由布岳−2/2

 いきなり岩場を登って行く。この辺はアイスバーンになっている所もあったが、アイゼンを着けるほどでもない。樹氷もエビのシッポも凄い。


(岩場を登って行く)

(山頂が近付いて来た)

(樹氷が凄い)

 平らになった開けた所へ出ると、その先10mぐらいの所に標識が見えた。そして、ついに東峰の山頂をゲット。9時22分だった。
 ここからは西峰もお釜も見えないが、とにかく東峰へ立てただけで嬉しい。


(東峰山頂)

(山頂の標識)

(山頂の祠)

 ここには灰皿が設置してあった。岩に腰を下ろして早速利用させてもらう。しかし、風が強くて灰は全部風に飛ばされてしまった。
 一服しながら標識をみると、「1584m」と書いてあったが、1584mは西峰の標高なので、これは間違いだと思った。

 ここでアイゼンを装着した。どうせ西峰を登る時にアイゼンが必要になるだろうと思ったからだ。
 9時38分、東峰を下山。

 途中で単独のオジさんに会った。オジさんは、私のアイゼンを見て、「アイゼンがないと無理ですかねぇ・・?」と心配顔で聞いて来た。
 私は、「アイゼンが無くても大丈夫。下りさえ注意すれば・・・」と伝える。
 逆に私が今日の天気予報を尋ねると、「良くないようですねぇ・・・」とのこと。やはり期待は出来そうもないようだ。

 マタエへ9時48分着。東峰からちょうど10分だった。ここからが、いよいよ11年前のリベンジである。11年前はここから西峰を目指してクサリを2、3本登った所で引き返している。今日は何が何でも登らねばならない。

 その西峰へ向かって行くと、すぐにクサリが現われた。最初の洗礼を受けるが、大したい岩場ではない。次に2本連結のクサリが現われる。これも難なくクリアー。次のクサリ場で、「これだ!私が撤退したクサリ場は!」と、岩場を見上げる。たいしたクサリ場ではないが、あの時はアイゼンも手袋もなかったので、雪に埋もれたクサリを登るのは困難と判断して撤退したのである。しかし、今日は装備も完ぺきだ。

 だが、凍ったクサリは思ったより滑る。手袋をしていると滑ってあまり頼りにならない。なるべく岩場に手をかけて補助的にクサリを握って登った。


(2番目の鎖、2連結を見下ろす)

(3番目の鎖、前回はこの鎖で撤退した)

 今度は岩場のトラバースが現われた。凍ったクサリとわずかに付いた雪が滑るような気がして緊張する。慎重に、慎重に通過した。


(4番目の鎖、岩場のトラバース)

(登って来た岩場を振り返る)

 そして、ついに山頂か、と鼻息荒く登って行くと、その奥にボッテリしたピークが見えた。樹氷に覆われた道を進んで行くと、目の前に標識が現われた。ついに西峰をゲット、10時23分。


(山頂か、と思ったら奥にピークが!)

(ついに由布岳をゲット)

 何も見えない山頂だったが、感無量だった。11年越しに立った憧れの由布岳の山頂である。昨日は由布岳の山容を眺め、今、その山頂に立っているというだけでもう充分満足だった。

 ここでコンビニで買って来たオニギリを食べていると、小さいヒョウがパラパラと降って来た。オニギリを1個だけ食べて、一服している間にヒョウは止んだ。しかし、風が強く寒くてたまらない。こんな所で長くは休んでいられない。

 10時38分下山。
 クサリ場から下を見下ろすと、こんな所を下るのかとウンザリした。またヒョウがパラパラと落ちて来た。とにかく慎重に下ろう。

 下りもなるべくクサリを頼りにせず、岩に掴って降りた。凍ったクサリが滑るからだ。トラバースを越え、2本連結のクサリを下ればもう安全圏だ。
 最後のクサリを下って、マタエへ到着。
 ここにも灰皿が設置してあったので一服していると、中年の男性3人が登って来た。山頂でバーベキューをやるという。

 雪の状況を聞かれ、東峰ならアイゼンがなくても行けるが、西峰はかなり厳しい旨を伝える。それにしても山頂でバーベキューをやるのは、寒くて大変だろう。

 すぐに若者7、8人のパーティーと、外国人3人が登って来た、遅れて若い女性が登って来た。彼女は通訳のようだった。
 皆んなから雪の状況を聞かれる。特に西峰については、アイゼンがなければ行かない方がいい。アイゼンなしで行くには、冬山を経験している方以外は無理な旨を伝える。

 そうこうしている内に、視界がだいぶ利いてきた。眼下に湯布院温泉が見えた。西峰のガスも少しずつ切れて行く。よし!ガスが切れるまで待とう。どうせ急ぐ旅ではない。
 そして、ついに山頂らしい岩塊が見えて来た。写真を何枚も撮った。さあ、後は潔く下ろう。


(西峰)

(西峰の山頂)

(東峰)

(湯布院温泉)

 11時40分、マタエ発。
 眼下に湯布院温泉がバッチリ見えた。悔しいなあ〜。おまけに薄日まで差して来た。まあ、由布岳は昨日充分眺めたし、両峰ともゲットしたので良しとしよう。

 途中で続々と登ってくる人達に会った。その度に上部の雪の状況を聞かれる。
 途中でアイゼンを外し、ジャンパーを脱ぎ、ついでに一服する。見上げれば青空が広がっている。

 合野越から正面に見えるいもりケ岳は、朝は樹氷で白くなっていたが、今はそれもない。帰りに時間があれば登りたいと思っていたが、由布岳を登ればもう充分だ。

 樹林帯を抜けトイレがある所まで来ると、駐車場が見えた。振り返れば今登って来たばかりの双耳峰がクッキリと見えるではないか。クソ〜、と唸りながら写真を撮った。

 登山口へ13時10分着。車が20台も止まっていた。
 ここで残ったオニギリを食べ、明日登る予定の英彦山(ひこさん)へ向かって行った。


由布岳よ、さらば!(やまなみハイウェイから)