ホルモン補充療法(HRT)と乳癌 Hormone Replacement Therapy 中高年女性における健康の維持・増進を図る目的で閉経後女性に対するホルモン補充療法が期待されています。 対象疾患: 更年期障害、骨粗鬆症、高脂血症、排尿障害など 両側卵巣摘出女性、高齢女性 骨粗鬆症や動脈硬化に対する予防的治療 除外疾患: エストロゲン依存性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)、 肝・心・腎疾患の重症例、高度な糖尿病、血栓・塞栓症 方法: エストロゲン・プロゲストーゲン併用投与 エストロゲン製剤: 結合型エストロゲン、エストリオール、エストラジオール プロゲストーゲン: MPA (medroxyprogesterone acetate) 乳癌の発生 相対危険率は、HRT5年以内は、1.81、5年以上は、2.65、予後良好の浸潤癌はそれぞれ4.42、2.63 と乳癌の発生の危険が増します。つまりおよそ2.65倍乳癌になりやすいと言うことになります。また、7年以上の経口避妊薬使用によって、異型性を伴う良性乳腺病変は1.43 と高くなる。 HRTを受けている方は、特に乳腺の定期検査をきちんと受けるようにして下さい。 乳癌術後のHRT 術後に抗エストロゲン療法が必要のないような早期乳癌患者さんに対して、HRTの施行が望まれてきています。また、抗エストロゲン療法後のHRTが予後に影響を与えないという報告もあり、一層期待されていますが、まだまだ未知数が多いと考えられており、今後検討する必要があります。 |