【シャクナゲ紀行】
天狗山(1882m)〜男山(1851m)

(長野県)



男山付近から見た天狗山


2015年5月22日(金)
馬越まごい峠〜天狗山〜男山・往復

445相模原・愛川IC−(圏央・中央)−須玉IC−(R141・R68・R2)−638馬越峠650〜805天狗山820〜1040男山1115〜1315天狗山1325〜1418馬越峠

 この山は奥秩父山系の最西端にある岩稜の山で、アズマシャクナゲが多いという。

(まずは満開のシャクナゲからどうぞ!)

 山仲間からこの山を教えてもらった時、私はすぐにでも行きたいと思ったが、「どうせ行くならシャクナゲが咲く時に!」と思い、じ−とこの時を待っていた。

 そして、時は今、果たしてシャクナゲは咲いているだろうか。
 4時半に家を出た。圏央道、中央道を飛ばして行く。雪を抱いた甲斐駒や北岳、そして八ケ岳などが見事に見えた。

 川上村へ入ると、目指す天狗山と男山が見えて来た。逆光だがかまわず写真を撮った。

(右が天狗山、左が男山)

 馬越峠へ着くと、車は一台もなく驚いた。ここは駐車場が狭い(7、8台)と聞いていたので早く家を出て来たのに・・・。ここは人気がないのだろうか。
 もっともアズマシャクナゲを見るなら、近くの十文字峠や瑞牆山、金峰山などがあるから、ここはマイナーな山なのかも知れない。

 車から降りると寒くて震える。今日は夏山バージョンなのでシャツを1枚着込む。さっきまで高曇りだった空も青空が広がり、やっと、お天道様も顔を出した。

 6時50分出発。
 いきなり急登を登って行く。しかし、その急登も10分か15分で終わり、なだらかな尾根へ出た。
 ここからはミツバツツジのオンパレードになって来た。すでに葉が出ている花もあるが、咲いたばかりの初々しいものもあった。

 ミツバツツジだらけである。写真ばかり撮っていて、なかなか前へ進まない。
 ミツバツツジが多いのは嬉しいが、今日はミツバツツジではなく、シャクナゲを見に来たのである。

 そのシャクナゲがありました!すでに盛りを過ぎた花もあったが、咲き出したばかりの花も多い。今年は桜もアカヤシオも一週間位花が早かったので、少し早めに出掛けて来たのが正解だった。

 シャクナゲのトンネルになった。花が小振りのような気がするのは気のせいだろうか・・・。
 写真を撮りながら行くと、パーと視界が広がり、正面に天狗山が見えた。ボッテリした感じで岩峰というイメージではない。しかし良くみれば、左端は絶壁になっているではないか。

 いよいよ天狗の最後の登りか、と思った時、大きな岩峰を巻いて行く。
 ミツバツツジの蕾が宝石のように綺麗だ。

 山頂直下の急登。ここはミツバツツジとシャクナゲのコラボだ。シャクナゲは花こそ少ないが綺麗だ。

(登山道の左がミツバ、右がシャクナゲ)

 天狗山、8時5分着。もちろん誰もいない。大展望を一人で貸切だ。
 正面(東)に並び立つ八ケ岳が素晴らしい。そして、その手前にこれから向かう双耳峰の男山が見える。その左手には雪を抱いた甲斐駒、北岳が聳え立っている。


(天狗山山頂)

(手前の双耳峰が男山、後方は八ケ岳)

(右から甲斐駒、北岳、間ノ岳)

 北アは白馬から爺あたりまでバッチリ見えるが槍穂は山に隠れて見えない。
 南には金峰山と瑞牆山が見える。瑞牆山はもう一度登ってみたいと思う。


 すっかりのんびりしてしまった。ぼちぼち男山へ行こう。
 ここからもシャクナゲが多い。木は密集しているが花はさほど多くはない。

 シャクナゲの写真を撮りながら下って行くと、スッポリと切れ落ちた絶壁の上へ出た。この絶壁をどうやって下るのだろうか。

 男山へ行く尾根へ出るにはこの絶壁を下るか、一旦ゴルフ場まで下って登り返すしかない。

(あの尾根までどうやって下る?)

 登山道は絶壁を左へ巻きながら下り、そして今度は右へ一気に下って絶壁の中腹をトラバースして行く。トラバースといっても樹木があり、道はしっかりしている。

 そして、再びシャクナゲ街道になった。
 わずかに下った所に標識があり、大深山遺跡との分岐になっていた。

 途中から振り返ると、今下って来た絶壁が見えた。凄い! あんな所を下って来たなんて!
 しかし、帰りの登り返しが思いやられる。

(カーソルを写真の上に置くとコースを表示)

 尾根へ出るには、まだまだ下らねばならない。

 ついにロープ場が現れた。

 天狗を下って鞍部へ出ると、広い稜線になった。今までの岩稜歩きがウソのようだ。

 しばらくなだらかに登って行くと、露岩が現れ、ジグを切って登って行く。登り切った所には標識はなかったが、垣越山だろうか。ここは樹木が多く展望はない。

 そして、ここからが本格的な岩稜になった。両手両足の四駆で登ったり下ったり、巻いたりしながら進んで行く。

 気が付けば瑞牆山の右手に富士山が見えるではないか!

 岩場の脇はミツバツツジとシャクナゲのコラボレーションだ。

 パーと開けた岩棚へ出た。ここから振り返ると初めて天狗山の全景が見えた。ここから見る天狗が恰好いい。男山もだいぶ近づいて来た。

 ここからもシャクナゲ街道は続く。突然、「お−、群落だ!」と歓声を上げた。これだけの群落は初めてだ。

 ボッテリしたピークを右から巻いて行く。巻道もシャクナゲの原生林だ。シャクナゲの写真を撮りながら、のんびり歩いて行く。

 鞍部に直登コースと右へ行くコースがあった。私は男山は双耳峰なので両方登るつもりで、直登コースを選択した(右のコースは合流しなかった。廃道かも?)。
 このピークには標識はなかったがシャクナゲの花が多かった。

 下った所に標識があり、「御所平」との分岐になっていた。
 もう一つの標識(写真右)に「男山0.6Km」とあり、その上に手書きで「すぐです」と書いてあった。

 600mも登るのに、「すぐです」と言うのだろうか、と疑問を抱く。  

 気合を入れ直して登って行くと、なんと6分で山頂へ着いてしまった。あの標識は何だったのだろうか。

 ここも貸切である。まさに360度の展望を楽しみ、甲斐駒や北岳を見ながらランチタイム。
(右:北岳、左:間ノ岳)

 11時15分、下山。
 標識まで下り、「男山0.6Km」と書いてあるのを良く見ると、0.6の間にマジックで”0”が書いてあった。つまり「0.06Km」だったようだ。

 天狗の登りで、やっと人の声を聞いた。大宮から来たというご婦人2人が下って来た。人恋しさに、しばしおしゃべりタイム。

 シャクナゲやミツバツツジの写真を撮りながら、再び天狗の山頂へ立ち、馬越峠へ14時18分着。

 私の車だけがポツンとあった。大宮から来たというご婦人は電車で来て、ここまでタクシーで来たと言うから、今日はたった3人しか入山していないようだ。
 しかし、こんなにミツバツツジとシャクナゲが多い山を登らないなんて、本当にもったいないと思った。

 シャクナゲが多い山は数多くあるが、シャクナゲが咲くのは局地的な所が多い。それに対しここは一日中シャクナゲとミツバツツジが楽しめる。しかも岩稜で楽しい。ここは知る人ぞ知る、隠されたシャクナゲの名所のようだ。