ウルップソウ紀行
八ケ岳・横岳 (よこだけ)

(2,829m、長野県)


初めて見たウルップソウ。
(これはズームで撮っています。実際は7、8センチしかありません)

2007年7月7日(土)

自宅440−八王子IC−630長坂IC−715海ノ口登山口730〜(杣添尾根)〜756貯水池802〜1210三叉峰〜横岳〜三叉峰1335〜1551海ノ口登山口

 ウルップソウが見たくて、八ケ岳まで日帰りで行って来た。

 そもそも、先週の木曜日から休暇を取って朝日連峰の以東岳へ行くつもりでいたが、天気が思わしくなく順延し、今週もまた順延である。天気予報がコロコロ変わり、休暇を申請したり取り消したり。もうストレスが溜まって爆発しそうだった。

 以東岳がダメならどこでもいい。どこか手軽に行ける山はないかと思い巡らした時、先日、Kさんから「八ケ岳へツクモグサを見に行って来た」というメールを頂いたのを思い出した。

「ツクモグサは、もう終わってしまっただろうなあ・・・」とつぶやいた時、「そうだ! ウルップソウがあるじゃないか!」と、ひらめいた。八ケ岳はツクモグサが咲き終わると次にウルプソウが咲く、ということを聞いたことがあった。今がちょうど見頃かも知れない。

 よし、ウルップソウを見に行こう。コースはKさんが登ったという杣(そま)添尾根から横岳往復と決めた。もちろん日帰りである。

 朝4時40分に家を出た。いつもは相模湖ICから中央道へ乗るが、今日は少し寝坊してしまったので近くの八王子ICから乗った。(相模湖ICを5時20分頃通過)。

 空はどんよりとした黒い雲が覆っていた。しかし、今日は花を見るだけなので雨が降ってもかまわない。

 長坂IC(6時30分着)からR141で清里、野辺山を目指して行く。「高原へいらっしゃい」というテレビ番組の舞台になった「八ケ岳高原ロッジ」が第一ターゲットである。そのロッジの玄関前へ車を止めて写真を一枚撮った。

 登山口である海ノ口駐車場は、この高原ロッジの奥にある。別荘地帯を10分以上もウロウロして、やっと駐車場を見つけて安堵した。駐車場には1台だけ止めるスペースがあった。ラッキー。7時15分着。思ったより早く着いた。

 ちょうど出かける若いご夫婦がいたので挨拶を交わす。
 7時30分発
 駐車場から道路を50mほど戻ったところに登山ポストがあり、そこで登山届を出し、標識にしたがって登山道へ入って行く。

 すぐに舗装された道路を横断する。さっき車でウロウロした道だ。標識には「富士見岩遊歩道」と書かれているので注意を要する。

 この後も何回か車道を横断しながら登って行く。左右の森林の中にはひっそりと別荘が建っていた。

 15分ほど登ると富士見岩との分岐があり、そこから遊歩道と別れて登山道になった。

 しばらくすると、沢が現れ、砂防堤を渡る。ここから5分も歩くと東屋が見えて来た。ちょうど一汗かいたので休憩していこうかと思ったが、近づいてみると、車道(南八ケ岳林道)の脇に池があり、その池の奥の高台に東屋が建っていた。
「わざわざあんな所まで行けるか!」と、道脇で一服した。ここは「貯水池」というらしい。

 歩き始めるとすぐに沢を渡渉する。靴を濡らすようなことはなかった。
 しばらくはクマザサの道を行くが、すぐに針葉樹林帯となった。全く手入れがされていない、まさに原生林で薄暗い。とても八ケ岳へ行く道とは思えなかった。まるで南アルプスの山奥を歩いているような感じだった。

 やがて、枯れ沢のようになって来た。雨が降ればたちまち沢になって流れるのだろう。石と木の根と倒木がミックスした、少々歩きにくい道だった。こういう道は残雪がたっぷりある時の方が歩きやすいと思った。

 ここには訳の分からないヘンな標識があった。「6休みたいね」と書かれた標識があった。そういえば渡渉するとき「8先は長いぞ」というのがあった。この数字は合目なのだろうか。普通は下から1合目、2合目となるが、ここは逆のようだ。

 やっと傾斜もゆるくなった。山と高原地図の「枯木帯」というポイントへもう着くはずだと思っていたが、一向に着かない。その「枯木帯」から稜線までは1時間10分と書いてある。
 その「枯木帯」というポイントが分からなかった。枯れ木はいたるところにあるが、肝心な標識がない。

 そのまま歩いて行くと、「稜線まで1時間50分」と書かれた標識があった。思わず「うそ〜!」と、そこへ座り込んでしまった。
 結局、地図上の「枯木帯」というポイントは、最後まで分からなかった。

 やっと稜線らしくなり、樹木も背丈が低くなって来たが、相変わらず展望は利かない。

 私は地図もロクに見ないで来てしまったが、改めて見るとここは三叉峰まで登りっぱなしのようだ。

 道端にイワカガミが現われ、やっと高山らしくなって来た。
 ダケカンバが多くなると、ピークらしいところへ出た。そのピークを右側からトラバースしながら、わずかに下り、またすぐに登りになった。

「4弱音をはくな」というヘンな標識に、思わず苦笑い。いずれにしても4まで来た訳だ。稜線はもう近い。
 雲の間から、わずかに青空が見えて来た。

 息を切らして登っている時、一人の青年が下って来た。その青年に、
「ウルップソウは咲いてましたか?」と尋ねると、
「え?、それ、どんな花ですか?」と逆に聞かれる。
「え・・と・・」しばらく唸ってから、
「紫色の・・・、パイナップルみたいヤツ・・!」と言うと、
「あった!ありましたよ。いっぱい咲いてました」との言葉に嬉しくなった。

 周りがハイマツになると、正面に一際高い三叉峰が見えた。ヤッターという思いだったが、まだ登り切った訳けではない。それに、あのピークが目的でもない。今日の目的はウルップソウを見ることなのだ。

 ここはシャクナゲも多かった。シャクナゲの季節はさぞかし見事だろうと思いながら登って行くと、そのシャクナゲが咲いていた。シャクナゲの写真を撮りながら登って行った。


(イワカガミ)

(キバナシャクナゲ)

(やっと見えて来た三叉峰)

 ヨタヨタしながら三叉峰の分岐へ到着。まずは三叉峰へ登らなくては、と思って岩場を5、6mも登ると、目がくらむようなお花畑が広がっていた。最初に目に飛び込んで来たのは、北海道の暑寒別岳で見た「マシケゲンゲ」のような紫色のオヤマノエンドウだった。この花が岩肌を埋め尽くすように咲いていた。思わず歓声を上げた。


(オヤマノエンドウ)