奥大日岳 (おくだいにちだけ)

(2,606m、富山)  185座

新室堂乗越から見た奥大日岳(山頂ではありません)


室堂〜奥大日岳〜大日岳・往復

2010年8月4日(水)

扇沢730−910室堂〜1001雷鳥平分岐1008〜1034新室堂乗越1040〜1125昼食1150〜1239奥大日岳1305〜1450大日小屋(泊)

 立山黒部アルペンルートで室堂へ降り立つと、正面(東側)に並び立った立山連峰を見て歓声を上げる人は多いが、反対側(西)にあるこの大日連峰を見て歓声を上げる人は少ない。
 大日連峰は、立山、剣岳という日本を代表する山に圧倒され、ややマイナーなイメージを受けるのは否めない。

 私は、立山や剣岳はもう何回か登っているが、この大日連峰(最高峰は奥大日)は北アルプスにある日本百名山、二百名山の中で最後まで残ってしまい、今年こそ何としても登ろうと思っていた。

 当初は、立山駅へ車を置きアルペンルートで室堂へ出て、大日三山を縦走して称名滝へ下るつもりでいたが、出かける数日前になって称名滝と牛ノ首間で崖崩れがあり一時通行止めになっていたことを知った。その後、通行止めは解除されたが、またいつ崩れるか分からず大日平小屋は今年は休業したという。
 そんなことから急遽コースを変更。室堂から1泊で三山を往復することにした。

 昨夜は扇沢の無料駐車場で車中泊。明るいうちから車の前へテーブルとイスを広げて一杯やっていると、パトカーが3台も連ねて入って来た。私は「駐車場内での飲酒違反?」で逮捕されるかと思ったが、実は熊が出たという。こんな所に熊が出るとは驚いた。

 近くにいた警備員に聞くと、
「市営駐車場の下の沢は獣道になっていてねぇ・・・。熊が通るんだが、誰かが通報したんだろう」、と迷惑そうに言った。
 パトカーは、拡声器で「熊が出ましたので充分注意して下さい」と言っただけで早々に引き揚げて行った。

 扇沢は車中泊する人が多く夜通し車が入って来た。その度に目が覚めてしまい、朝は針ノ木岳や鹿島槍へ行く人達が4時前から続々と到着し、とても寝ていられなかった。(ここは7時前には満車になってしまうだろうと思った)

 今日は少々寝不足だったが、朝焼けに染まった赤沢岳の稜線を見て目が覚めた。

 アルペンルートの始発(7時30分:平日なので)まで待つのが長かった。
 立山トロリーバスが臨時便を出してくれ、室堂へ予定より15分早く着いた。9時10分着。

 今日は絶好の天気である。碧い空を区切るように立山から真砂岳、別山の稜線が並び立っていた。もちろん、目指す奥大日岳も見える。
 まずは観光客で賑わっていた「立山玉殿の湧水」でたらふく水を飲んで行く。


(右から立山、真砂岳、別山、剣御前、一番左に剣岳が半分見える)

 歩き出すと、すぐにチングルマが咲いていた。今年は東北の森吉山や秋田駒ケ岳でもチングルマをたっぷり見て来たが、やはり花が咲いていると嬉しい。イワカガミやヨツバシオガマなども咲いていた。


(大日連峰、手前が奥大日岳)

(室堂に咲くチングルマ)

(ミクリガ池からの立山連峰)

 ミクリガ池にはまだ残雪があった。

 ここから見る立山から真砂岳、別山の稜線がすばらしい。剣岳もわずかに姿を見せている。

(ミクリガ池からの奥大日岳)

 左手には目指す大日三山が並び立って見えるが、やはり立山、剣岳という日本を代表する山に比べると少々見劣りするのは否めない。

 雷鳥荘の前を通ってキャンプ場まで来たが、かなり遠回りをしたような気がする。帰りは地獄谷周りで帰ろう。

 キャンプ場から見る奥大日岳がピラミダルで格好いい。私が勝手に手前のピークから名前を付けた。「ニセピーク1」、「ニセピーク2」、「最高点ピーク」。実際に登ってみて分かったことだが、ここから山頂は見えない。


(キャンプ場からの奥大日岳)

 テン場から雪渓を下って橋を渡り、3、40mほど行くと剣御前方面との分岐になる。やっとスタートラインへ立った。まずはここで一本立てよう。10時1分着。

 分岐から10mも歩くと、右の斜面にハクサンイチゲの群落があった。今年はチングルマとイワカガミは沢山見て来たが、ハクサンイチゲの群落は初めてだった。

 さらに5分も歩くと木道になり、チングルマの群落になった。この山がこんなに花が多いとは知らなかった。チングルマの群落がまだまだ続く。


(ハクサンイチゲ)

(木道の周りはお花畑)

(イワカガミ)

 もう下山して来る人がいた。テント場か近くの小屋からピストンしているのだろう。

 ひと汗かいて新室堂乗越(稜線分岐)へ到着。30分足らずで稜線へ出られるのは助かる。先客が2人休んでいた。私もここで休憩。
 先客は剣御前小舎へ行くという。剣御前なら雷鳥沢を登った方がいいと思ったが、「雷鳥沢は昔登ってエライ目にあったから・・・」という。ここから剣御前小舎までの登りもシンドイと思うのだが・・・。

 ここからも登山道の両側はお花畑である。まさにルンルン気分で歩いて行った。

 あの「ニセピーク1」がだんだん近づいて来た。そして展望がよさそうな所へ出た。本来なら正面にドガーンと剣岳が見えるのだろうが、這い上がって来たガスのため見えない。奥大日もガスに覆われてしまった。

 「ニセピーク1」の中腹をトラバースしながら登って行くと、さらに「ニセピーク2」が現われ、山頂近くまで登山道が見えた。その「ニセピーク2」にも少しずつガスが流れ出した。

「これじゃあ、奥大日へ着く頃はガスの中かも知れないなあ・・・」。

 石がゴロゴロした所にシナノキンバイが咲いていた。オーと声を上げながら近づいてみると、かなり花がデカイ。もしかしたらボタンキンバイかな、と思ってしまうほどだった。(ボタンキンバイは利尻島にしか咲かない)


(シナノキンバイ)

(シモツケソウ)

(ハクサンフウロ)

 「あ〜あ、もうシャリバテだ!」、どうせ12時までに奥大日へ着かないなら途中で昼食にしよう。ちょうど前のパーティーが弁当を広げていたので、私もその場へ座り込んで昼食にした。
 ここからテント場が見えた。食事中に剣岳が一瞬姿を見せたがシャッターは切れなかった。剣岳の展望は明日の楽しみにとっておこう。

 午後は天気が崩れるかも知れない。先を急ごう。
「ニセピーク2」の山頂近くまで登り詰めると、右奥にひときわ高い山が見えた! 「え! あれを登れってが!」


(あの岩稜を登って行くのだろうか? これが最高点ピーク)