(1,800m、奈良県) 181座
2010年5月1日(土)
世界遺産である「紀伊山地の霊場と参詣道」(2004年7月に登録)の中で、最も険しく厳しいのが吉野山と熊野本宮大社を結ぶ「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」であろう。これは大峰山脈を縦走するもので修験者の修行道として知られる。
その奥駈道にある釈迦ケ岳は、「端麗な容姿に加え、峰中第一の好展望を誇る」といわれている。かつて、八経ケ岳へ登った時、この釈迦ケ岳まで縦走したいと思ったが、今回は最短距離で登れる十津川村から登ることにした。
昨日、伯母子岳を往復してから高野龍神スカイラインへ出て、護摩壇山を登って来たが、そこから十津川村へ来るのにエライ遠回りをしてしまった。
そもそも護摩壇タワーから野迫川村の大股へ戻ってR168へ出れば良かったものを、ナビをセットし直したのがいけなかった。バカナビに導かれてスカイラインを南下し、龍神温泉からR425へ入って行った。しかし、恐ろしいほど狭い道で、対向車が来たらバックするのに命がけのような道だった。2、3キロ走って怖くなって引き返す。こんな道をとても70km以上も走れない。
再びスカイラインへ戻り、ここへ来る途中のガソリンスタンドで聞いた本宮周りで行くことにした。この道なら二車線で十津川村まで行けるという。
熊野本宮大社の前を通って十津川村へ入り、何とか民宿へ辿り着くことが出来た。いずれにしても十津川村は本当に遠く不便な村だ。
民宿は登山口に近い上野地で、すぐ前に日本一長い吊橋があった。夕食前に吊橋を渡って来た。山屋は吊橋や高い所が好きなのだ。
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十津川村の宿500−547峠の登山口605〜644不動小屋分岐〜720古田ノ森725〜749千丈平〜807深仙の宿分岐〜815釈迦ケ岳835〜903深仙の宿山小屋908〜935大日岳945〜1013深仙の宿山小屋1020〜1054キャンプ場〜1119古田ノ森1130〜1152不動小屋分岐〜1223峰登山口 |
今朝5時に宿を出て、R168から奥吉野発電所を目指して行った。(R168の民宿リヴーを左折、橋を渡って10数メートルで右折)
登山口までは全舗装になっているが、ほとんど一車線なので対向車が来ないことを祈りながら進んで行った。この時間なら対向車も来ないだろう。
約50分で峠の登山口へ着いた。トイレが建った駐車場にはすでに6台の車があった。 ここで車中泊したと思われる車が2台。フロントが真っ白になっていた。昨夜はかなり冷え込んだようだ。 ここは駐車場が両側にあり、路肩にも止められるので駐車の心配はないだろう。 |
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八王子ナンバーの人が出発して行った。私もその後に続いて6時5分に出発。
まずは「大峯奥駈道」の標識がある階段を登って行く。20mも登ると登山道になり、尾根のなだらかな道になった。 1、2分で朝日を浴びた。とは言えここは森林地帯なので樹木越しである。今日は朝モヤのせいか遠くはモヤっている。釈迦ケ岳の良い写真が撮れるか心配だ。 |
歩きだして10分ほどで標識があった。不動小屋登山口との分岐かと思ったが、そんなに早く訳がない。この辺はシャクナゲが多いがまだ蕾が固かった。
自然の登山道を歩くのは久しぶりのような気がする。先月行った九州の英彦山や雲仙岳などは昔からの参道であり、昨日登った伯母子岳も熊野参詣道・小辺路とはいっても遊歩道のようなものだった。やはり山は普通の登山道の方がいい。
しばらくして、「やあ〜凄い!」と歓声を上げた。一面バイケソウの群落だった。
さらに進んで行くと、太いブナと草原のようになって来た。立ち枯れのブナが目に付く。
不動小屋との分岐へ6時44分着。登山口から39分かかったことになるが、不動小屋から一気に登るより、はるかに楽だと思った。もっとも今や不動小屋から登る人はほとんどいない。
ここからも立ち枯れが目立つブナと草原、バイケソウが生えたのどかな尾根道を進んで行く。
右手に槍のような尖峰が見えた。大日岳に違いないと思った。逆光だったがかまわずシャッターを押した。それにしてもアルペン的で登高心を掻き立てる山だ。釈迦ケ岳を登ってから何が何でも登って来るぞ!と意気込む。
今度は正面右に釈迦ケ岳がわずかに顔を出した。上州にある皇海(すかい)山のような独特の山容をしている。
その釈迦が段々と近付いて来た。幾つかのピークを越えると、縦走路の脇に3mほど高くなったピークがあった。そこに「古田ノ森」と書いてあった。名前から察して森林地帯にあるような気がしたが、こんな展望がいいピークだとは思わなかった。そのピークで撮影タイム。
このピークからは正面に釈迦ケ岳がドガーンと見える。今、駐車場にいた2人組が登って行ったが、こんな展望がいい所をスタスタと歩いてしまってはもったいない。
(古田ノ森は最高の展望台) |
(釈迦ケ岳がでかい) |
(アルペン的な大日岳) |
古田ノ森のピークから次のピークを巻いて下ると、釈迦ケ岳が益々大きくなって来た。
バイケソウが群落になった千丈平へ出た。わずかに湿地帯があった。ミズバショウでも咲いていないかと探したが、すべてバイケソウだった。花時は凄いだろうと思った。
ここから登りになった。霜柱があって驚いた。そういえば駐車場にあった車はフロントがバリバリだったので朝晩は相当冷え込むようだ。風も冷たく感じる。
水場はパイプから溢れるほど流れていた。しばらく登ると八王子の人が下って来た。もう下って来たとは驚いた。彼が早いのか私が遅すぎるのか? 彼はこれから伯母子岳を登るというからさらに驚く。
深仙宿分岐の標識へ8時7分着。ここから山頂までは世界遺産の奥駈道ということになるが、道は今までとは変わらない。
釈迦ケ岳の山頂へ8時15分着。大きなお釈迦様が建った山頂にはザックが置いてあったが人影がない。先客は一人、お釈迦様の後ろで樹氷の写真を撮っていた。この時期に樹氷が見られるとは意外だった。
古田の森で私を追い越して行った2人組は、何と弥山まで行ったという。片道だけで7〜8時間のコースを往復するというから凄い。世の中にはとてつもない人がいるものだ。
(山頂だ!) |
(山頂のお釈迦様) |
(樹氷) |
山頂に建っているお釈迦様は銅製で、1924年に安置されたという。しかも一人で背負って登ったというから驚く。今日は驚くことばかりだ。
ここからの展望はバツグンだった。大峰山脈の最高峰である八経ケ岳や弥山まで見えた。あの2人連れはあの弥山を見て行く気になったのだろうか。
大きなザックを背負った女性が一人登って来た。前鬼(ぜんき)から登って来たと言い、これから弥山まで行くという。