谷川岳−2/2


 西黒尾根との分岐へ10時25分着。ここが「ラクダのコル」というらしい。ガスも切れて青空が広がって来た。ここで一服して行こう。

 ところで、これから登るあのピークは何て言うんだろう。地図を見ても載っていないが、ここが「ラクダのコル」だからあのピークは「ラクダの頭」とでも言うのだろうか。

 そのラクダの頭らしき無名峰を登って行く。左手には天神平のロープウェイ駅がボンヤリと見えた。

 しばらくすると岩場になり、アルペン的になって来た。ここは日当たりも風通しも良く、岩肌が乾いているので登りやすい。

 しかし、分岐から見た時は簡単に登れそうに見えたが、そう簡単には登らせてくれない。

 途中で昼食を摂っていたご夫婦がいた。私も昼食にしたかったが、とにかくトマノ耳とオキノ耳の双耳峰を写真に収めるまではのんびりできない。そのまま登って行った。

 もうシャリバテだったが、鎖場を越えてやっとピークを登り切った。すると眼の前にトマノ耳、右手のガスの中に浮かぶオキノ耳。思わず「オー!」と歓声を上げた。しかし、これはトマノ耳ではなかった。(右側がトマノ耳かも知れない)

 紅葉が見事になった稜線の岩場で、オジさんが一人で休んでいた。晴れていれば絵になるんだがなあ・・・。

 大きな岩を越えて行く。これが「ザンゲ岩」だろうか。
 とにかく岩場の連続だ。こんなに岩場を登ったのは久しぶりのような気がする。

 しばらくすると、紅葉が見事な一角があった。そこに「ザンゲ岩」の標識があった。なんでザンゲ岩というのだろうか。
(右側の写真がザンゲ岩)

 この辺から下山者に会うようになった。今朝一番のロ−プウェイで登った人達だろうか。

 小さなピークを登り切ると、眼の前に双耳峰が並び立った。今度こそ紛れもない本物だ。手前のトマノ耳に立っている人達が見え、その右手には鋭く尖ったオキノ耳がそそり立つ。さすがは谷川岳の最高峰だ。
 左手には天神尾根が延び、分岐の標識まで見えた。

 天神尾根との分岐の標識の手前で、ポツポツと雨が落ちて来た。
「ついてねぇなぁ・・・、あと5分でトマノ耳だと言うのに・・・!」、とボヤいていたが、すぐに雨は止んだ。

 分岐の標識には、「西黒尾根、厳剛新道の下りは中級者以上」と書いてあった。確かにここは岩場が多く、今日のように岩が濡れて滑りやすい時に下るのは要注意だ。
 ここからトマノ耳はもう眼の前だ。

 分岐の標識には、「西黒尾根、厳剛新道の下りは中級者以上」と書いてあった。確かにここは岩場が多く、今日のように岩が濡れて滑りやすい時に下るのは要注意だ。
 ここからトマノ耳はもう眼の前だ。
 15、6人の先客がいる山頂へ12時20分着。ラクダのコルからこんなに時間が掛るとは思わなかった。もうすっかりシャリバテだ。

 オキノ耳が見える所で昼食にした。ガスがサーと消えると、オキノ耳の左(西)斜面の紅葉が見事に見えた。谷川岳がこんなに紅葉がすばらしいとは思わなかった。

 ここから見ると、手前のピークがオキノ耳のようにも見えるが、奥のピークが山頂だろう。その奥に鳥居のようなモノが見える。
 昔、ここから一ノ倉岳、茂倉岳と歩き土樽駅へ下ったことがあるが、その頃は鳥居など無かったような気がする。今日はぜひあの鳥居まで行って見よう。


(トマノ耳からのオキノ耳、鳥居が見えますか。見えない人は→こちら)

 ここからは一ノ倉岳と茂倉岳も見える。ここから見る限りはおだやかな山容をしているが、東側半分が断崖絶壁になっている。かの有名な一ノ倉沢である。

 かつては谷川岳が「世界一遭難者が多い魔の山」と言われ、その代表格ともいえる一ノ倉沢であるが、遭難の数では今や妙義山の方が上回ったそうだ。それはロッククライミングをする人達が減ったということだろう。

(写真中央が一ノ倉岳、左が茂倉岳)

 昼食を済ませ、「さて、オキノ耳へ行こう!」と立ち上がると同時に、ガスがサーと流れ出した。せっかくの紅葉が台無しだ。
 晴れていれば、岩尾根と紅葉のコントラストが見事に映えるはずだが、視界が利かなくては絵にならない。

 オキノ耳(谷川岳の最高峰)まで15分で着いた。私より一足早く着いたパーティーが、「何んにも見えない山頂もいいもんだ!」と言っていたが、負け惜しみ以外の何物でもない。

 私は山頂の写真を撮っただけで、そのまま鳥居へ向かって進んで行った。左斜面の紅葉が見事だが、ガスが濃いのが残念だった。



 鳥居までオキノ耳から8分で着いた。石造りの立派な鳥居には「浅間神社・奥の院」と書かれ、小さい祠と賽銭箱があった。
 鳥居の石柱を見ると、「平成12年6月、谷川岳ロープウェイ株式会社」と書いてあった。

 狭い岩陰で昼食を摂っている人達もいた。

 私はすぐにオキノ耳へ引き返す。ガスが少し切れて紅葉が綺麗だ。


 オキノ耳を素通りしてトマノ耳まで来ると、山頂には誰もいなかった。静かな山頂の一角に座り込んで、缶コーヒーでコーヒータイム。
 またガスが濃くなって来た。

 トマノ耳、13時36分下山。
 分岐から天神平を目指して瓦礫の道を下って行くと、すぐに肩ノ小屋があった。小さくて可愛い小屋だ。

 ここからは木の階段を下って行く。歩幅が合わず下りにくいが、それもすぐに終わって石と岩の下りになって来た。
 途中に「天神ザンゲ岩」というのがあった。

 稜線の紅葉が良くなって来た。その紅葉のトンネルへ突入。カメラを片手に下って行くが、ここは足場が悪い。天神尾根がこんなに急だとは思わなかった。

 トマノ耳から1時間も下ると小屋があった。熊穴沢避難小屋だ。小屋の中で休んでいる人や着替えている人もいた。
 ここから左手の天神平の道を行く。やっと道がなだらかになった。が、今度は木道になり、足が滑りそうで怖かった。

 天神峠との分岐近くまで来ると、天気が回復し、今朝登った西黒尾根がやっと見えるようになって来た。前方には天神峠のリフト駅も見えた。

 天神峠との分岐で一服していると、天神峠から観光客がやって来た。この辺は紅葉にはまだ早いので、ちょっと気のどくだった。

 天神平からロープウェイで下った。