【シャクナゲ紀行】
太郎山 (たろうさん)

(2,368m、栃木県)


男体山(志津側)の途中から見た太郎山(10月)。


2014年6月15日(日)

山王峠(太郎山登山口)〜山王帽子山〜太郎山・往復

日光湯元温泉(前泊)−510山王峠・太郎山登山口530〜631山王帽子山635〜725ハガタテ薙分岐〜825小太郎山〜901太郎山(昼食)935〜1004小太郎山1010〜1042ハガタテ薙分岐〜1056鞍部1103〜1135山王帽子山1155〜1226山王峠登山口

 
 日光の太郎山はシャクナゲが多いと聞き、あえてこの時期を選び、梅雨の晴れ間とバイトの合間を縫ってやって来た。昨夜は日光湯元温泉へ宿泊。ちょっぴりリッチな山行である。

 朝5時前に宿を出発。山王林道を走って行く。山王峠の太郎山登山口へ5時10分着。湯元温泉から15分位だった。ここには駐車場がなく路駐と聞いていたので早めに来たのだが、さすがに車は一台もない。私が一番乗りだ。余裕で登山口に一番近い路肩へ車を止めた。
 私が準備をしている間に、一台の車が50mほど下に路駐した。

 登山口からすぐに笹に覆われた道を登って行く。藪こぎとまでは言えないが、笹が道に被さっているので身体に絡みつく。ハダニが心配だ。
 針葉樹林帯の急登をもくもくと登って行く。

 40分も登ると傾斜が緩み、少し開けて来た。ダケカンバも見られるようになって来た。
 しかし、また針葉樹の中を登って行く。足元に咲く花は何もない。


 やっと背後が開け日光白根山が姿を見せた。ただ山頂に少し雲がかかっているのが残念だ。

 そこから、わずかに進んだ所に「山王峠」の標識があり、さらに20mほど進んだ所が山王帽子さんのうぼうし山の山頂だった。

 山頂からは男体山が目の前にドーンと見えるが、樹木が邪魔で写真は撮れない。そのままわずかに進んだ所からやっと写真が撮れた(写真右)。
 山王帽子山からは一旦下ることになる。正面の小太郎山との鞍部を見て、「こんなに下るのか!登り返しが思い遣られる」と思ったが、大したことはなかった。最初は急坂を下るがすぐに傾らかになり、また急坂を下るという二段構えである。

(左の写真:右が小太郎山、左が太郎山)

 鞍部から小太郎山を登って行く。ここも針葉樹で面白味がない。
 足元ばかり見て登っていると、突然、シャクナゲが咲いていた。しかも群落だ。これよ、これこれ!これが見たくてやって来たのである。写真を撮りまくった。


 アズマシャクナゲは、ピンクやアズキ色で見事だ。「シャクナゲのトンネルだ!」と歓声を上げたが、距離は短く、ハガタテなぎとの分岐の所までだった。ハガタテ薙コースは今は通行止めでロープがしてあった。そのロープの下にも群落があったのでロープを潜って写真を撮った。

 シャクナゲの群生はこの一角で終わり、またコメツガの針葉樹林帯を登って行く。薄暗く気味悪いが、ここは熊が出てくる心配はないだろう。

 途中で一服していると、親子らしき二人連れと、後から単独のオジさんが登って来た。そのオジさんに「おはようございます」と挨拶したが、返事は返ってこない。「知らない人とは挨拶しない」という主義なのか、それとも疲れて言葉が出なかったのかな?

