アカヤシオ紀行
石裂山 (おざくさん)

(879m、栃木県)


西剣ノ峰から見た石裂山


2007年4月15日(日)


相模原−久喜IC−鹿沼IC−(R6−R121−R14−R240)−913加蘇山神社928〜1040奥社1045〜東剣ノ峰〜西剣ノ峰〜1202石裂山1205〜1220月山1316〜1445加蘇山神社

 アカヤシオを見に鹿沼市の石裂(おざく)山へ行って来た。今年は開花が早いかと思ったが、まだ2分咲だった。

(左の写真がアカヤシオツツジ。アカヤシオは九州の方に咲くアケボノツツジの変種と言われている)

 実は、昨年の11月に霞沢(かすみざわ)岳へ行った時、徳本峠小屋で一緒になった筑波市から来たという方に、山の花について色々教えて頂いた。その時から「来年はアカヤシオを見に行こう」と思っていた。

 それから半年が経ち、無性にアカヤシオが見たくなった。できれば最も花が多いといわれる日光栗山村の月山か袈裟丸(けさまる)山へ行きたかったが、開花が5月上旬だという。そこで4月中旬に咲くという石裂山へ行くことにした。

 今年は桜が1週間も早く咲いたので、「アカヤシオはもう遅いかも知れない」と思いながら、仲間3人と出かけて行った。

 今日はMさんの車に便乗。久喜ICから東北道へ乗って鹿沼ICで降りた。天気は上々。あとは花が咲いていることを祈るばかりである。

 バス停がある加蘇山神社の社務所まで行くと、登山者が大勢いた。無料駐車場も満車のようだった。
 我々はそのまま左へ曲がって神社へ向かって行った。民家の庭先にあったアカヤシオが満開だった。思わず歓声を上げる。

 加蘇山神社の前の駐車場も満車(20台弱)で、路肩駐車も数台あった。我々も路肩へ止めた。

 鳥居の前の案内板に、コース上のクサリ場やハシゴ場がマンガチックに描いてあった。ここは標高こそ低いが、昔は修験者が修行した山で、ハシゴやクサリ場が多い岩塊の山だという。

 9時28分に出発。
 まずは神社の階段を登って行く。この加蘇山神社(写真左)は日光の男体山を開山した勝道上人が開いたというだけあって、かなり歴史を感じる。

 山の安全を祈願して、左手の登拝口を潜って行くと、すぐに駐車場からの道と合流し、杉林の中の広い登山道を登って行くようになった。

 しばらくすると、左手が伐採された道となり日差し浴びる。足元にはスミレがいっぱい咲いていた。

 20分ほどで東屋へ着いた。ここで厚手のシャツを脱いだ。右手に小さな滝があり、せせらぎが聞こえ、爽やかな風が吹き渡って来た。

 東屋から2、30mほど行くと、奥社から東剣ノ峰、西剣ノ峰、石裂山と周る右回りコースと、月山(つきやま)から石裂山へ周る左周りコースとの分岐があった。
 ここでクサリ場が苦手というMさんと月山で会う約束をして別れ、我々3人は真っ直ぐ奥社を目指して行った。

 沢筋を登って行くと、すぐに「千本かつら」があった(写真左)。まるで屋久杉を思わせるような年代もので、枝の世代交代が進んでいる。この老木は「千本かつら」と云うより「千年かつら」と云った方がふさわしいと思った。

 足元にはヒトリシズカが咲いていた。ヒトリシズカという名前から、「気品があり、おしとやかでありながら、なぜか薄幸な女性」のイメージが湧いてきたが、実はこれはヒトリシズカではなく、「ハルトラノオ」だった。(写真右)

 沢が涸れて来ると、右手の尾根に取り付くようになり、石や岩が少しずつ現われて来た。

 左手前方にハシゴとクサリが見えて来ると、すぐに東屋へ着いた。10時22分着。ここで小休止。ここで一服しながら前のパーティーが登り切るのを待った。(写真下)


  

(前のパーティーが鎖場を登っている)

(東屋で順番を待つ)

 まずは最初のハシゴを登るとクサリになった。クサリは太く、しっかりしているので安心感があった。クサリに掴まらなくても登れそうだが、念のため片手でクサリを掴んで行く。

 このクサリ場を難なく乗り越えて進んで行くと、今度はなだらかな斜面に手すりが付いた長いハシゴがあった(写真左)。左手には巻き道のようなものが見えた。

 このハシゴは角度が少ないので登りにくい。中腰になって手すりに掴まりながら登って行った。登り切ったところに奥社があり、絶壁の真下にある窪みに社があった。

 お参りを済ませ、サア行こうと思ったが、道がない。ここは絶壁の行き止りで、今、登って来た長いハシゴを引き返す。さっき巻き道だと思ったのが正規の登山道だった。

 ここから急な尾根に取り付き、木の根っこに掴まりながら登って行く。

 最初のピークを登った所に待望のアカヤシオがあった(写真右)。しかし、ほとんどツボミで数輪しか咲いていなかった。民家のアカヤシオは満開だったのに、高度が違うとこうも違うものかとガッカリしたが、濃いピンクのツボミと、開いたばかりの花びらが、初々しかった。花は咲き始めが一番美しいというが、まさに凛とした美しさがあった。

 ここからは、カタクリの花が出迎えてくれた。カタクリを初めて見たというDさんは感激の声を上げながら写真を何枚も撮っていた。

 稜線へ出て右の小さなピークへ出ると、そこが東剣ノ峰だった。気付かずに通り過ぎてしまうところだった。ここにもヤシオがあったが、まだツボミが硬かった。

 ここからハシゴを下る。角度が中途半端なので下り難いが、滑り止めがついていた。ここも中腰になって注意しながら下った。