ロンドンですごした青春時代 |
明治9年〜14年(1876〜1881)ロンドン留学の5年間はヴィクトリア文化華やかな時代で、政治家で雄弁家のビーコンスフィールド・元老のグラッドストーンが一等星のように輝いていた。 詩人のテニソン・著述家のラスキン・小説家のエリオットが崇拝され、議会ではロシアとの戦争に議論が白熱していた。そうした輝いた時に英国にいたのもまれな運であったが、英国の歴史や文学・芸術・演劇を学び生涯の友人たちからは英国の社会や文化をしることができた。それは後の人生に計り知れない影響を与えた。 (昭和12年・ロンドン大学名誉学友推薦祝賀会での演説講演より) |
ロンドン留学時代の日常について知る資料はほとんど残されていないが、若い女性の肖像写真の裏に記された詩から推測すると、多感な青春時代を勉学ばかりではなく文学・文芸にも興味を持ち、テニスンやラスキンに心酔していたのであろうか。後年外遊先からの手紙によると、クラスメイトの家庭には度々呼ばれ、楽しい食卓の団欒に加わりダンスも覚えたようだ。。英国仕込みのダンスは鹿鳴館でも颯爽と踊られた事と思われる。また長い船旅では船長主催の晩餐会などでも楽しまれたようだ。東大教授時代は演劇、特にシェークスピア劇はお得意の英語でなさっていらしたと聞く。 |