アコウの中間育成


キジハタは、祝島では「アコウ」と呼んでいます
名前の通りハタの仲間で、高級魚です
そのアコウの種苗(稚魚)、1868匹の中間育成を始めました

上の画像はどちらも稚魚ですが、形はもう成魚にちかいです


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船で運ばれてきた稚魚を、2つの深さが違う生簀に移します
これから毎日、水温や死んだ種苗の数をチェックしてデータを取ります
放流できる大きさになるまで、なるべく多くの種苗が生き残ってほしいものです

右の画像の生簀の底にあるのは酒のケースと白いパイプですが、
これらはハゲ(カワハギ)避けとアコウの棲家用に入れています
                                           

 

先月の24日に始めたアコウの中間育成も順調に進み、
1ヶ月を過ぎていよいよ放流することになりました

漁協の役員・職員がアコウの生簀に集まります
まずは生簀を水面すれすれまで上げ、アコウをすくい易くします

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この中間育成は水産事務所の調査・実験も兼ねているので、
水産事務所や町役場の職員の方も加わり、
生簀から網ですくいながら、生き残ったアコウの数を全て数えます

個体によって成長の度合いのばらつきはありますが、
アコウ独特の模様ははっきり確認できます

どうやらこの1ヶ月、特に数も減ることなく順調に育っていたようです
手伝いに出ていた漁協の役員(漁師)からも、
「なかなかかわいいもんじゃのう」などと声が飛びます

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数えたアコウはバケツに移し、
バケツリレーで生簀に横付けした船の活け間へ移していきます

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中間育成をしていた生簀は2つあり、
生存率や成長の度合いを比較するため、それぞれ違う深さにしています(深さ1mと、2m)
餌の量は同じです

また、数を数えると同時に
それぞれの生簀から30匹程度のサンプルを取り出し、体長を計測しました
アコウが元気が良すぎて暴れるため、
慣れている水産事務所の職員の方も、なかなか計測しづらかったようです

深さ 1m 2m
生存数 868→835 1000→966
生存率 96.2% 96.6%
体長(だいたい) 8cm台が多い 9cm台が多い

体長についてはまだ詳しい数字などは出ていませんが、
浅い生簀は6.5〜7.5cmの個体もいくつかいて、
深い生簀に比べて小さい個体が多いような印象でした

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生簀から移したアコウは、メバル用の漁礁があるあたりに放流しました
無事成長し、数年後に大きく育った姿を見せて欲しいものです

アコウの中間育成はまだ試験的な段階ですが、こうした試みを積み重ねていけば、
きっと将来、祝島の漁業を潤してくれることでしょう
                                             


ちなみにこれがアコウの成魚です
建網で獲れたもので、重さは2.1kgあります


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