鯛の中間育成


祝島漁協では鯛の中間育成もしています
中間育成とは、鯛の稚魚を地元である程度の大きさまで育ててから放流するやり方で
ただ稚魚を放流するより生存率が上がり、水揚げにより直結すると考えられています

祝島漁協では鯛の中間育成(と、その後の放流)をはじめてから
全体の漁獲量が漸減する中、一本釣り(かかり釣り)が主力ということもあってか
鯛の漁獲量だけは毎年安定しています



鯛の稚魚は、漁師さんたちに手伝ってもらい
各漁船の生簀に入れられて運ばれてきます

上から見ると黒いですが、腹などは白く見えます
大きさは多少のばらつきはありますが、やはりまだまだ小さく
とても鯛には見えません



東の港の中に浮かべた筏で生簀を作り、そこに稚魚を入れていきます
ひとつの生簀に約5万尾ほど入れます

普段は直射日光を防ぎ、また鳥などに稚魚が食べられないようにするため
遮光布で生簀を覆います



生簀に入れられた稚魚は、最初はとまどってばらばらに泳いでいますが
環境に慣れてくると、生簀の外周に沿って群れで泳ぎだします



昔は漁師さんたちから釣りの餌のエビを無償提供してもらって
それをミンチにして与えていましたが、エビが取れなくなり、今は配合飼料を与えています

生簀に入れて1〜2日目は環境の変化に戸惑って餌を食べようとしませんが
しばらくすると慣れてきて、餌をやりに筏の上に立つだけで水面近くに群がってきます



色こそ赤くありませんが、鱗や体つきがだいぶ鯛らしくなってきました

体長はだいたい1日につき1mm大きくなるので
12日ほどの育成で3.8cmから4.8cmと1cm大きくなりました



いよいよ放流です
漁協の役員の方たちに手伝ってもらって生簀の網を筏から外し
そのまま港の中に放流します

その理由は以下のようなものです
 ・環境(海水)の変化や移動によって魚を痛ませない(ストレスを与えない)
 ・港内では釣り船が餌を選別して死んだエビなどを船外に放るので
  稚魚にとって餌を獲るのが容易
 ・港外に比べて外敵が少ない



いきなりの事に戸惑うのか、最初は網からなかなか出ようとしません
網をほとんど逆さにして追い出します



網は外した後、そのまま陸に上げ、来年に備えて1度日干しして保管します


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