著 者 蒲田文雄(技術士)・小林芳正(理学博士 京都大学名誉教授・技術士) 発行者 古今書院 |
本書は明治22年に奈良県吉野地方を襲った災害を題材として豪雨と山地斜面の崩壊という自然現象のすさまじさや被災者とこれらを取り巻く人々の行動、および北海道移住に至る過程を描いたものであり、当時の人々が現在に送るメッセージです。
被災者の団結と希望! これが被災者自身を救う。災害復興はいかに? …著者より…
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本文 「はじめに」より |
明治22年8月のこと、奈良県吉野地方は記録的な豪雨に襲われた。いたるところで山地斜面が崩壊し、土砂はなだれ打って河川に突入した。山地斜面の崩壊と崩壊土砂による河川の閉塞およびこれに続く新湖の発生と決壊、あるいは土石流の発生などによって人家は埋没し激流や土砂に押し流された。
災害の記録は宇智吉野郡役所の編纂した「明治二十二年吉野郡水災誌」全11巻に残されており、奈良県吉野郡内の12か村を対象として豪雨の襲来から十津川郷(現十津川村)の600戸・2500人の住民が北海道に移住するまでの経緯が記述されている。各巻は統一的な書式で構成され、各巻末には統計表が付されている。この統計表によれば大規模崩壊(縦横50間以上=縦横約91メートル以上)は1,147箇所、新湖は53箇所とあり、死者249人、全壊家屋200戸、流失家屋365戸という被害が生じている。
十津川水害と北海道移住 |