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建設記録とレイアウト製作上のエピソードやテクニックなど

実際にある風景の再現作業
★★ベースの製作と運転装置★★
 ベースの製作は基礎となる土台から始めました。まずはホームセンターで調達した角材で「目」の字型の枠を作り、ベニヤ板を表面に貼って、フラットベースの台をふたつ作成。鉄橋の下には小さな川が流れていて、水面はもちろんベースより低いところになりますので、川の部分を掘り下げるように切り欠きました。そして、両端の山の傾斜に合わせて三角形に切り出したベニヤ板2枚の間に梁の角材と、表面・背面にベニヤ板を渡して、箱状に組んで斜面の基礎を作り、ベースの両端に取り付けます。駅の部分は海側が開けていますので、三角板を高さに合わせて切り取ってあり、線路を敷く部分には平らにベニヤ板を入れています。トンネル側は切通しのようにして、こちらも線路部分に平らな板が入っています。なおこの時点で、鉄橋の橋桁と橋脚は女将さんのほうで組み立て中のため私の手元にはなく、実際に据え付けてみて長さが合うか危惧しましたが、それは現物合わせで橋台の位置と高さを調整することにして、作業を進めました。またシーナリー作成やストラクチャー配置のため、橋脚の位置の決定が必要ですが、こちらも図面と写真しかないので、取付位置に若干の余裕をもたせ、もし隙間ができたなら草地などでごまかせるようしました。後日、現地で橋脚と橋桁を置いてみるとほぼ誤差はなく、設計図の正確さと重要性に改めて気づかされました。 両サイドの斜面は樹木や草木が茂っていて、もちろん平坦ではありません。ベースはベニヤ板の平らな斜面なので、ここに芝のマットを張り付けることにして、その際に発泡スチロールを適当にちぎってマットの下に入れ、表面に凹凸を付けました。さらに駅側の斜面にはつづら折れの駅への歩経路があるので、マットを張り付けた上から、発泡スチロールを道の傾斜に合わせて細長く切り出し貼り付けて、道の土台にしています。
 線路にはフレキシブルを使うことは決めていました。先にトンネルと駅の部分に敷きましたが、このときあることを思いつきました。私は「鉄道模型は走ってこそ…」というポリシーを持っているので、このジオラマでもなんとか走るようにしたいと考えたのです。走るといっても橋の上を往復するだけですが、手動では操作が忙しくなるため、インターネットオークションで落札した安価な自動往復運転装置を組み込みました。装置の操作機器と手持ちの古いパワーパックを斜面のなかに作った棚に入れ、背の板を外すとそこから手を入れて運転操作ができます。2輌編成ぐらいが限界ですが、手放しでキハ47系2輌が鉄橋上を行ったり来たり走る様子を見るのは、なんとも楽しいものです。



★★両サイドの斜面と鉄橋下の製作★★
  大きなシーナリィとしては、鉄橋を挟んだ両サイドの山の斜面があります。斜面は大部分が樹木に覆われているので、フォーリッジクラスターやライケンを貼り付けて表現しています。実際にはところどころに大きく目立つ木がありますので、写真を見ながら、つまようじ製の幹にフォーリッジを貼り付けたものや既製品を利用して似せたものを作り、立ててみました。
 鉄橋直下は草の生えた空き地・川・道路ぐらいで、田畑はほとんどありません。まず、川についてですが、中洲のようなところ(中州といっても片側半分は流れ込んできた土砂で埋まっていました)に橋脚が1本立っているので、中洲部分を発泡スチロールの板で作り、島のように置きました。 水面は京都線のレイアウトでも使用した木工用ボンドを同じ方法で用いています。ただ、実際にはきれいな水が流れていますので、現在市販されている水面の素材を使ったほうがよかったかもしれません。
 道路は国道・集落内の道路ともに白ボール紙に着色したものを使用。駐車場の一部もベースにかかってきますのでそちらも同様にしました。舗装されていない土の通路には、石膏のパウダーを撒いたりサンドペーパーを貼ったりしています。 橋脚の立ち並ぶ部分はほとんどが草の茂る空地なので、ここにはコースターフ・フォーリッジを敷き詰めて表現しています。
 次にストラクチャーについて述べてみます。鉄橋下のストラクチャーとして、大きなウエイトを占めるのが民家です。この頃は、KATOのストラクチャーやTOMIXのジオコレシリーズの製品ラインナップが充実してきた時期で、これらにグリーンマックスのキットも加えて、極力利用し手間を省くことに決めました。取材で撮った周辺の建物の写真を持って模型店に出向き、実在の建物と似た市販の製品を探しながら見比べて購入。 ただ、実際の風景に拘るとなると、ほとんどの建物がベースからはみ出してしまい、背景のないローレリーフ状に切り取る必要がでてきます(展示する場所が出窓なので室内・室外どちらからでも見られるよう、背景板はありません)。高価な製品をぶつ切りにするのはもったいない気がしましたが、『心を鬼にして』リアルさの追求に突き進みました。なお、どうしても似た製品がないものは、手持ちのジャンクパーツから使えそうなものを選んで自作したものもあります。以前のレイアウト製作時から、使えそうな部品をジャンクとして整理してとってあったのが役に立ちました。建物の配置はこれも取材時の写真をもとに割り出して位置決めし、なるべく実際の情景に近づけました。
 皆さんもご存じのとおり、餘部鉄橋は列車の転落事故という悲劇も持ち合わせています。その事故の犠牲となった鉄橋下のカニの加工場の従業員慰霊のための観音像が国道沿いにありますが、実景を基にしたなら、ちょうどこれもベースの中に入ってきます。 市販のフィギュアの人形や製品に観音像などなく、悲しい歴史でもありますので割愛しようかとも思いましたが、リアリティに拘るなら作るしかないと考え直しました。台座を作って、市販品のなかから似た姿勢のものを選び白く塗りこめてそれらしくして立たせてみましたが、「ないよりはまし」程度のものになりました。また子供のお地蔵さんも脇に立っているので、こちらはつまようじの頭のこけし状の部分を白くぬったものでごまかしています。
 そして道路のガードレール・標識などのアクセサリー類も、極力実際と同じ位置に設置してあります。なお、道路上を走る車や駐車場に止まっている車ならびに歩行者は、手持ちの在庫からピックアップし、適当に配置してみました。



