帝釈山 (たいしゃくざん)

(2,060m、福島・栃木)  145座

帝釈山の山頂


猿倉登山口〜田代山〜帝釈山往復

2006年9月16日(土)

自宅350−535岩槻IC−(東北道)−710西那須野塩原IC−R400−R121−R352−900猿倉登山口910〜1008小田代〜1040田代山湿原〜1100田代山(避難小屋)〜1212帝釈山1245〜1340避難小屋1350〜1450猿倉登山口

 この3連休は南アルプスの方へ1泊か2泊で行こうと思っていたが、どうも天気が思わしくなく、土曜日だけは何とかもちそうだというので、急遽、日帰りで栃木と福島の県境にある帝釈山へ行って来ることにした。

 実は今年の7月に桧枝岐へ1泊して、田代山と帝釈山を登り、翌日、尾瀬のニッコウキスゲを見に行こうと思っていたが、雨のため中止した。その田代山と帝釈山をリベンジしようというのである。今は花も紅葉もない中途半端な季節ではあるが、3日間も家でゴロゴロしていたら気が狂ってしまう。

 朝3時50分に家を出た。まずは川越を目指して行く。川越からはさいたま市をめざし、岩槻ICから東北道に乗った。
 空は、白い雲の間からわずかに青空が覗いている。今日一日は何とか持ちそうである。

 天気予報では、「今日は北の方へ行くほど晴れる」と報じていたが、西那須野塩原ICを降りて塩原温泉街を過ぎた頃から晴れ間が広がり、強い日差しが差し込んで来た。今日は絶好の登山日和になりそうである。

 湯の花温泉を過ぎると、正面にボッテリした山が見えて来た(写真左)。田代山は高層湿原があるから頂上部分が平らになっているはずである。あの平らな山が田代山だとすると右側のピークが帝釈山ということになる。

 民家の庭先にいたオバさんに、
「あの山は帝釈山ですか」と聞くと、
「帝釈山はここからは見えないんですよ・・」
 と言われる。

 私は、内心、帝釈山でないと言われてホッとするものがあった。あれが200名山の帝釈山だったら登高意欲を失ってしまう。
 しかし、あの山が田代山なのかを聞くのを忘れてしまった。帰りに確認すると田代山で間違いなかった。

 湯の花温泉からは、しばらくは舗装されているがその後ダートになった。林道の分岐には「田代山」の表示があるので迷うことはないが、距離が長い。それに路肩駐車や歩いている人がいるのでハッとさせられた。今はキノコ採りの最盛期で人が多いようだ。

 猿倉登山口には広い駐車場とトイレがあった。車は一台も止まっていなかった。「やっぱり中途半端な季節に来るバカはいないか・・」と思いながら先へ進むと、奥の駐車場に3台の車が止まっていた。やはり変わり者はいるようだ。

 駐車場へ9時ジャスト着。予定より1時間も早く着いたので、下りは日没との争いをしないで済みそうである。
 車から降りると沢の音が聞こえて来た。すぐ下が沢になっていた。そのせいか風が冷たく感じる。

 急いで身支度を整え、9時10分に出発する。
 まずはすぐ下の沢を渡る。冷たく澄んだ水が流れていた。こんな沢があるならわざわざ水を持って来ることもなかったのだが・・・。
 10分も歩くと水場の標識があり、「ここが最後の水場」と書いてあった。7、8m先に細い流れがあった。

 ここは落葉樹が多く明るい。樹木もモミジやカエデなどが多く、紅葉の季節はさぞかし見事だろうと思った。登山道もよく整備されていた。

 30分も登ると針葉樹が混じって来た。しっとりと汗がにじんで来た。
 それにしても静かだ。人影は全くなく、鳥のさえずりも聞こえない。

 斜面がなだらかになってしばらくすると、左手(南側)の視界がパーと開け、日光の山々が見えた。(写真左)

 一番左側の山が女峰山であることはすぐに分かったが、あとは良く分からなかった。

 そこから2、3分も歩くと木道になった。小田代である。規模は小さいが高層湿原である。花はないが草紅葉が綺麗だった。(写真下)



 再び森林地帯の登山道を登って行くと、日光連山が並び立って見えた。それに東側の雲海が見事だった。こんな低い山で、しかもこんな遅い時間に、これほど見事な雲海が見られるとは思わなかった。

(写真拡大できます)

 地図を広げて山座同定をする。一番左手の双耳峰が女峰(にょほう)山で、その右が小真名子・大真名子、太郎山と続き、太郎山の左奥が男体山のようだが、あまり自信はない。

 単独のオジさんが下って来た。もう帝釈山まで行って来たのかと思ったら、「湿原を一周しただけ」と言う。お国訛りから地元の人のようだった。

 登山道から広大な草原へ飛び出した時、思わずバンザ〜イ! と叫びたくなった。草紅葉の中に敷かれた木道を進み、田代山湿原の標識の所へ10時40分着。(写真下)


   まさに、ここは山上の楽園だった。ガイドブックには初夏にはチングルマやコイワカガミ、タテヤマリンドウ、キンコウカなどが咲くと書いてあった。初夏の花時はさぞかし見事だろうと思った。