和名倉山 2/2

2005年5月29日(日)

将監小屋テント場445〜506山ノ神土511〜654東仙波〜838和名倉山840〜1152山ノ神土〜1215将監小屋1305〜1440三ノ瀬登山口〜R411−青梅−相模原

 4時前に起きてしまい、トイレ、食事を済ませ、明るくなるのを待った。起きた時は上空に半月が見えたが、明るくなるにしたがってガスが流れ出した。視界は約100mぐらいだろうか。

 テントを張ったまま4時45分に出発。
 草原の急斜面を登って行く。振り向くと鈴を鳴らしながら2人連れが登って来るのが見えた。いきなりの急登で心臓が破裂しそうだったが、すぐに将監峠へ着いた。

 ここから左へ折れて笠取山方面へ向かって行く。シラビソの中を5分も登ると左手に草原が広がって来た。水さえあれば快適な野営が出来そうだ。

 そこからすぐに分岐があった。そこが牛王院(ごおういん)平だった。今日この道を歩くのはきっと私が最初だろうと思うと、クマが気になった。昨日、隣にテント張った方から「ここにはクマがいる」と聞かされたからだ。キョロキョロしながら歩いて行くと、ガスの中にボンヤリと浮かんだ標識に、一瞬立ち止まった。クマかと思ったからだ。そこが山ノ神土(やまのかみど)という変わった名前の分岐点だった。

 ここで腰を下ろして一服する。ここからが難路といわれる道なので、地図をしっかり確認した。標識の脇には『白石山(和名倉山)山頂へのコースは未整備で遭難事故が多発しています』と書いてある。

 その「未整備で遭難多発」という道へ分け入って行く。道は山の右側をトラバースして行く。足元はササが生い茂り夜露に濡れ、まさに露払いである。でも、明るいのが救いだ。支尾根のような所へ出ると青空が少し広がって来た。ここから東斜面へ向きを変えて行く。
 しばらくすると、ついに太陽が顔を出した。バンザーイ! まだ快晴とはいえないが、薄日でも差してくれれば有難い。

 すぐに草原の斜面へ出た。上から下まで見渡せるので、クマがいないかチェツクした。
 ササの斜面をトラバースして進んで行く。腰から下はもう露でびっしょりである。クマに怯えながら露払いをして行く。これも後から来る人のことを考えれば、「世のため人のため」かも?。

 トラバースが終わった所で一休み。小屋からちょうど1時間だった。

(写真左は返り見た写真。登山道はピークを踏まずトラバースしている)

 ここで一服していると鈴の音が聞こえて来た。その鈴の音にせきたてられるように出発した。

 ここから正面のピークを左から廻り込んで下って行く。5分も行くと待望のシャクナゲが咲いていた。満開に咲いているのは遠くて写真が撮れず、近くにあったのはまだ蕾が固かった。ここは西斜面で日当たりが悪いからだろう。
 しかし、すぐにシャクナゲは見られなくなった。昨日聞いた「シャクナゲのトンネル」というのは、まだ先らしい。

 ここまでは、ほとんどピークを巻いているので、アップダウンが少なく水平道のような感じだったが、やっと、というか、ついに登りらしい登りになって来た。一汗いて6時7分にピークに立った。これが西仙波かも知れないと思いながらも全く自信がなかった。

(拡大してご覧下さい)

 ここからがシャクナゲのオンパレードになった。花は満開、右も左もシャクナゲの花でいっぱいだった。登山道をシャクナゲの花が覆い隠し、花のトンネルというのも、あながち嘘ではななかった。(右下の写真を拡大して見て下さい。逆光で花が綺麗に撮れませんでしたが、こんな感じです)

 最高だ! 嬉しい。こんな見事なシャクナゲを見るのは初めてだ。はるばるやって来た甲斐があった。今までシャクナゲが多いと言われる山へ幾つか登っているが、花の時期でなかったり、花時に登った御座(おぐら)山では、登山口を間違えてシャクナゲの無い道を登ってしまったこともあり、今まで見た中で最高だ。写真を撮っているとなかなか前へ進まない。

 どこが西仙波か東仙波か分からなかった。岩混じりのピークを少し下った所で一服した。正面にもう一つのピークが見えた(このピークが東仙波だった)。
 標識と三角点がある東仙波の山頂へ、6時54分着。どうせならここで一服すればよかったと思いながら通過した。
 ここから下りになった。正面に見えるピークの奥に和名倉山らしい、ぼってりした山が見えた。山頂はピークの陰に隠れて見えない。

