焼山登山口〜焼山〜平丸分岐往復
2002年7月14日(日)

 朝起きると余りにも天気がいいので、急遽、丹沢の焼山へ行くことにした。焼山は先々月、登りそこねているからだ。
 その時は、ヤビツ峠から塔ノ岳、蛭ケ岳、焼山と縦走する予定だったが、焼山の手前で雨に降られて平丸へ下ってしまい、主脈完全縦走にはならなかったのが心残りだった。そこで、今日はその延長戦として焼山から平丸分岐まで歩いて来よう。

 水筒とタオルをアタックザックに放り込み、7時50分に車で家を出た。
 途中、コンビニで弁当と缶コーヒーを買い、津久井湖からR413で長野の焼山登山口へ向かった。

 長野では登山口が分からず、前回下ってきた平丸まで行ってしまい引き返す。道を尋ねながらやっと登山口へ着いた。そこには「焼山山頂2.7q、焼山登山口・バス停1.3q」と書かれた標識があった。そして、その脇には「熊出没注意」の標識もあった。こんな所にも熊がいるのかと驚く。周りには人影はなく少々心細かったが、熊が出ないことを祈りながら歩き始める。9時10分発。

 沢沿いの杉林の中を登って行く。良く踏まれた道で木の階段もなく歩きやすかった。しかし、今日はまだ誰も歩いた気配がないのが心細い。

 途中にクルミが落ちていた。熟して落ちたのか、それとも台風で落ちてしまったのか分からない。
 一人で林の歩いていると、やはり熊が気になる。突然セミが泣き出したり、ヤマバトがグーグーと鳴いただけでびっくりした。

 一汗かいたころ一度離れた沢が再び現れた。冷たくてうまそうに見えたが帰りまで我慢しよう。
 今日はいつものニッカズボンとごっつい靴ではなく、ジャージのズボンに軽登山靴。しかも水と弁当しか入っていないザック。本当に身軽でいい。

 途中で一服しようと思って立ち止まると、ズボンにヒルが一匹くっついていた。あわてて取った。座るとヒルがお尻に付きそうなので立ったまま一服した。

 西野々との合流点へ9時55分着。汗を拭きながら、やっぱり山で流す汗は気持ちがいいと思った。今日あたりは家でじっとしていても汗が出るだろうから、どうせ汗をかくならこうして思い切りかいた方がいい。
 ここで休んでいる時、西野々から登って来たパーティーに会った。今日初めて登山者に会いホッとした。

 ここから歩き出してすぐ熊の糞を見た。最初は人のウンチかと思ったが、じっくり観察すると人のウンチにしては色が黒すぎると思った。それに人ならこんな登山道の脇にするわけがない。やはり熊しか考えられなかった。熊がこの辺にいると思うとゾッとした。

 しばらく登ると小さな沢があったので一口飲んでみたが、思ったより冷たくなかった。
 ここからすぐに焼山山頂への分岐があった。まずは頂上へ向かった。焼山山頂11時05分着。

 山頂には木製のベンチがあり、5,6人が休んでいた。そこは樹木が多く展望は利かないが、よく見ると火の見櫓のような鉄塔が建っており、その上に人影が見えた。どうも展望台になっているらしい。私もさっそく登って行った。最上部で若者3人が座り込んで弁当を広げていた。そこはまさに展望台そのもので宮ケ瀬ダムが眼下に見えた。しかし、蛭ケ岳方面はガスがかかって見えなかった。

 私も座り込んで昼食にした。
 食事が終わり、持ってきた缶コーヒーを飲みながら、このまま下るのはもったいないと思った。前回は表尾根からこの焼山まで縦走しようと思いながら雨に降られ、結局、平丸分岐から下ってしまったので、その分岐まで行ってみようと思った。そうすれば表尾根・主脈完全縦走になる。

 山頂11時30分発。なだらかな稜線を25分ほど歩いて行くと、前方に見覚えのある標識が見えて来た。平丸の分岐点へ11時55分着。
 分岐からそのままユーターンして再び焼山へ引き返す。我ながら、「ちょっとこだわり過ぎかな」と苦笑い。

 再び焼山の山頂へ立つと、先程いた人達は全員下ってしまい誰もいなかった。
 山頂には山名の由来が書いてあった。「むかし、この山一帯は将軍家の御狩場に指定され、草木が茂ると狩猟の妨げになるので毎年山に火が入れられていたものが焼山の名の起こりです」
 と書いてあった。

 誰もいない山頂で一服してから下山にかかる。12時25分。
 分岐着12時50分。休まず下る。1分ほど下ると左手に沢があった。冷たい水を一口飲もうと思ったが斜面が急で行けない。さらに30分ほど下った所で沢水を飲んだ。実に冷たくておいしかった。顔や腕も洗った。実に爽快だった。

 途中でご夫婦を追い越すと、すぐに私の車が見えて来た。登山口13時15分着。
 登山口へ着くと、山頂で会った中年の4人組みが靴や靴下を脱ぎ、オジさんはシャツまで脱いでいた。
「どうしたんですか」
 と聞くと、オバさんが、
「ヒルがいっぱいくっ付いているのよ。靴下の中まで入り込んで……。6匹もいたわよ」
 と、自慢げに言う。
 私もシャツや靴下なとを脱いで探してみたが、一匹もいなかった。

 せっかく焼山を登りながら、樹木が多くどんな山容をしているのか最後まで確認できなかったのが残念だった。我が家近くから見える丹沢の一番右端(北側)のトンガリがこの焼山だと思っているのだが、それを確認することは出来なかった。

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