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建設記録とレイアウト製作上のエピソードやテクニックなど

餘部鉄橋との出会いとジオラマ製作
★★終焉近づく餘部鉄橋への撮影行★★
 JR近畿京都線のレイアウトが完成の域に達し、TMSのコンテスト入賞・Nケージマガジン掲載ののちは、レイアウトをメインにしたウェブサイトの制作・管理を主にしていましたが、それとともに、子供の頃に楽しんでいた鉄道撮影、いわゆる「撮り鉄」活動を再開しました。ちょうどその頃、以前から使用していたカメラのメーカーが遅ればせながらデジタル一眼レフ市場に参入し、所有のレンズがそのまま使えることになり、そのメーカーが発売した比較的安価な入門機を購入したことが、再開の大きな理由です。こうなると各地・各路線のいろいろな有名撮影地に行ってみたくなり、そのなかから最初の遠征先?に選んだのは、架け替えが決まった山陰本線の餘部鉄橋でした。ここは、当時廃止が噂されていたDD51牽引のブルートレイン「出雲」やキハ181系「はまかぜ」が通りますので、被写体として申し分ありません。ただ、出雲は早朝に通過するため現地での前泊が必須です。そこで鉄橋のほぼ真下にある鉄道ファンには有名な民宿「川戸屋」さんを予約して、撮影に赴きました。現地に着いて写真などで見慣れていたトレッスル橋を目の当たりにし、その迫力に圧倒され、気がつけば「出雲」廃止後も何回か訪れるようになって、川戸屋の女将さんとも顔なじみに…。私が鉄道模型を趣味にしていることをお話ししていたので、あるとき、お客さんから土産にもらったNゲージのDD51を見せてくれました。それを遊ばせておくのはもったいないと、手持ちの客車で出雲のフル編成を組み、さらにそれを飾るアクリル製のケースと線路付きの土台を作成して寄贈。これは今も宿の玄関に飾られています。
 そして翌年、JAMコンベンションが初の大阪開催となり、個人の方が餘部鉄橋のジオラマ・レイアウトを出展されているので、見学に行きました。会場内のメーカーのブースをのぞいていたところ、ユニークな製品を製作販売している模型店「コスミック」さんが展示していたアクリル製の餘部鉄橋のキットを発見。話題として女将さんにお知らせすると、早々にコスミックさんに問い合わせを入れ、なんとフルサイズのキットの仮発注までしたとのこと…。しかし、宿に模型を飾ってお客さんに見てもらいたいものの、模型製作の経験など全くないため、正式に購入するかどうか躊躇っていたようでした。情報発信元の私としては、乗りかかった船ということもあり、またレイアウト志向のモデラーとして作ってみたいテーマ・風景でもありますので、お手伝いを申し出て、正式な発注に至りました。そして撮影行の際に女将さんと詳細を打合せして、キットの組み立てで出来るところは女将さんに任せ、私はベースとシーナリー・ストラクチャーの製作を担当することになったのです。



★★テーマは実在の風景の再現★★
  全体の大きさが決まらないとベースの設計に入れませんので、まず女将さんと設置場所の検討を行いました。フルサイズの鉄橋を150分の1にすると3mを超える長さになります。そのような長さのものを置く場所は限られてきますし、女将さんの希望は宿を利用される人以外にも見ていただけるようにしたいとのことで、相談の結果、表に向いている1階の約25p幅の出窓部分に、2分割で展示することとなりました。これならば自宅で製作できますし、でき上がったものを自分の車で運べるので、私としても好都合でした。
 全体像の設計を始めるにあたり、私はこのジオラマをリアリティにこだわったものにしたいと考えました。私のレイアウト「JR近畿・京都線」は、実在路線をモチーフとしながらも実際の情景を再現したものではありません。JAMに出展されていた作品や、餘部鉄橋を模型化したいろいろな展示物をインターネットで見ても、実景を元にしてはおられますけれど、正確に模型化したものはないようです。それならば、せっかく現地に展示することでもあり、シーナリィやストラクチャーも含めて実物を150分の1に縮小した、誰が見ても「実物と似ている」といわれるレベルにしたかったのです。そこで日帰りで現地取材に赴き、このときばかりは列車の写真はほとんど撮らずに、駅とホームやその周囲・鉄橋下や跨いでいる川の情景・近辺の家屋などをいろいろな角度から見て、ひたすら資料となるような写真を撮りメモしてきました。
 そしていざベースの設計を始めると、考えなければならないことが出てきました。それは鉄橋の両端の山の角度です。斜面に立つ橋脚を実物通りの位置・高さで立てるためには、傾斜の角度も実際に合わせることが必要になりますが、もちろん測量などという技術は持ち合わせていません。キットには図面は付属していましたが、あくまで実景に近づけたいと考えた結果、インターネットで架橋当時の図面を探し出して、その中でも真横から見た全体像の図面を拝借し印刷して傾斜角度を測ってみました。実際には一律の斜度ではありませんが、両サイド別々に平均をとって左右の山の傾斜を決めて作ることに決定。そこから駅とトンネルの高さや位置を割り出して。簡単な図面を作りました。
 ところで長さに比べ横幅は非常に狭く、出窓のうち使用できる部分は23p強です。実景にこだわって建物などを配置すると、鉄橋下の家屋等は全体がベース内に収まることがまずありません。ここは割り切ってロゥレリーフ状にペース端の位置で切り取り、あくまで実物に近い配置をキープすることにしました。

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