佐武流山 (さぶりゅうやま)

(2,192m、長野県・新潟県)  155座

白砂山から見た佐武流山(中央やや右のピークが山頂と思われる)


ドロの木平登山口〜佐武流山往復

2007年9月21日(金)

自宅930−1140川越IC−塩沢石打IC−1530栃川温泉・ヒュッテひだまり(泊)

 まずは、この山の名前であるが、二百名山ガイドブックでは「さぶるやま」となっており、「さぶりゅうやまとも読む」と書いてあるが、 地元では単に「さぶりゅう」と呼んでいることから、ここでは「さぶりゅうやま」と呼ぶことにする。

 この山は登山道がなく、積雪期か残雪期に白砂山から登るしかなかったが、地元(長野県栄村)の方々とボランティアの努力によって、平成12年9月に登山道が整備された。しかし、距離が長くコースタイムは往復10時間もかかる。休憩や昼食を含めると11〜12時間はみなくてはならない。

 さらに、昨年(2006年)の台風でR405が落石のため通行止めになり、登山口である中津川林道ゲートまで入れず、途中の「ドロの木平」から山越えで中津川林道へ出るようになった。この道の方が従来より10分か15分ほど近道になったらしいが、山越えにどれほどの体力を要するか分らない。

 そこで体力のない私は、ちょっとリッチに前後泊で登ることにした。しかも、3連休の2日目の天気予報が良くないので、一日休暇を取って出かけることにした。

 今日は登山口に最も近い栃川温泉の「ヒュツテひだまり」へ泊まるだけなので、9時半に家を出た。早朝なら1時間で着く川越ICまで2時間もかかってしまったが、明日は3連休なのでもっと混むことだろう。

 今日は30度以上にもなるという。朝からガンガン照りで暑い。
 関越道からは榛名山や妙義山、武尊山、谷川などがクッキリと見えた。帰りにどこかへ登って帰ろうかと思った。

 塩沢石打ICから秋山郷へ入ると苗場山が正面に見えて来た。
 R405を進み、今宵の宿、「ヒュツテひだまり」の前まで行くと、道路が半分ほど閉鎖され、「佐武流山の登山口までは入れます」と書かれていたので、そのまま登山口まで行ってみた。

 R405は道幅が広くなったところで閉鎖され、その手前に登山道があった(写真左)。ここは「ドロの木平」というそうである。車は20台ぐらい置けそうだ。工事用の車が2台と軽が1台止まっていた。軽は登山者の車かも知れない。

 ここに水場があった。そして「飲料水としての基準は満たしていませんので飲用は控えて下さい」と書かれていたが、一口飲んでみた。冷たくてうまかった。

「ヒュツテひだまり」(写真右)の客は私一人だけだった。今日は金曜日なので空いているが、明日はすでに予約でいっぱいだという。ビールを飲みながら女将さんから佐武流山について色々と聞かせてもらった。

 まずは佐武流山の登山道は、ここのご主人が中心になって行ったという。もともと営林署の作業道があったが、廃道になってしまったのをボランティアを集って復活させた話や、「ドロの木平」というヘンな名前はアオタモを地元ではドロの木と呼び、そのドロの木が多いことからそう呼ぶようになったという。

 ご主人は山男であり、地元の遭難救助隊員でもあり、村議でもあるそうで、登山道復活に当たっては国有林であるため環境庁への申請に大変苦労されたそうである。こういう方々のご苦労があったからこそ、私達は佐武流山へ登ることができる訳だ。感謝しなくてはならない。


2007年9月22日(土)

ドロの木平登山口440〜508林道〜545林道分岐553〜630桧俣川入口638〜648渡渉点〜802物思平816〜943ワルサ峰953〜1040西赤沢源頭(苗場山分岐)1050〜1114坊主平〜1211佐武流山1250〜1330西赤沢源頭〜1420ワルサ峰1425〜1520物思平1530〜1610渡渉点〜1640桧俣川入口1647〜1715林道分岐1720〜1810ドロの木平登山口

 女将さんの計らいで4時から朝食を頂き、早速登山口へ向かった。まだ真っ暗である。昨日の軽が1台ポツンと止めてあった。どうも登山者の車ではなさそうだが、その後ろへ車を止め、昨日のうちに書いておいた入山届をポストへ入れて4時40分に出発。

 いきなりの急登であるが、周りが真っ暗なのでどれほど急なのか良く分らない。それよりもここは熊の巣だというから怖い。ホイッスルを吹きながら登って行った。何しろこの山には私一人しかいないのだから怖い。それにここは熊の巣だけではなくクモの巣も多い。今日は1番乗りのせいか顔中クモの巣だらけである。

