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『ムルデカ17805』によせて…@ 2002.08.08 thu
 純大さんの初主演映画『ムルデカ17805』。ネット上に様々な意見が出ていますね。手放しで絶賛するもの。手厳しく非難するもの。(もちろん、純大さんの演技を賞賛するものもたくさんあります。)これらの意見に対しては来週書くとして、今回は私の想いを語らせて戴きます。

 私自身は、とても意義のある映画だと思っています。叶うことなら、1人でも多くの人に見て欲しい、そう思います。『ムルデカ』が私たちに教えてくれた事実は、大半の日本人が知らなかったことです。私も、全く知りませんでした。私は、小学校5年の時に母から贈られた「ひめゆりの少女たち」という本を読んだのをきっかけに、多くの第2次大戦・太平洋戦争に関する本を読みました。しかし、戦後インドネシアに残り、その独立のために戦った日本人の話にはめぐり合いませんでした(今村中将が、バンドゥンを無血開城したことなんかは知っていましたが…)。

 思うに、封殺された事実なのでしょう。映画の告知も兼ねて、純大さんが「開運なんでも鑑定団」に出演されたおり、島田伸介さんがおっしゃいました。インドネシアに残った人たちは“脱走兵扱いされた”と。日本軍の側からみれば、事実その通りなのだとも思いますが、それ故に人の口の端に上る事も無く、そのうち歴史の中に埋もれてしまったのでしょうね…(まだ、たった50数年なんですがね)。そこに、2千人もの人がいたにも関わらず…。
(この時話題になっていた本、読みたくて探し続けているのですが…、未だにめぐり合えません。)

 2千人…。なんと多くの人の歴史が埋もれていたことか!!その事実を映画という解りやすい形で世に出した。この1点だけで、『ムルデカ』は本当に大きな存在意義があります。(純大ファンには別の意義もありますが、と・これは再来週書きますね。)

 もちろん、どんな理由を付けても、戦争=人が人を殺めることを正当化する行為=が許されるはずがないことも、また真実です。インドネシアに残って戦った人たちは、実は称えられたりしてはならないのかもしれません。極端なことをいえば、例え外国から攻められても、戦わないことこそ、人としては正しいのかのしれません。しかし、例えそうだったとしても、そこにいた人々の存在まで消して良いはずは無いのです。彼らがインドネシアに残った理由はどうであれ、そこに彼らがいたことは真実なのですから。

 そして、それはおそらくインドネシアだけのことではないでしょう。インドネシアに残った人々のように、独立戦争に参加するようなことは無くとも、戦後も日本に還らず、あるいは還れず、異郷に果てた方は大勢おいでのことでしょう。せっかく、生きて終戦の日を迎えられたというのに…。きっと皆、本当は日本に還りたかっただろうに…。

 忘れられ、新しい世代の日本人には、その存在さえ知らされることの無かった多くの人々…。そのことを私達に知らし示した映画『ムルデカ17805』に、私は率直に感謝します!!

 夏が来ると、日本のあちらこちらで鎮魂の日が続きます。その締めくくりは8月15日の終戦の日になるのですが、私は更に8月17日にも祈りを捧げたいと思います。終戦後も異国の地に残り、異国で逝った人々を思って…。


※「ひめゆりの少女たち」※
 日本で唯一、本土決戦の場となった沖縄で、看護婦として従軍を余儀なくされた旧制中学の少女たちのうち、辛くも生還された方が子供向けに書いて下さった手記です。この本で戦争の恐ろしさ・愚かしさを思い知らされた私は、何故日本はあんな戦争をしたのか?それが知りたくて、多くの本を読んだものです。本来なら、ちゃんと出版社等を記載しなければ…と思うのですが、現在手元に現物が無く、正確なことが判りません。私に多くのことを教えてくれた宝物なので、子供のころ住んでいた家から現在の住まいに引越しした時、間違いなく持ってきたのですが…。大切にと、しまい込み、しまった場所を忘れる…。O型の典型らしいのですが…。トホホホ…
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