二王子岳 (にのうじだけ)

(1,420m、新潟)  141座


二王子神社へ向かう途中から見た二王子岳。左側が山頂。


二王子神社から往復

2006年5月3日(水)

相模原−川越IC−津川IC−(御神楽岳・眺望)−聖籠・新発田IC−新発田市内(泊)

 この山は二王子と書いて「にのうじ」と読む。
 この二王子岳は今年の夏に小屋泊まりかテント泊で行こうかと思っていたが、一週間ほど前になって無性に雪山へ行きたくなり、急遽、出かけることにした。幸い登山口までの残雪も5月1日、2日が二王子神社のお祭りなのでそれまでには除雪されるという。そのお祭りが終わった3日、4日に行くことにした。

 3日は高速道路が一番渋滞するというので、少しでも渋滞を避けようと思い、朝5時前に家を出た。今日は新発田市内へ泊まるだけなのでそんなに急ぐこともないのだが・・。

 渋滞らしい渋滞もなくスンナリと新潟まで来てしまったので、ちょっと寄り道をして「御神楽(みかぐら)岳」を見に行くことにした。

 新潟中央から磐越に乗って津川ICまで行った。料金所で職員の顔を見て驚いた。口元から長い髭が3本ずつ墨で書いてあった。実に滑稽だった。これは「村おこし」だろうか、それとも単なる「変人」だろうかと思わず苦笑いをしてしまった。後で聞いたところによると、津川では今夜「狐の嫁入り」というお祭りがあるという。あの職員は変人ではなく、狐に扮していた訳だ。

「御神楽岳は、下越の谷川岳」といわれる岩山で、私も一度は登りたいと思っている山の一つである。関東の人はほとんど福島県(会津)側から登ってしまい、越後側から登る人は少なくないようだ。私もきっと福島県側から登ってしまうだろうから、越後側からの山容を一目見て置きたかったのだ。

 御神楽岳の登山口近くにある「みかぐら荘」を目指して行くと、正面に雪を抱いた山がまるで砦のように立ちはだかって来た。紛れもなく御神楽岳だった(写真左)。

 早速、車を止めて写真を撮り、山を眺める。残雪を抱いた山はどこまでも神々しく、思わず両手を合わせたくなった。

 そして、あの山の麓まで行くつもりでいたが、麓から残雪のスラブを見上げたら登りたくなってしまいそうなので、ここから引き返すことにした。

 ユーターンして走り出すと、正面(北東)奥に真っ白い山が見え、思わず息を呑んだ(写真右)。今まで背後で見えなかったのだ。

 農作業をしていた人に尋ねると、
「ありぁ・・イイデだよ・・」
 と、会津訛りで教えてくれた。

 飯豊山(いいでさん)がこんな近くに見えるとは思わなかった。あれが飯豊山だとすると、中央右に見えるのが本山で中央左が大日岳だろうか。いずれにしても御神楽岳と飯豊山を見ることができて本当に嬉しい。わざわざ来た甲斐があった。

 再び高速に乗り、今度は今回の目的地である聖籠・新発田ICで下りた。新発田市内からは右手(東側)に、ややボッテリとした山容が見えた。間違いなく二王子岳だと思った。まだ宿へ行くには早いので、そのまま二王子岳の登山口を目指して行った。

   (写真右は登山口へ向かう途中から見た二王子岳)

 何度も道を間違えながら、やっと二王子温泉まで行くと所々に標識が出るようになった。やがて細い林道になり、車のすれ違いに苦労した。

 二王子神社の駐車場まで行くと、ちょうど下山して来たパーティーがいた。雪の状況について聞くと、ピッケルもアイゼンも必要ないとのことだった。明日はピッケルを置いてストックを持って行くことにしょう。


2006年5月4日(木)

新発田市内450−525駐車場〜二王子神社540〜一王子小屋705〜定高山〜930二王子岳955〜1109一王子小屋〜1202二王子神社

 4時50分、新発田駅前の宿を出る。途中のコンビニで弁当と缶ビールを買って行く。
 二王子岳は夜明けの空にクッキリと浮かび上がっていた。昨日は山頂部分に白い雲がかかっていたが、今日はそれもない。右手(南西)には重量感溢れる五頭(ごず)山が独特の頂を見せていた。

(写真右は帰りに撮った五頭山。この山は新潟市の方から見ると5つのピーク、つまり五頭に見えるという)

 途中で二王子岳の左手から朝日が昇る。今日は絶好の登山日和である。

 駐車場へ5時25分着。昨日は40〜50台止まっていた広い駐車場に、今日はまだ4台しか止まっていなかった。人影がないので昨日は山頂の小屋へ泊まったか、それとももう出かけたのかも知れない。

 二王子神社(写真左)まで行くと、境内に車が5、6台止まっていた。境内に車を止められることを知っている人は、きっと地元の人達だろうと思った。そして、キャンプ場の端にテントが1張りあった。そのテントから顔を出した若者と挨拶を交わし、神社の前の道を登って行く。(5時40分発)

 しばらくは杉林の中を進み、細い流れと何度か交差しながら登って行くと、一合目の標識が現れた。この標識を過ぎると、次第に杉から潅木になり、やがてブナ林になった。ブナはまだ芽吹いていないので森林浴とはいかないが、その分明るくていい。

 道端にツバキの花が咲いていた。いままで山へ登ってツバキの花を見たのは初めてだった。後から知ったことだが、新潟県の県の木が雪椿だというから雪椿だったのかも知れない。

 スミレの花も咲いていた。それに、時々、残雪が現れるようになって来た。雪のない所には、白い花がいっぱい咲いていた。葉っぱはイワカガミに似ているが、花が大きく薄いピンク色をしている。いずれにしても初めて見る花だった。これも下山時に教えてもらったことだが、イワカガミの仲間で「イワウチワ」というそうだ。私はこの時期に日本海側の山を登るのは初めてなので、初めて見る花が多かった。

初めて見たイワウチワ。蕾や咲いたばかりは薄いピンク色をしている(左)。