 次のピークから、やっと山頂らしきものが見えて来たが、どれが山頂か分からない、のっぺりとした頂稜であまり登高心を誘わない。むしろ反対側の唐松尾山から笠取山の方が魅力を感じさせた(写真左)。

 広く開けた所で休憩する。一帯は静寂に包まれている。ぬーとクマが出てきそうだ。
 動物に樹皮を剥ぎ取られたものが目立つようになって来た。シカかクマの仕業だろが、シカの仕業だと思いたい。(クマだと思うと怖いから)

 あっと言う間に川又分岐へ着いた。8時2分着。ガイドブックでは東仙波から1時間30分と書いてあったが、1時間8分で来てしまった。
 この分岐を真っ直ぐ急登すると、次に二瀬分岐が現れた。ここは非常に迷いやすい。いたる所に赤テープがあり、「迷いやすい」と書いてある。山頂へは右へ下るように進むが、うっかりすると左に登りぎみについている道に誘われそうだ。こういう所は帰りが怖い。足元だけを見ていると真っ直ぐ進んでしまうからだ。

 その道をなだらかに下って行くと、反対側から来る人に会って驚いた。私より前には誰もいないと思っていたからだ。この人は秩父の方から来たという。空身なので忘れ物でも取りに行くようだった。

 そこから5分も行くと、広く切り出された明るい斜面が広がり、そこに5、6人が休んでいた。今すれ違った人と同じパーティーらしい。お互いに大きな声で挨拶を交わす。これだけ大きな声を出せばクマも逃げ出すだろう。そう思うと今までの緊張感から開放され、急に疲労を覚える。

 なだらかで歩きやすい道を進んで行くと、突然、原生林の中へ入って行った。踏み跡を外すと歩けないほどの密林である。狭い道を進んで行くと、身体を横にしないと通れない所があった。そこを抜けると、パッと開けた一角に出た。そこに「和名倉山」の標識と三角点があった。山頂着8時38分。テント場からちょうど4時間だった。

 山頂で写真を一枚撮ったが、とても休憩する気にはなれなかった。薄日こそ差し込んでいるが誰もいない薄気味悪い山頂。こんな所では食事どころか一服する気にもならない。すぐに引き返し、原生林を抜け出した所で一服した。

 一服して歩き出すと、先ほど会った秩父の方から来たという5、6人のパーティーとすれ違った。さらに将監小屋から私の後ろを歩いて来た中年のご夫婦に会った。「あと5分で着きますよ」と声をかける。

 さらに5分も歩くと、将監小屋へ泊まった10人ほどのパーティーが登って来た。「速いですねぇ・・」と言われる。足の遅い私が「速い」なんて言われたのは20年か30年ぶりだろう。ただ早く出発して来ただけなのに・・・。

 川又分岐を過ぎ、東仙波の手前の明るく開けたところで昼食にした。
 昨夜は初めてのテント泊で寒くて何度も目が覚めた。その寝不足が次第に応えて来た。いや寝不足のせいにするのはやめよう。普段トレーニングをしていないからヘバったのだ。
 東仙波らしいピークがボンヤリと見えて来た。まだまだ先は長い。

(左の写真:左側が東仙波)

 東仙波への登りで一汗かかされた。東仙波へ10時45分着。
 東仙波・和名倉間はシャクナゲがほとんどない。わずかに数本あった程度だが、ここからはまた花が楽しめる。

 写真を撮っていると、またガスが流れ出した。雨が降らないことを祈りながら歩を早める。

 山ノ神土へ近づくと、また晴れ間が覗いて来た。山ノ神土で休憩。もう雨の心配はない。昨日、隣へテントを張っていた千葉から来たという方は、今日は笠取山へ行くと言っていたが、もう下っただろうか。テント場で会えるといいのだが。

 将監峠から下って行くと、ポツンと私のテントだけが見えた。やはり彼はもう下っていた。
 テント場へ12時15分着。水場でゴクゴク水を飲んだ。

 テントの撤収は初めてなので40分以上もかかってしまった。疲れて到着してからの撤収はしんどい。
 帰りはやけに荷物が重く感じてならなかった。来た時よりも軽いはずだが、かなりヘバっていたせいか荷物が重く、林道がやたらと長かった。

「民宿しゃくなげ」で、手打ちソバを食べてから帰路についた。

 今回は少々へばってしまったが、見事なシャクナゲを見ることが出来て満足だった。シャクナゲが見たいという方、お勧めです。