和賀岳 (わがだけ)

(1,440m、秋田・岩手)  183座

薬師岳から見た和賀岳(右奥、左手前のピークは小鷲倉)


真木まぎ渓谷・旧マタギ小屋跡〜薬師岳〜和賀岳・往復

2010年7月18日(日)

自宅−岩槻IC−(東北道・秋田道)−(寄り道:大曲IC−田沢湖−角館・武家屋敷)−中里温泉(泊)

 この山は花の名山として知られ、「花の百名山」であり「日本二百名山」でもある。

 私が持っている「日本200名山を登る」というガイドブックには、『奥羽山脈の和賀山塊の主峰。本邦に残された秘境の1つとされ、手垢のつかない深い源流谷を見ながら辿る稜線の周辺は希少植物の宝庫でもある』、と書かれている。

 ここは希少植物だけでなく、薬師平に咲くニッコウキスゲの群落が凄いらしい。私はインターネットで写真を見ただけで、何が何でも行きたいと思った。そして時は7月中旬。ニッコウキスゲの群落と希少植物に出会えるかも知れない。

(上の写真が薬師平のニッコウキスゲ。地元のパンフを使用)

 そもそも今回の秋田遠征は、この和賀岳のニッコウキスゲと秋田駒ケ岳のコマクサを見ることにある。

 朝5時に家を出て東北道を走って行った。今日は登山口近くの中里温泉泊まりなので急ぐこともないが、3連休のド真ん中ということで、渋滞を心配して早めに出て来たのだが、渋滞らしい渋滞もなくスンナリ来てしまい宿へ行くには早過ぎた。
 そこで少し遠回りをして田沢湖へ行って見ることにした。明後日に登る秋田駒ケ岳を田沢湖から眺めてみたいと思ったからだ。

 しかし、その秋田駒は山頂部分が雲に隠れて見えなかった。
 さらに角館の武家屋敷を見物してから今日の宿、中里温泉へ向かった。

 中里温泉は日帰り客で賑わっていた。宿泊は「登山パック」というのがあり、夕食付、朝食がオニギリで6,000円というお値段である。私のような貧乏登山家には助かる。
 温泉は入り放題で、登山口まで送迎もしてくれるそうだ。

2010年7月19日(月・祝)

中里温泉510−550登山口駐車場600〜甘露水615〜637ブナ台642〜709滝倉清水714〜800倉方810〜851分岐〜901薬師岳911〜954小杉分岐1000〜1032小鷲倉1040〜1120和賀岳1135〜1205小鷲倉〜1224小杉分岐〜1300薬師岳〜1324倉方〜1347水場1355〜1428甘露水

   朝4時起床、5時出発の予定だったが、5時にフロントへ行くと、何と私の弁当がない。管理人は、「私がちょっと離れたスキに、2人組のお客さんが弁当を3つ持って行ってしまった」といい、「困ったなぁ〜や、どうすっかなぁ〜や」というだけで、全くラチが明かない。
 近くにコンビニもないという。仕方がない、今日は非常食で我慢しよう。

 ここから登山口まで30分ぐらいだろうと思っていたが、甘かった。最初は舗装された道でスイスイ行けたが、その先がガタガタ道のダートになった。すぐに先行車に追い着く。先行車が遅くてイライラした。

 さらに下って来た2台のタクシーの運転手から、「後から4台来るのでここで待っていてくれ」と言われる。上にすれ違う場所がないという。
 結局、5、6分待たされ、駐車場へ着いたのは5時50分だった。

 駐車場にはすでに5台の車があり、私が駐車している間にも3台の車が入って来た。お互いに挨拶を交わす。

 すぐ近くにある避難小屋に人影が見えた。ここへ泊まった人もいたようだ。急いで準備を済ませ、全身に防虫スプレーをかけて6時ジャストに出発。

 右手に沢の音を聞きながら、林道を歩いて行った。

 10分ほど歩くと駐車している車があって驚く。「え、もう登山口なの?」という感じだった。左手に登山口の標識があり、その先5、6mの所に甘露水があった。私はここへ駐車出来ることは知っていたが、せいぜい4、5台で、満車になるとUターンができなくなりバックで戻ることになるというので下の駐車場へ止めて来たのである。

 早速、甘露水を飲んでみた。冷たくて美味しかった。

 ここからブナ台へ向かって登って行く。ここはまさに原生林で薄暗い。ここを朝一番で登るには熊チェックが必要だが、今日はその必要もなさそうだ。

 さほどの急登ではないが、温度と湿度が高いせいか、すぐに汗だくになった。

 尾根へ出ると、そこがブナ台だった。6時37分着。ここはブナ台というだけあって、周りは太いブナ林だった。そのブナの根っこに腰を下ろして一服。

 ブナ林の緩やかな斜面を登っていると、後ろから爆竹の音がした。6、7連発の爆竹だった。熊でもいたのだろうか。

 ブナ台から25分ほどで小さな沢へ出た。まず石伝いに沢を渡ってから、沢の水をゴクゴク飲み、顔を洗った。「あ〜あ、生き返るなあ〜」
 さわやかな風が吹き渡って来た。何ともいえぬ爽快な気分である。

 いつまでもここにいたいぐらいだが、先が長いのでボチボチ行くとしよう。ここから倉方までの40分がかなりキツそうだ。心して行こう。

 歩き出して7、8分で小屋跡があった。昔はここに避難小屋があったらしいが、今は更地になっていた。ここでキャンプも出来そうだが、ここは虫が多くて大変だろう。

 しばらくすると、右足の太ももに痛みが走る。今まで痛めたことがない所である。歳とともに身体も老朽化しているようだ。騙しだまし行くしかない。
 後ろのパーティーがうるさい。姿は見えないが、オバさんの甲高い声が響いてくる。さっき爆竹を鳴らしたパーティーらしい。

 周りに白い花がいっぱい咲いていた。これは何んだろう。

 しばらくして、ギンリュウソウに似ているが頭が丸い変なのを見つける。もしや新種か?それとも希少植物か?と思ったが、どうもギンリュウソウの蕾のようだった。

   
  倉方へ8時ジャストに到着。思ったほどの急登ではなかった。ここでも休憩だ。今日は各駅停車である。とにかく今日はロングコースなのでバテないように休み休み行こう。

 涼しい風が吹き渡って来る。汗だくの身体には心地よいが、長く休んでいるとすぐに寒くなる。

 後ろのうるさいパーティーをやり過ごしてから出発した。

 2、3分も歩くと、パーと右手の視界が開け、前方に薬師岳が見えた。右手には甲山方面の山が並び立って見えた。


(薬師岳だと思って写真を撮ったが、実際は手前のピークだったようだ)

(大甲、甲山方面)

 道端が一気に花畑になって来た。ヨツバヒヨドリやオニシモツケソウ(たぶん)などに覆われた。あ、ハクサンシャシジンだ。ハクサンシャジンを見るのは何年ぶりだろう。

 おお、クルマユリだ! それにハクサンフウロもいっぱい咲いている。花のオンパレートになって来た。ストックを左脇にかかえ、カメラを持って写真を撮りながら登って行く。全然前へ進まない。


(ヨツバヒヨドリ)

(オニシモツケ)

(ハクサンシャジン)

(クルマユリ)

(ハクサンフウロ)

(オオバギボウシ)

(ウツボグサ)

(ミヤマホツツジ)

(イワオトギリ)

 前方を見れば、さっき追い越して行った、あのウルサイ・パーティーが、もう薬師の直下にいるではないか。私も少し歩を進めよう。