 道は広く歩きやい。10分も登ると斜面がゆるやかになり、やがて下りになった。この道は最近出来た道ではなく、地元の人達がキノコ摂りなどで使っていた道のようだ。やがて林道へ飛び出した。林道には標識もあった。ここでヘッドランプを消して、右へ曲がって行く。

 林道はダートなので歩きやすかったが、先が長いのでゆっくりと焦らずに歩いて行った。林道分岐へ5時45分着。ここにも標識が立っていた。道端に座り込んで一服。

(写真は林道分岐。右が従来のゲート方面、正面奥が佐武流山方面)

 林道を歩いていても、いつ熊が出てくるか分らない。ホイッスルを吹いたり、声を出したりしながら歩いて行く。何しろ「ヒュッテひだまり」のご主人は、1日に4回も熊を見たというから林道でも安心は出来ない。

 さっきまでどんよりと曇っていた空に、少しずつ青空が見えるようになって来た。今日は天気予報で晴れるというから休暇を取って来たのだ。絶対に晴れてくれなくては困る。
 今日は涼しくていい。飯豊山のあの暑さは一体何だったのだろう。

 右手下から聞こえて来る沢の音を聞きながら歩いて行く。
 道が下りになり、小さく左カーブを切ると正面に妙義山のような切り立った岩峰が見えて来た(写真左)。上部はガスっているが月夜立岩(つきよたついわ)だろうか。

 そこから50mも歩くと檜俣川下り口があった(写真右)。やっと長い長い林道歩きが終わった。ここで小休止。

(山頂で会った単独行は、この標識を見落として真っ直ぐ行ってしまい、引き返して来たというから注意が必要)

 ここから沢へ向かって一気に下降する。左手に細い流れが見える。その流れに沿って下って行くと大きく平らな岩の上に降り立った。下り口に「檜俣川まで15分」と書いてあったが、10分で檜俣川へ着いた。

【下のロープがあるところが渡渉点。すぐ下は小さな滝になっている。拡大できます】

「さて、どうやって渡ろうか?」と思案する。昨夜、ヒユッテひだまりのご主人が、「私はポンポン跳ねて渡ちゃいますがね・・」と言っていたので、私も挑戦することにした。
 ロープが1本張ってあるのでそれに掴まりながら石伝いに飛び越えた。靴底から2、3センチ濡れただけで済んだ。

 沢を渡れば当然のように急登が待っていた。その急登を登り出すと、クルミがいっぱい落ちていた。クルミがあるということは熊が食べにくる可能性がある。ホイッスルを思い切り吹きながら登って行った。

 その急登も10分ほどでゆるやかになった。ミズナラやブナが生い茂た中を登って行くと、突然、右手の視界が開け、月夜立岩が見えた(写真右)。モッコリとしたケッタイな山だが、もし登山道があるなら登ってみたいと思った。(拡大できます)
 そこからすぐに森林の中へ入り、視界は利かなくなった。

 ヒュッテひだまりのご主人が名付けたという「物思平(ものおもいだいら)」は森林地帯にあった(写真左)。

 昨夜、私が「なかなかロマンチックな名前ですねぇ・・」というと、ニコニコ笑っていたご主人。ここで一服しながら、ご主人はここでどんな物思いに耽ったのだろうか、などと思いをめぐらす。

 そこから4、5分で支尾根へ出た。どうせなら風通しのよいこの辺で休みたいところだが、ヤセ尾根で大勢で休憩するような場所はなかった。それで少し手前に「物思平」という休憩所を設けたのだろうと思った。そもそも物思平は登山道を開拓する時のベースキャンプだったのだろう。

 長袖のシャツを脱いでTシャツになると、爽やかな風が肌に染み渡る。暑くもなく寒くもなく、やはり山登りはこの時期がいい。

 右手後方に、あのヘンテコな山、「月夜立岩」が見え、その奥に鳥甲(とりかぶと)山が見えた。鳥甲山は山頂に雲がかかっているのが残念だった。

 今度は右手後方に格好良い山が見えて来た。岩菅山かも知れないが、山頂に雲がかかってハッキリしない。
 正面にガレが見えて来た。なるほどあれがワルサ峰(みね)かも知れない。

 そのピークに立った。ワルサ峰だと思いきや何の標識もなく奥にピークがあった。ロープで下り、次のピークへ取り付く。

 この辺はシャクナゲが多い。花の季節は見事だろうと思った。
 幾つかのピークに騙され、パーと視界が開けたピークに辿り着くと、そこに「ワルサ峰」の表示があった。やっと着いた。9時43分着。