内視鏡手術

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経腋窩・乳腺背側アプローチ法による鏡視下乳房温存手術
                  (TARM-VABS)
  従来の乳腺内視鏡手術は、皮膚直下を剥離することにより手術操作を行っていましたが、剥離範囲が広くなると知覚神経の損傷もひどくなります。この方法は、全て腋窩の傷のみから操作し、乳腺の背側から腫瘍部分の乳腺を切除してきますので、神経損傷や皮膚障害が起こりません。また、乳房のどの位置に腫瘍があっても手術可能です。乳輪縁切開では乳頭・乳輪の変形を起こす可能性がありましたが、その心配もいりません。
腫瘍が乳房内のどの部位にあっても腋窩から手術できます。腋窩から乳腺の裏を通って腫瘍の部位へ到達し、皮膚を傷つけることなく摘出します。


内視鏡的センチネルリンパ節生検
  わずか1cmの傷により、ビジポートを使用して染色されたセンチネルリンパ節を摘出することが出来ます。乳腺リンパ管造影3D-CTと併用することにより、より安全に正確に実施可能です。
緑色の色素に染まったリンパ管とセンチネルリンパ節が観察できます。SN: センチネルリンパ節、LD: リンパ管ビジポート: ここに内視鏡を挿入して腋窩内を観察します。
腋窩に僅か1cmの傷で生検ができます。腋窩に僅か1cmの傷で生検ができます。


乳房温存手術

 腋窩に2.5 cmの皮膚切開(腫瘍の位置によって乳輪縁にも2.5cm)を施し、5 mmのビデオスコープを使い、モニターで見ながら、手術操作を行います。癌病巣を周囲1〜2 cmの乳腺組織とともに切除します。さらに、腋窩リンパ節郭清を行います。乳腺の欠損部分は周囲の脂肪組織を寄せたり、側胸部脂肪織や人工合成繊維網を充填して、形を整えます。腋窩リンパ節郭清を行う場合には腋窩のリンパ液漏出に対して、J-VACドレーンを留置します。皮膚は、吸収糸で皮下縫合し、表面はダーマボンドという接着剤で固定します。これにより、傷を完全に密閉出来ますので、水に濡らしても平気ですし、傷の消毒・抜糸は要りません。傷は、腋の下に隠れる目立たないところに、わずか2〜3 cmの小ささで、しかも綺麗に出来上がりますので、皆さんが満足されています。
最近はセンチネルリンパ節生検を行い転移陰性であれば、腋窩温存しますので、より整容性の高い手術が可能となっています。
 



乳腺全摘手術

 乳管内非浸潤癌(DCIS)で、乳管内進展が強く、乳腺の広範囲に広がっている場合には、どうしても温存手術をする事が出来ません。かといって、非常に早期の癌ですから、乳房切断術を行うのは、過剰の手術という事になります。我々は内視鏡を用いる事により、乳頭と皮膚を切除する事なく、乳腺全摘+乳房再建術を行っています。人工物を使いますので、新たに傷を付ける事はありません。出来上がりは、左右対称で違和感はありません。今後積極的に行っていく予定です。
  


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