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信長の神髄 4



信長はトータルコーディネーターでもありました。彼の才能は全てに及び、およそ不可能という事はなかったような印象を受けます。


新しい時代のエネルギーを的確に把握し、その使い方を誰に教えられるわけではなく理解できました。そしてこれこそ信長の真骨頂だと思うのですが、彼は理解するだけではなく、どうしたらその力を有効に作用させることが出来るかまで分かった事だと思います。どうしてなのでしょうか、今更ながら不思議だと思います。


そしてそれをやり遂げるために強烈な意志を持っていました。恐らくあまたの軋轢は瞬時に理解したに相違ありません。しかし、最後までやり遂げた実行力も驚嘆に値するのではないかと思います。
惜しむらくは信長には彼の理想を実行できるスタッフが少なすぎた点だと思います。新しく加わった秀吉、光秀はほとんどオールマイティーの活躍を見せてはいましたが所詮信長足り得ませんでした。もし光秀が本能寺の変さえ起こさなければ日本史は決定的に変わっていたのにと思うと残念です。


私たち日本人にとって信長という奇跡の天才を失ったことは非常に大きな損失だと今更ながら思います。


信長だけしか「野に埋もれている人材」の能力を正確に理解し、かつ彼らを「生かし」てしっかりと活用することが出来ませんでした。今までの範疇を越えた人材の参入がなければ戦国時代を終わらせる事はできなかったはずです。このことは、信長無ければ群雄が割拠した戦国時代がその後も続いたことを意味します。


その結果、統一が出来なかった(統一の可能性が次の世代以降まで繰り延ばされた)日本が続いた結果、現代に生きる私たちもまた今とは違う資質の日本人になったのはまちがいありません。