(2,036m、埼玉) 133座
相模原735−相模湖IC−勝沼IC−塩山−R411−1030三ノ瀬登山口1045〜1315将監(しょうげん)小屋(テント泊) |
和名倉山はシャクナゲが多いと聞いて、初めて買ったテントを担いで出かけて行った。山頂へ行く途中にある西仙波・東仙波一帯はまさにシャクナゲのオンパレードで、こんな見事なシャクナゲを見たのは初めてだった。
そもそもこの山へ登ろうという気になったのは、シャクナゲが多いと知ったからであるが、この山がどこにあるのかも知らなかった。
この山は雲取山から笠取山、甲武信岳へと続く奥秩父主脈縦走路からポツンと北に離れているため、登山者も少なく奥秩父の秘境といわれているそうである。
山名はガイドブックによると、『地元では和名倉山、甲州では白石山と呼ばれている』と書いてあるが、三ノ瀬登山口(塩山市)でも和名倉山と呼び、「山と高原地図」でも「和名倉山」になっていた。さらに山頂の標識も「和名倉山」になっていたから、今や「和名倉山」と呼ぶのが一般的のようだ。
登山口は塩山市の三ノ瀬から登るのが一般的らしいので、三ノ瀬をめざして朝7時過ぎに家を出た。空は高曇りだが、うす陽が差していた。
相模湖ICから高速に乗り、勝沼ICで降りた。塩山を過ぎ、R411を走りながら今日の昼飯を買うためコンビニを探したが見当たらず、地元の人に聞くと「15分ほど戻った所にある」と教えられて引き返す。しかし、オニギリは売り切れ、弁当も売れ残ったまずそうなのが2つあるだけだった。仕方がなく買い込む。
一ノ瀬からは舗装された林道を登って行く。所々に頭ほどもある石が転げ落ちている。道端に寄せられてはいるが落石が怖かった。
やがて民家が現れて来た。三ノ瀬である。「民宿しゃくなげ」の駐車場へ車を止めた(1日500円)。広い駐車場にはすでに7台が止まっていた。
山支度を整え、10時45分に出発する。
5、6分ほど歩いてから、車の中へストックを忘れて来たことに気づく。しかし、もう引き返す気はない。
車が通れるほどの道をゆるやかに登って行く。しかし、今日はやたらと荷物が重い。生まれて初めてテントを担ぎ、その上ビールや酒をまで担いでいる。そもそもテントはこの和名倉山へ来るために買ったのではない。北海道のカムエク(正しくはカムイエクウチカウシ山)という山へ登るにはどうしてもテントが必要なので買ったのである。そのカムエクは7月に行く予定だったが都合で来年になってしまったのだが・・。
30分ほど歩くと、左から小さな沢が流れ込んだ所で、オジさんが一人座り込んでタバコをふかしていた。私もここで一服し、ついでに弁当を食べた。
「ムジナの巣」という水場(写真左)へ12時3分着。水を一口飲んで行く。周りを見ると濃い緑と淡い緑が入り混じった新緑が見事だった。また、道端には紫色のスミレのような花がいっぱい咲いていた(写真右下)。
将監峠と小屋の分岐まで来ると道端にミツバツツジが咲いていた。大半はまだ蕾が固かった。やはりこの辺(標高1800m)はまだまだ寒いようだ。
将監小屋へ入って行くと、大きな犬に吠えられてびっくりした。テントの手続きすると、「好きな所へ張ってくれ!」といわれる。すぐ脇がテント場になっており、オレンジ色のテントが1張あった。一人ぼっちでは不安だったが、先客がいてくれてホッとした。
草原の斜面に段々畑のようになったテントサイトで、早速、設営にとりかかる。テントを買う時、店員が「私なら5分以内で設営できる」と言っていたが、私は20分位かかってしまったが何とか設営できた。
(左の写真:手前の黄色いテントが私が初めて張ったテントです)
早速テントの中にザックを放り込み、カメラとビール、つまみだけを持って草の斜面を登って行った。すぐに将監峠へ着いた。ここで一人で乾杯する。
(写真右:将監峠の近くから小屋とテント場を見下ろす)
ビールを飲みながら本を読んでいると、ガランガランと熊除け鈴を鳴らしながら単独行が下って来た。和名倉山を往復して来たという。実はこの人がオレンジ色のテントを張っている人だった。テント場へ戻ってからビールを飲みながらテントの張り方やテント泊についてのノウハウをご教授頂いた。
4時を過ぎると、続々と峠から下って来た。小屋へ泊まる人達らしい。和名倉山から下って来たというご婦人から、「シャクナゲがすばらしかったわよ。シャクナゲのトンネルみたいで・・」と聞かされて嬉しくなった。明日が楽しみだ。
その後から外国人2人と女性1人のパーティーが別々にテントを張った。これで合計5張。1張でも多い方がいいので大歓迎だった。
この外国人が小型犬を連れていた。犬は日本語が分かるのか英語が分かるのか聞いてみると、「エイゴデス」と流暢な日本語が返って来た。犬でも英語が分かるとはエライ。
夕食はレトルトの牛丼だった。外で食事をしていると、この犬がすばやく現れて牛丼を少し喰われてしまった。「これは俺の夕食だ!」と追い払う。それでもウロウロする犬を足で追払いながら、立ったまま牛丼を喰った。
夜中に寒くて何度も目が覚めた。テントの入り口から顔を出し、月を見上げながらタバコをふかしていた。