和賀岳−2/2

 大甲との分岐へ8時51分着。やっと目指す和賀岳が見えて来た。しかし肝心な山頂にはわずかにガスがかかっていた。「あ〜あ、早くあのガスが切れないかなあ・・・」

(中央やや左が和賀岳。ガスが少しかかっている)

 薬師岳には山頂の手前に薬師如来を祀った薬師堂があり、そこから10mほど先に山頂があった。山頂着9時1分。ここから立派な和賀岳を見たかったが、山頂にかかったガスが消えない。

 それに、ここから薬師平方面を見下ろす限り、ニッコウキスゲらしいモノは見えない。もう終わってしまったのだろうか。


(薬師堂)

(薬師岳・山頂)

(薬師岳から見下ろす薬師平)

 ここからは稜線歩きになるが、風がやたらと強く吹き飛ばされそうだった。花も強風にあおられ、とても写真が撮れるような状況ではないが、それでもガムシャラにシャッターを押した。
 帽子が飛ばされた。幸いなだらかな斜面だったので拾いに行った。

 ここから見る和賀岳は、さらにガスがかかっていた。それに、期待していたニッコウキスゲはすでに終わり、所々にポツン、ポツンと咲いている程度だった。今はイブキトラノオやトウゲブキなどが咲いていた。つい「俺はこんな花を見に来たんじゃねぇんだがなあ・・・」とボヤキが出た。


@これを見に来たんだが・・・

Aこんな感じだった・・・

   
 小杉山への道は草に覆われ、パッと見た限りではどこが登山道か分からない。「登山道はどこだ!」(写真左)

 ストックで草をかき分けながら歩いて行く。もう草露でズボンはびっしょりだ。

 ここから見る小鷲倉が格好いい。つい、あれが和賀岳かと思ってしまう。和賀岳は依然ガスが切れない。
(写真右:手前が小鷲倉)

   
 小杉分岐へ着くと5、6人の先客がいた。座る場所もなく、立ったまま一服していると、その中のオジさん2人は下山者で、「山頂近くにはニッコウキスゲが咲いていた」と教えてくれた。

 先客はすぐに出かけ、ポツンと一人だけ残された。

 (写真左:小杉分岐)
 (写真手前:小杉分岐から薬師を振り返る)

 小鷲倉へ向かって行くが、その小鷲倉も山頂付近は雲に覆われていた。天気はどうも下り坂のようだ。雨が降って来ないことだけを祈る。

 ここからも花の写真を撮りながら歩いて行った。
 途中で珍しい花を見つける。珍種発見! 花首なようなものがやたらと長い変な花だった。サギソウの仲間のようだが初めて見る花だった。


(ハシナガヤマサギソウ?)

(イワイチョウ)

(クガイソウ)

 やがて、ダケカンバとクマザサの登りになり、ガスの中へ突入。

 しばらく登ると、ひょっこりと標識が現われた。小鷲倉は岩礫のピークかと思ったが、ボッテリした笹に覆われた山の斜面に標識が立っていた。標識がなければ、ここが小鷲倉だとは思えない。ガスもいよいよ濃くなった。

 ここからは和賀岳への最後のワンピッチである。あと40分だ。頑張ろう。
 ここからは、なだらかな道を行く。この辺から和賀岳の雄姿を見たかったが、ままならぬ。濃いガスの中で花々が揺れる。

 私が立ち止ってメモを取っていると、50センチ位後ろに人がいてビックリした。単独のオジさんだった。道で立ち止まる方も悪いが、黙って近付く方も近付く方だ。後ろから「こんちわ〜」ぐらいの挨拶があれば気持ちよく道を空けるものを・・・。そのオジさんは黙って通り過ぎて行った。

 山頂の手前のボッテリした山を巻いて行くと、20人位の団体さんが下って来た。聞けば今朝タクシー6台で来たパーティーだという。どうもツアーのようだった。その団体さんから、「山頂はそこですよ」と言われたが、ガスって何も見えなかった。


(山頂近くなってやっとニッコウキスゲが咲いていた)

 さらに登って行くと、道端にシャクナゲに似ているがちょっと違った花があった。シャクナゲとは葉が全く違う。これも初めて見る花だった。これは「オオバツツジ」らしい。

 また近くにあったネバリノギランをせっかくだから撮っておこうかと覗き込むと、あの平凡なネバリノギランではない。あの咲いているのかどうか分からないような地味な花ではなく、しっかりとした花が咲いていた。「う〜ん?何だろう、これも珍種か!」と思ったが、どうもネバリが付かないノギランらしい。


(オオバツツジ)

(ノギラン?)

(ミヤマウスユキソウ)

 
 和賀岳山頂へ11時20分着。祠や標識があった。しかし展望は全くない。それよりも風が強くて寒い。周りにウスユキソウが咲いていた。

 その山頂には2組のパーティーが風を避けて休んでいた。私も高下コースの方へ下った所で昼食にした。昼食といっても今日は非常食である。

 寒くて食事もしていられない。それにタオルも帽子も風に飛ばされた。急いで拾ったが、食事もそこそこに下山することにした。
 山頂にいた2組のパーティーも下山していなかった。

 とにかく風が強い。それにガスの中に冷たいものが混じって来た。もう台風のようだった。とにかく急いで下ろう。

 小鷲倉、12時5分通過。
 ここは本来なら雲表の草原で、ルンルン気分のお花畑だが、今はもう悲壮感さえ漂う必死の脱走である。早くこの強風が吹き荒れる稜線から抜け出さなくてはならない。視界はもう10mぐらいしか利かなくなった。

 もう登って来る人もいない。私がアンカーで後ろにいるのは熊だけである。早く前のパーティーに追い付かなくては・・・。

 小杉分岐からは風が少し弱くなった。ルートの方向が変わったせいだろう。
 しかし、登りもそうだったが、ここは登山道が草に覆われているため、視界が利かないと不安だ。

 しばらくすると、ガスの中にボンヤリと人影が・・・。タクシーで来た団体さんが休んでいた。これでまずは一安心。

 薬師平も風が強く、耐風姿勢を取りながら歩いて行く。帽子がアッという間に飛ばされた。あ〜あ、帽子を損しちゃった!

 薬師岳の直下にある薬師堂へ13時ジャスト着。もうここまで来れば安全圏だろう。
 ここから15分も下ると、やっとガスから抜け出し、視界も利くようになった。
 ダケカンバの森林帯へ入って行く。もう何の心配もない。

 倉方を過ぎ、20分ほどで小屋跡へ出た。そこから5分足らずで沢へ出た。荷物を置いて沢水をゴクゴク飲んだ。
 和賀岳から必死の脱走で、ここまでノンストップで来てしまった。ここでゆっくり一服していこう。

 私が一服している間に、途中で追い越して来たオジさんと、女性2人が降りて来た。皆んな沢水を旨そうに飲んでいた。冷たい水を飲むと本当に生きかえる。

 ブナ台からは、曇っているせいもあるが、日没を過ぎたような暗さだった。いくらブナ林でも薄気味悪いが、後ろに大勢いると思うと心強いものがあった。

 駐車場へ14時40分ごろ到着。早く中里温泉へ戻ってビールが飲みたい。
 明日は秋田駒ケ岳である。→秋田駒ケ岳へ続く