『ヒメサユリ紀行 浅草岳・守門岳』
守門岳(すもんだけ)

(1,537m、新潟県)  134座

大岳から見た守門岳。手前のぼってりしたのが青雲岳、その奥が最高峰の袴岳。


2005年6月26日(日)
保久礼〜大岳〜袴岳〜二口登山口

守門温泉青雲館500〜540保久礼駐車場550〜キビタキ清水633〜大岳835〜1010青雲岳1020〜1033袴岳〜1100青雲岳〜護人清水〜二口登山口

 朝4時起床。各自、朝食を済ませて5時に宿を出発。
 R290から荒貫で右折して細い林道のような道を進んで行く。この辺は魚沼産の米所であるが、風景は他の山村と変わらない。

 山道へ入って行くと、舗装道路にわずかではあるが亀裂が入った所があった。これも昨年の「中越地震」の爪跡だろうか。

 道はさらに細くなり下りになったので不安になった。車を止めてUターンしようと思った時、新潟ナンバーの軽トラが来たので道を尋ねると、「俺も初めてだが、このまま行けば猿倉橋へ行くはずだ!」と教えてくれた。まずは一安心。

 その猿倉橋を渡った所に駐車場があり、トイレがあった。5時25分着。ここへ車を1台デポして、2台で保久礼(ほっきゅれい)へ向かった。

 途中にキャンプ場があり、車が2台止めてあった。ここから先は車で入れないと思っている人が多いようだが、我々はさらに林道を登って行く。

 長峰から栃尾市へ行く道は通行止めになっていた。これも中越地震の爪跡である。栃尾市の登山口には守門神社があり、上杉謙信が若い頃に鷹狩で駆け回っていた所で、毘沙門天が奉られているという。

 その栃尾市への道を左に見送ってさらに登って行くと保久礼の駐車場へ着いた。2、30台も置けそうな駐車場には、まだ1台しか止まっていなかった。

 準備を済ませ、ハイポース。記念写真を撮っていよいよ出発。しかし、ここには登山道の標識がない。

「皆さんここで問題です。さて、どっちへ行くのでしょうか?」という感じだった。
 だが冷静に、いや少し考えれば分かることだった。それは、高い山が鞍部の向こう側にあること。避難小屋が鞍部に建っているはず、だからである。

 スキー場のゲレンデのような所を200mも下って行くと保久礼小屋があった。水場は天気が続いているせいか、かなり細かった。

 ここからはブナ林の中を登って行く(写真右)。模擬木で土留めした階段になっていた。斜面は昨日登ったネズモチ平からの登りに比べればはるかに楽だった。それでも15分も歩くと汗だぐになった。

 朝の澄んだ大気とブナの匂いを嗅ぎ、体調も良くなったようだ。昨夜飲んだうまいビールのせいかも知れない。

 30分も歩くとキビタキ清水があった。ブナ林の中の湧き水なので、本当にうまかった。

 途中に、昨日初めて見た「ギンリョウソウ」があった。昨日浅草岳へ登らなかった二人に教えてあげると、D子さんは「初めて見た」といって感激のご様子。何枚も写真を撮り続け、なかなか登って来ない。一人で「ギンリョウソウ狩り」をしているようだ。

 展望台へ7時30分着。ここからは北側だけしか見えないので、そのまま通過した。

 不動平へ7時40分着。そこに大きな石があったので荷物を置こうとした時、奥にヒメサユリがあった。
「オー、ヒメサユリだ!」と歓声を上げる。そして、まだ登って来ないD子さんに、「ヒメサユリが咲いているぞー」と大きな声で叫んだ。

 ここで大休止として、気が済むまでヒメサユリを愛でることにした。私はこれで全員がヒメサユリを見ることが出来たのでホッとした。今回のヒメサユリ紀行を企画した者として、まずは責任を果たすことが出来た。

 大岳は全く予期せずに着いてしまった。途中に不動明王があると聞いていたが、全く気づかなかった。ザックを置いて一服しょうと思った所が大岳だった(写真下)。

 ここで休憩していると、
「凄い!凄い!」と声を張り上げる仲間がいた。
「何が凄いんですか?」と聞くと、
「展望がスゴイんですよ」と言うので、私も空身で20メートルほど進んで思わず絶叫! 何とそこには大パノラマが広がっていた。

(写真右は大岳から見た守門岳)

 すぐに引き返して、全員に引越し命令を出す。水を飲んでいた人もペットボトルとザックをぶら下げてお引っ越し。そして絶叫!

 何とすばらしい展望だろうか。これぞ守門岳、という堂々とした風格だ。守門岳とはこの大岳と青雲岳、袴岳の連山を言うが、最高峰の袴岳を言う場合もある。

 いずれにしても、これから目指す青雲岳と袴岳が目の前にあった。わずかにモヤがかかっているが、そんなものは山の価値や魅力を少しも損なわない。ここでも撮影会ということで大休止。