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圧巻★最高・高山健一!! 2002.12.01 Sun
 当初の予定を2ヶ月ばかり遅れて、ようやく『夜を賭けて』が劇場公開の運びとなりました。まず、昨日11月30日から東京で、続いて来月21日から大阪、年が変わってからはその他の地域でも順次公開が予定されているようです。もちろん、韓国でも近々公開されることでしょう。舞台挨拶で、“何回も流産しかけた”と語っておられた金監督のホッとされたような表情が印象的でした。

 で・管理者姉妹、大阪での公開が待ちきれず、行ってきました。東京まで…。実はワンコリアフェスティバルの先行上映で既に観てはいるのですけれど、やっぱり映画は映画館で観ないと!!
(正直なところ、中之島中央公会堂は映画館に比べると少々場内が明るくて、せっかくの健一の表情がよく観えないところががあったんですよね。だいいち、映画館に行かないと配給収入にならないし…。ねぇ?金監督…)

 さて、我らが純大さん演じるところの高山の健坊(なんとも、彼に不似合いなこの呼び方・気に入っちゃいました)ですが…。予備知識無しに、この映画を観た方、絶対に健一が今放送中の『水戸黄門』の格さんと同じ役者さんが演じているなんて、信じないでしょうね。判りきっている私でも、理性は理解していても・感情的には信じられませんでした。以前に『ムルデカ』を観た時、“山田純大って俳優は二人いるのか?”と思ったと書きましたが、今回も言わせて戴きましょう。“山田純大って俳優は「三人」いるのか!?”…。

 いやぁ…凄かったです・純大さん!!正直、かなり“引け”ました(笑)。怖いと言うか・不気味と言うか…。健一が出てくると、画面の中の『音』が無くなって、館内の温度が下がる感じがするんです!!もちろん、健一が出ているシーンにだって、ごく普通に台詞(の内容が普通かどうかは・ともかく…)もあれば、BGMも流れていますし、健一の登場に合わせて館内のエアコンの温度が下げられている訳でも無いでしょう。そう、つまり・山田純大が演じる高山健一の存在が、音を消し温度を下げているんですよね…。

 『夜を賭けて』という映画自体は、どちらかと言えば・賑やか(?)な映画です。その中にあって、健一だけが「静」なんです。六平直政さん演じる金村さんの喉下に刃物突きつけたり、樹木希林さん演じるお母さんに暴力を振るったり…、結構ハデに動くにも関わらず、彼の存在自体に不気味な「静けさ」があるんです。

 温度についても・そう…。健一の登場するシーンの季節は夏。オマケに初登場なんて、眼に暑苦しい(?)真っ赤なドレスの静子さんと、存在自体が暑苦しい(笑)お兄さん二人を引き連れているというのに…。健一の冷淡な微笑で、下げちゃうんですよ・温度!!

 本当にもの凄い存在感!!圧巻の演技力!!惚れ直したよ・純大!!

 最高なのは、健一の眼…。純大さんなんだから「眼」の演技が凄いのは当然なんだけれど、しかし・あの眼といったら!!
笑っているのか、怒っているのか…。それとも何かが哀しいのか…。何処かを見ているのか、何も見ていないのか…。そもそも現実の世界が見えているのか…。不気味で冷酷で残忍で、けれど哀しい健一の眼…。普段の純大さんの綺麗な眼の面影なんかドコにも無いのに、ナゼか・惹かれてしまいます。

 そして、声。あの、人の神経を逆撫でするような声。感情が無いって言うのか・冷たいって言うのか…。その上、背中に纏わりついてくるような響きには、ゾッとします。いつもの透明な純大さんの声は何処へ行ったの!?って・泣きが入りそうなくらい、耳障りなんだけど、でも・良いんだよなぁ…、あの響きが。

 最っ高に・恐ろしくて魅力的な「悪」ですね!!

 でも、健一が山本太郎さん演じる主人公・義夫に“オモニに渡してくれ”と、バッグ一杯のお金を渡す場面。警察に追われる義夫を呼び止めた健一の声に、私・ハッっとしました。ここだけは、いつもの純大さんの声…。眼にも、あの残忍さはありませんでした。何か・自分も含めた周囲を嘲るような色はあるものの、優しささえ感じたのは私の錯覚では無いばずです。

 あの時の健一は、大切なお母さんに親孝行したいという、普通の青年になっていたのですね。常識的には強盗して得たお金などで親孝行は出来るものじゃありません。根本的にあの発想は、常識人には理解不能。でも、健一は健一なりに一生懸命だったこと、絶妙な演技の変化で表現しちゃうんですね・純大さん…。

 純大さん…!!あなたの高山健一、本当に最高でした!!
 
 さてさて、『夜を賭けて』は、第2部に向けて動き出しているようです。でも、もう健一は出る事は無いのですよね(純大ファンとしちゃあ、回想シーンでも幽霊でもイイから出て欲しいけど…?)。あ!別の役って手がありますよね。健一とは全然違う役…(初子さんに協力する弁護士さんとか?)。いかがですか??金監督!?

 …でも、本当はもっと健一が観たい!!高山健一という人間をもっと掘り下げて描いて欲しい。
   愛しいはずの母を打ちすえながら、彼の心は何を叫んでいたのでしょうか?
   義夫に別れを告げた時、健一は直後の自身の運命を悟っていたのでしょうか?
   最期の瞬間、彼は何を考えていたのでしょうか?

 金監督!!『夜を賭けて・第2部』の後でイイですから、健一主役で『外伝』撮りませんか??金監督のパワーで純大さんの健一を掘り下げたら、きっとファンもそっぽを向きたくなる凄いモノが出来ると思いますよ!!
(…ファンがそっぽ向いたら…それはそれで問題だけど…)
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