仙丈ケ岳(せんじょうがたけ)

A北沢峠〜小仙丈岳〜仙丈ケ岳〜馬ノ背ヒュッテ〜北沢峠


小仙丈から見た仙丈ケ岳


2008年7月12日(土)

自宅830−相模湖IC−甲府昭和IC−1120芦安無料駐車場1300−(山梨交通バス)−1401広河原1425−(村営バス)−1450北沢峠・長衛荘(泊)

 今週は東北の朝日連峰へ行こうと思い、毎日天気予報とニラメッコをしていたが、山梨県の天気予報が良いことを知って、急遽、仙丈ケ岳へ行くことにした。

 仙丈ケ岳は一度行ったことがあるが、天気がイマイチで甲斐駒ヶ岳も北岳も見えなかった。それに「花の百名山」に選ばれていながら、足元にどんな花が咲いていたのか、咲いていなかったのかさえ記憶にない。

 そんなことがあって、今回の山行はあの岩コブのような魔利支天を従えた甲斐駒の雄姿を見ることと、どんな花が咲いているかを確認する「花紀行」である。とにかく「何としても甲斐駒が見たい!」そんな思いで出かけて行った。

 今日は久しぶりの好天であるが、中央高速からは南アルプスの山々がわずかに見えるだけで、ほとんど雲に隠れていた。

 甲府昭和ICで降り、芦安温泉をめざして行く。途中、川があるところにも市営駐車場があって一瞬迷ったが、そのまま細い道を登って行った。ここは昨年も迷ったところである。

 ここから先は芦安温泉の白峰(しらね)会館か芦安温泉ロッジを目標にして行くとよい。白峰会館の前がバスの発着所になっており、この向かいにある芦安温泉ロッジの隣が無料駐車場(他にも多数ある)になっている。乗り合いタクシーの発着所でもある。

(左の写真が白峰会館:バス発着所)
(右の写真が芦安温泉ロッジ:右側が無料駐車場)

 私はここで1時間半の待ち合わせ。まずは白峰会館で牛丼を食べ、コーヒーを飲んで時間をつぶす。

 13時発のバスに乗った。途中から北岳、間ノ岳、農鳥岳が見えた。北岳のわずかな残雪が光っていた。山はやはり残雪があると迫力があっていい。

 今宵の宿、長衛荘は北沢峠のバス発着所の目の前にある。今日の歩行時間は1分である。

 宿へ着くなりビールを買い込み、庭先のベンチで乾杯。梅雨明けを思わせるような蒼く澄んだ空と、シラビソの濃い緑を眺めながらのビールは最高!

 明日の帰りのバスは、12:55、最終が15:30であることを確認し、明日はのんびりと最終バスで帰ることにしよう。


2008年7月13日(日)

北沢峠435〜450一合目〜503二合目〜527三合目535〜545四合目〜608五合目〜722小仙丈岳740〜853仙丈ケ岳925〜1017馬ノ背ヒュッテ1025〜1050五合目分岐1100〜1153北沢峠1255-(バス)−1320広河原1330−(乗合タクシー)−1420芦安

 朝は3時ごろからガサガサ始まった。こんなに早く起きて、一体どこまで行くのだろうか。
 枕元でガサガサする音が絶えず、とても寝ていられない。3時半ごろ起き出して外で一服。今日もいい天気になりそうだ。

 この小屋は客が早立ちするから、という理由で朝食は昨夜のうちに弁当を渡される。私は朝食も昼食も頼まず、持って来たオイナリさんを食べて4時35分に出発。

 もう、すっかり明るくなってヘッドランプを点けなくても歩ける。それに、ここへ泊まった人のほとんどが仙丈へ向かっているので、熊の心配もないだろう。

 登山口からいきなりシラビソの樹林帯の急登を登って行く。そこを登り切った所に一合目の表示があった。(写真右)

 そこからは道もなだらかな尾根歩きになり、ルンルンで二合目へ着いた。ここは北沢峠のテント場から直接登って来る道と合流するが、そのテント場からの道を登って来る人がいた。最初は熊が出たかと驚いた。どうも前回のアポイ岳以来、「熊恐怖症」になってしまったようだ。

 左手後方から陽光を浴びた。陽が昇ったのは仙水峠だろうか。今日こそ魔利支天を従えた甲斐駒の雄姿が見たい。そういえば昨日、広河原から北沢峠へ来る村営バスの音声ガイドで、「甲斐駒ヶ岳は南アルプスの団十郎」と言っていたのが面白い。この仙丈岳は「南アルプスの女王」と言っていたが、この山は北岳方面から見ると女性的な山容をしている。早く南アルプスの女王様に登って、南アルプスの団十郎が見たい。

 10分も歩くと、また急登になった。しかし、ほどよくジグが切ってある。しばらく登って行くと展望が利く三合目へ着いた。

 振り向くと、尖がった甲斐駒が見えた。しかし甲斐駒にしては余りにも山容が違い過ぎると思い、地図を取り出して確認すると、何と北岳だった。樹林帯で何も見えず、突然、これな〜に?という感じで現れたので、咄嗟に甲斐駒だと思ってしまったのだ。本物の甲斐駒は北岳より左手に見えたが、樹木が多すぎて写真は撮れなかった。


北岳から見た仙丈岳は女性的な山容をしている

背後に見えた北岳

 登りが急になり、岩や木の根が多くなった。背後の甲斐駒は依然として樹木が多くて写真は撮れない。四合目5時45分着。

 ここから正面に見えるボッテリした山頂の左側を巻いて行く。そして4、5段の木の梯子を登って行くと尾根へ出た。樹木の背丈も次第に低くなり、森林限界はもう近い。そこから30〜40mも歩くと五合目の藪(ヤブ)沢との分岐へ着いた。6時8分着。

 今日は最高の天気だ。真夏の蒼い空が広がっている。前回来た時は、ガスで何も見えなかったので今日が初めて来たような気がする。

 甲斐駒の写真を何とか撮りたい!と思っていると、隣の鋸岳が見事に見えた。しばらくすると逆光だが何とか甲斐駒の写真が撮れるようになって来た。やはり甲斐駒は貫禄があって見事だ。それに、ここから見ると北岳よりも大きく、まさに団十郎と呼ぶのにふさわしい。


鋭い岩峰の鋸岳

光線不足だが、やっと撮れた団十郎こと甲斐駒

 石がゴロゴロした急登を登ると、いつの間にか周りの樹木もハイマツに変わり、大滝ノ頭へ着いた。すぐ下の五合目に「大滝ノ頭」の標識があったが、ここが正しい「頭」だろうと思った。

 ここは展望が良く朝食を摂っているパーティーがいた。正面にハイマツに覆われた緑の山があり、背後には甲斐駒と鋸岳がバッチリと見えた。

 ここからは高山植物が見られるようになって来た。ゴゼンタチバナやイワカガミなどが咲いていたが、数は極端に少ない。

 急斜面を登り切ってなだらかになると、左斜面にハクサンイチゲのお花畑が広がった。すぐ下には雪渓があった。

 小仙丈岳へ7時22分着。ここでしばし撮影タイム。

【小仙丈岳へ着くまでに見た花。山頂付近はもっと凄い!】