戸立(とだて) 2




「戸立」を実際の場所に置いて具合を確かめ
電気ガンナでおおまかに削り、ノミで細かく削り調整する




船底と「加敷」の繋ぎ目はどうしてもくぼみになるので
「戸立」もそれに合わせて三角の突起をつける




まずは「戸立」を釘を使わずに金具や木材で押さえて固定する




そして「戸立」と船底や「加敷」の間に「すりのこ」をする
基本的に海水と触れる可能性の有る個所は、必ず「すりのこ」をしてから釘を打つ




「戸立」を固定するための釘には右上の写真のものを使う
釘といっても先は尖っているわけではなく、後でナットで止めるための溝がある

まずは船底から印をつけた部分にドリルで穴を開け、そこから釘を打ち込む
この際、防水の為に「まきはだ」というものを一緒に打ち込む
(「まきはだ」の説明はこのすぐ後)

隙間がほとんど無く、釣り上げるクレーンも無いのでかなり苦しい体勢での作業になる




船底への固定ができたら「加敷」や「棚」へ固定するための釘穴を「戸立」に開ける
まずはドリル、そしてノミで開ける
(「棚」とは「加敷」からさらに垂直に近い状態でつけられる船壁)




「棚」をつけ終ってから「棚」と「戸立」の間に「すりのこ」をする




「棚」への固定も、まずドリルで「棚」から「戸立」に向って穴を開け、
先ほどのと同じ釘を「まきはだ」と一緒に打ち込む

右上が「まきはだ」で、これはヒノキの皮が材料
これを釘をある程度打ち込んだ後に頭に近い部分に巻きつけて(左下)
打ち込んだ後、ちぎり取る
この「まきはだ」は船体の外側から内側に向って釘などを打ち込むときは
船内への海水の浸入を防ぐために必ず一緒に打ち込む
板と板の間にこれを押し込む事もある




「加敷」でも固定するための釘の打ち方は全く一緒(左上)

真ん中上の写真はその釘の先が「戸立」に開けた釘穴に出ているところ
それをナットで止め、さらに接着剤を塗る

左下の写真のように等間隔で釘穴は並んでいて
「戸立」の大きさに応じて10〜18個程の釘穴が開いている
この穴は後で「打木」で埋めるが、「生簀」など直接水と接触する部分はセメントで埋める




「戸立」の数は船の大きさによって違うが、この船の場合は全部で8枚ほど
それぞれの大きさや高さは部位・目的によって違う

右の写真の「戸立」は船体の中心に近い部分のもので
少し分かりにくいかもしれないが、中心がやや盛り上がり、両端は下がっている
これは、中に入った海水を両端にある排水口にすぐに流れさせ
船内に海水が溜まらないようにするための工夫



「戸立 1」へ     「スタンポスト」へ