最高点ピークを見上げて、「あんな所本当に登れるのだろうか」、と思ったが、ガスが切れると左手の斜面にトラバース道が見えた。やれやれ!
ここは最高点を完全に巻いて行く。
道はなだらかで助かるが、それでもシンドイ。
時々ガスに覆われるようになって来た。展望は余り利かないが、その分涼しくなって来た。花の写真を撮りながら登って行った。
トラバース道を登り切った所に標識があり、右手の道が「×通行止め」になっていた。これが奥大日岳の最高点へ行く道だと思った。今回は絶対に最高点へ立とうと思っていたが、展望が利かないので明日の帰りに寄って行くことにした。
すぐに、2つのコブのようなピークが見えて来た。そして右奥のピークに人が立っているのが見えた。奥大日岳の山頂だ!
ついに山頂へ到着。時に12時39分。
山頂には大日如来像があった。しかし、何と小さいことか。岩の隙間に置かれた大日像は10センチ位のものだった。
そこで、信仰登山として登られていたのは大日岳だから、きっと大日岳に大きな大日如来像があるのだろうと思った。
山頂からは剣岳がバッチリ見えるらしいが、生憎何も見えない。ここからの展望は明日の楽しみにしよう。
山頂からの剣岳➡翌日撮ったもの
(奥大日岳の山頂) |
(大日如来像) |
ここで2人の女性と会った。一人は週刊誌のコラムニストだという年配の登山家(たぶん)。もう一人は若くて綺麗なSさん。
ここは室堂から往復する人が多いようで、年配のコラムニストの方も室堂へ引き返すという。Sさんは大日小屋へ行くというので、「じゃあ、小屋でまた会いましょう」と言って私の方が一足先に出発した。
道端にはハクサンフウロやエゾシオガマ、ヤマハハコなどが咲いていた。ミヤマコゴメグサも咲いていた。コゴメグサを見ると越後の中ノ岳を思い出す。
(エゾシオガマ) |
(ミヤマダイモンジソウ) |
(ミヤマコゴメグサ) |
さらに進んで行くとトリカブトの群落があった。そして、すぐに小さい池が見えて来た。ここは二重山稜のような窪みになっていた。ここで珍しい花を見た。白い蝶のような花で、初めて見る花だった。家へ帰ってから調べると、どうも「オオヒョウタンボク(大瓢箪木)」のようだった。
(トリカブト) |
(池が見えて来た) |
(初めて見た花、オオヒョウタンボク) |
ガスで眺望がなく、花の写真を撮りながら歩いて行くと、突然、ガスが切れた。そこはガレ場で鎖がぶら下がっていた。
凄い高度を感じる。つい、「こんな所でガスなんか切れなくたっていいのに・・・」、とグチが出た。 |
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鎖を下ると、今度は梯子が現れた。 |
ずいぶん下らされたので、今度はその分登り返しになった。 鎖場を登るとなだらかになり、別天地のようだった。 ここで奥大日岳で会ったSさんが追いついて来た。しばらく一緒に歩いたが、足の速いSさんに先に行ってもらった。 |
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ゆるやかな斜面を登り切ると、大きな岩がゴロゴロしている所へ出た。△△庭園というのにふさわしい。 「きっと、ここが七福園だろう」と思いながら進んで行くと、道端に「七福園」とかかれたお情け程度の小さな標識があった。 |
ここを過ぎると木道が現われ、小さい池があった。こんな山の上に池があるとは驚きだ。 | |
木道の階段になった。周りには盛りを過ぎたチングルマが咲いていた。 |
木道の脇に、「小屋は近イゾ! ソンナニ急イデ何処ヘイク」と書かれた板があった。「小屋は近イゾ!」というのを見てホッとしたが、次の「ソンナニ急イデ何処ヘイク」というのは、この辺でノンビリして行け!ということだろうか。こんなガスの日にノンビリもしていられない。
木道を登り切ってわずかに下ると、人の声とモーターの音が聞こえて来た。そして赤い屋根がガスの中からボンヤリと見えた。ついに大日小屋へ到着。14時50分。
小屋で宿泊の手続きをしている時、Sさんに会った。思わず「乾杯しよう!」と声を掛けると、本当に付き合ってくれた。二人で庭先のベンチでカンパ~イ! グビ、グビ、プア~、旨い! こんな若くて綺麗な人と一緒に旨いビールが飲めるなんて信じられない。もし夢なら覚めないでくれ~
昨日はビールが売り切れて無かったそうだ。今日、午前中にヘリで荷揚げしたという。その旨いスーパードライが飲めるなんて最高だ! 晴れていればこのベンチから大日岳や剣岳がドガーンと見えるそうだが、剣なんて見えなくてもいい。こうして旨い酒が飲めるなら・・・。
Sさんが小屋へ入って行った後に、東京と千葉から来たという10人のパーティーが来て、10プラス1で宴会になった。
この小屋は定員が4、50人位だろうか。今日の宿泊は定員より若干少ない。一昨日(月曜日)は団体のツアーが入り定員の2、3倍だったそうだ。
今日、称名滝から登って来たという人も数人いたが、ほとんどの人が室堂から往復しているようだ。
この小屋は「ランプの小屋」と聞いていたが、確かに食堂にはランプがあったが、電気もテレビもあった。
夕食後は、ほどよく酔いが回って、すぐに寝込んでしまったが、夜中に起きてみると満天の星空だった。そして、正面に黒いゴツゴツした怪獣の背中のようなモノが横たわっていた。その正体は・・・剣岳だった。夜明けが待ち遠しいなぁ~
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