲んだ。

 長く休んでいると寒くなるので、青年に声をかけ、一足先に下山することにした。
 山頂13時45分発。下りはもう一気に下ろう。アイゼンも着けているので安心して下れる。

 登りの時はハアハアしながら登った急斜面も、下りは駆け下りられる。
 途中誰にも会わず、三輪神社の鳥居へ15時33分着。ここでアイゼンをはずし、水道の水でアイゼンと靴を洗った。

 来る時は、帰りは紅椿(くれないつばき)温泉か道志温泉で汗を流して帰ろうと思っていたが、今は早く家へ帰ってビールが飲みたい。

 R24号線から、やっと御正体山らしい山が見えた。車を止めて写真を撮った。今日一日歩きながらその山容を見ることが出来なかったが、やっと見ることが出来た。

 我が家へ5時頃着いた。こんな近い山だとは知らなかった。こんなに近いなら今度は道坂峠から登ってみようと思った。

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