★★駅の周辺の情景づくり★★
 当時の餘部駅は現在と反対の山側にホームがありました。これを模型化すると開けた海側からホームの情景がよく見えますので、実際の情景づくりに一層拘ってみました。
 まず、駅へ上るための通路は、現在はエレベーターもできて楽々ですが、それまでは九十九折れの急坂しかなくて、その九十九折れが鉄橋の下を何度もくぐっていたので省略はできません。坂道の路面はコンクリート舗装でしたので、発泡スチロールを切って取りつけたベースの上に、ボール紙を貼って表現しています。そしてこの通路には赤くて細い手すり(柵?)が谷側に設置されているのですが、これを何で作るかずっと思案していました。ある日模型店に赴いた際、ジオラマ用品のコーナーで柔らかな素材でできた赤のフェンスを見つけ、足の部分を間引きすればいけるのでは…と思い、買ってきました。目分量で実物に似せた間隔をとってその間の足を切り取り、高さも調節。柔らかな素材なので通路の傾斜に合わた取り付けができ、繊細な手すりが再現できました。
 駅のホームには、手元にあったKATOの製品を利用しています。実際には、線路に面した部分は鉄骨の上にコンクリート板が乗っているような構造で、ホーム下は透けていたのですが、それを製作する根気や技術はなく、側面を黒く塗ってから柱の部分を実際の色に似た赤茶色にしてみました。これだけでも透けているように見えるのは、錯覚とはいえ不思議です。ホーム上には小さな上屋や電話ボックス・植栽・電柱・照明柱などがあり、これらも手持ちのジャンク品のなかから使えるものを探し、写真を眺めながらそれらしく作って、位置も実際に合わせて配置しました。上屋(待合室)にはグリーンマックスの踏切の小屋が使えそうだったので、切り継ぎをしています。ちなみに信号機やリレーボックスも同社の製品を使いました。さらにホーム裏側の舗装されていない通路とそこから続く駅裏の有名な絶景撮影ポイントである「お立ち台」への登り口も、実際の位置通りにしています。
 以前の駅の入口部分には、駅開設の記念碑と、この駅を建設するにあたって地元の子供たちが石の運び上げを手伝った様子を描いた壁画のモニュメントがありました。これは写真にとってきたその画像をプラ板に貼り、台座と共に作っています。駅付近の案内・鉄橋の説明板なども、すべて縮小印刷した写真を貼って製作しました。
 また、線路をはさんだ海側は、雑木林のような茂みが崖に沿って広がっていて、大きな杉の木がその中に数本立っていました。これを実景通りに配置すると、駅に停まっている車輌が少し隠れてしまうのですが、あくまで実際の風景に拘っていましたので、その通りに配置しています。これには手持ちの既製品の杉を利用しました。

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ジオラマ製作
 
実際にある風景の再現 まとめと
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