 さらに登りは続く。

 針葉樹がなくなると岩混じりになり、これを登れば山頂か!と思ったが甘かった。

 道端にバイケイソウがあった。そして足元にサクラの花びらが多くなって来た。ここはサクラの木が多く、まだ咲いている木もあった。多分、ミネザクラだろう。
 突然、パーと視界が開け小太郎山の山頂へ着いた。

 展望は抜群だった。正面に父と言われる男体山がドガーンと見え、目指す長男の太郎山の奥に大真名子山、小真名子山の姉妹と、その奥に母と言われる女峰山が双耳峰に見える。

 日光白根山は山頂の雲もとれ、スッキリとしている。また、戦場ヶ原の向こうには皇海山も見えた。


(右から男体山、大真名子山、小真名子山、女峰山)
   

(女峰山をズーム)

(戦場ヶ原の奥に皇海山)

(日光白根山)

 小太郎山からは岩場を下って行く。

 剣ケ峰の標識があるすぐ下の岩の割れ目にイワヒゲとツガザクラが咲いていた。岩に掴まりながら写真を撮った。(イワヒゲとツガザクラはここ以外は見られなかった)


(岩場を下る先行者)

(イワヒゲ)

(ツガザクラ)

 岩場を過ぎるとコイワカガミが多くなって来た。私は今までイワカガミとコイワカガミの区別がつかなかったが、これは見るからに葉も花も小さい。「これなら私にも分かる」と一人で納得。

 雪渓が現れると、周りはシャクナゲの群生地になった。しかし、花も蕾もない。今年は裏年なのだろうか。それにしても蕾が一個もないというのは不思議だ。と思いながら雪渓を渡り、少し進んだ所で蕾を見つける。「ツボミ見っけ!」、数えるほどの蕾があった。

 新薙しんなぎコースと合流すると、すぐに太郎山の山頂へ着いた。新薙から来た人を含め7、8人の先客がいた。
 山頂には古い祠と新しい祠があった。ここは太郎山権現を祀っているそうだ。

 ここからの展望は素晴らしい。男体山や女峰山の日光連山ファミリーがズラリと並び、さらに目を右へ転ずれば、皇海山、そして日光白根山や金精山、温泉ケ岳が見える。尾瀬の燧ケ岳が雪をたっぷり抱いて双耳峰に見えるが、その右手に見えるのは会津駒ケ岳だろうか。展望を楽しみながら昼食にした。



(太郎山の山頂)

(日光白根山)

(尾瀬の燧ヶ岳)

 もう充分展望を満喫したので下ることにする。

 往路を引き返し小太郎へ向かっている途中で、6人のパーティーと3人のパーティーとすれ違った。

(写真左は、小太郎山への登り返し。奥が小太郎山。剣ヶ峰の岩場には巻道もある)

 小太郎山で一服してから下って行くと、4、5歳の女の子を連れたお父さんが登って来た。この親子は小太郎までだという。4、5歳で小太郎まで登るとはエライ!

 ハガタテ薙との分岐からは、またシャクナゲを撮りながら下って行く。


 ツアーの団体さんが登って来た。16人だという。「すぐそこにシャクナゲが咲いてますよ〜!」と声をかけてやった。
 さらに続々と登って来る。太郎山がこんなに人気があるとは思わなかった。

 山王帽子山との鞍部で小休止。最後の登り返しの前に水分を補給しておこう。

 山王帽子山の山頂へ着くと、空身のご婦人がいた。聞けば旦那さんが具合が悪いという。山頂からわずかに下った「山王峠」の標識がある所で、旦那さんが寝そべっていた。御夫婦は「今日はここまでで下ります」というので安心した。
 その御夫婦と、しばしおしゃべりタイム。

 ここからの下りは早かった。登る時のあのシンドさが嘘のように、アッというまに登山口へ着いた。

 林道にはズミの花が多く咲いていた。まだ蕾も多い。

 光徳牧場へ下る途中で、余りにもミズナラの新緑が綺麗だったので、車を止めて写真を撮った。太郎山へ登る場合、光徳温泉へ車を置いて山王峠まで歩く人も多いと聞くが、このミズナラの群生地の中を歩くのが賢明かも知れないと思った。

 光徳牧場へ立ち寄ってアイスクリームを食べ、お土産を買ってから帰路に就いた。