オーナーのひとりごと  VOL.36
天も号泣? 餘部鉄橋98年の歴史にピリオド '10.7.17〜18 山陰本線・餘部

 「撮り鉄」へ復帰し遠征の第一歩としての出雲の撮影に始まり、模型の製作まですることになった山陰本線・餘部鉄橋。「葬式鉄」ではないのですが、ここまで関わりをもった鉄橋の最期を看取ってやりたいという気持ちが、足を運ばせました。
 いつもの宿には、おそらくほぼ同じ思いの常連さん方が大集合?で、二間ぶち抜きの大部屋での"合宿"状態。また、平日にもかかわらず各撮影スポットには大勢の鉄道ファンが集結し、一般観光客も多いうえにたくさんの報道陣も来て、かなりの人出でした。今後しばらくは、8月12日の新橋使用開始に向けて、工事の様子が注目を集めそうです。

 ■■最終日の状況■■ 
 前日まで雨が続き、天候が心配でしたが、当日は朝から好天。朝10時頃に到着し、宿の女将さんと公園での物販イベントを覗いてみました。浜坂の米田商店の弁当「餘部鉄橋物語」を売っていたので、買い求めて宿で早めの昼食。なかなかおいしいお弁当でした。その後は、はまかぜの往復の時間に合わせて、遊歩道の俯瞰に上がってみました。
▲鉄橋下の公園では物品販売のイベント
(お弁当・お土産や鉄道部品など)
▲観光協会のゆるキャラ「活イカ君」も登場
(蒸し暑い中、ご苦労様です)
工事現場には報道関係者用テント
 遊歩道からの帰り際に雨が降り出し、宿に戻ってしばらくすると徐々に雲行きが怪しくなって、まるで鉄橋の最期を天が号泣しているかのような夕立が…。雷鳴も鳴り響き、豪雨で列車の運転が見合わせられました。
 引き揚げてこられた同宿のみなさんと部屋に上がって、運行再開を祈りつつ、過去に撮影した写真を見せ合ったりして、鉄道談義と思い出話で時間つぶし。
 夕食後には雨も上がり、運行も再開されて、夜間のバルブ撮影が可能になりましたので、最終の列車回送まで、みなさんそれぞれ、思い思いの場所で撮っていました。
さわり鼻では、10名ほどが待機
 
 この日の午後には、地元の人々による「惜別の儀式」が執り行われていました。神事に続いて転落事故犠牲者慰霊の観音像に手を合わせ、駅で列車を見送るという式次第で、テレビ局のクルーもぞろぞろと後について移動。各局テレビで放映されていましたので、ご覧になった方も多いでしょう。
▼鉄橋下で行われた神事では橋脚に献酒 ▼神事に続いて転落事故慰霊の献花
  
 ■■最後の列車■■
 一時は豪雨による運休で昼間の列車が最後かと心配させられましたが、遅れながらも運行再開となり一安心。
 時刻表どうりなら鉄橋を渡る最終の旅客扱いの列車は、5D・鳥取行「はまかぜ5号」です。
 テレビ局の撮影用の強力な照明がつき、少しのあいだ開けていただけのバルブ撮影で、幸か不幸か、ライトアップされたような画像が撮れました。

はまかぜ5号
浜坂行き普通列車
 最後に鉄橋を渡った車輌は、通常なら浜坂に留め置く翌日の始発の普通列車の戻しの回送と、続いて鳥取まで行ったはまかぜの戻り回送でした。深夜に近い時間帯にもかかわらず、たくさんの人が待ち受けているのが、窓から見えました。
 私は、それまでの間に入浴を済ませ浴衣に着替えていましたので、宿の前で初めて来たときの夜を思い出しながら撮っていました。

 ■■撤去工事いよいよスタート■■
 この日から8月11日までの短期間で、残りの橋桁接続と仕上げをしなければならないので、昼夜休み無しの工事になると聞いていましたが、最終の回送列車が通過後、さっそく煌々とライトがつき、作業員も続々と集まってきて、取り壊し作業が始まりました。まずはレールと枕木の取り外しを始め、溶断の火が線香花火のように飛び散っていました。
 現地に宿泊の方々でしょうか、真夜中になっても鉄橋下でその様子を見守っている姿が印象的でした。

作業用のライトが照らす
      (橋脚にも照明が灯され、
         宿の女将さんいわく、
            クリスマスツリーみたい…)

空飛ぶ?線路

 みなさんより早く寝てしまったせいか、一番に起き出し窓から鉄橋を見ると、はずした線路をクレーンで降ろす作業の最中でした。「これは撮っておくべき」と、身支度を済ませ表に出て撮影。
 寸断されてはずされたレールと枕木は、40mの高さからおろされ、空き地に積み上げられていましたが、まるで模型の固定式線路の実物版を見ているようです。

空き地に置かれた線路

                       空飛ぶ?橋桁

 線路に続いて、いよいよ橋桁の取り外しです。朝食後に周囲の情景を撮ろうとうろうろしていましたが、下のような全景写真を撮るために南側に向かって歩いていて、ふと振り返ると橋桁が吊り上げられているのが見え、一枚撮ってすぐに戻ってきました。
 この日は午前中に1・2番の橋桁を取り除きましたが、某新聞の報道では、今週中に鎧側からの橋脚4本と橋桁を撤去し、新橋を接続して完成させ、残りの橋脚は秋までかけて撤去していくらしいです。


 
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