今村好太郎牧師



今村好太郎牧師が、越谷教会70年史に寄稿された文

 越谷教会が本年で創設満70年になり、長尾丁郎牧師在任40年になられると聞きまして今昔の感にたえません。長尾牧師の長い間のご忍耐とお祈りと働きが実を結んで、今日では立派な教会となっていることを思い慶びに耐えません。
 私が越谷教会に在任したのは大正8年8月、高林教会を辞任し、翌年8月北米プリンストン神学校に留学するまで即ち大正8年9月から翌年の7月までの10ヶ月の間に過ぎませんでした。けれども私はその10ヶ月の間に教会に青年を導くために英語の塾を開設したり、極力町の人々に伝道しました。そのため、その間に、高井辰蔵兄なる盲人青年の外、大家さんの上野安太郎さん、小学校教員であられました坂本郁子、小泉清子両姉、及、越谷区裁判所判事の令妹、堀越豊子姉の方々に洗礼し、隠れた信徒であられた町会議員の荒井麟三郎兄を教会に加えることが出来たことなど感謝の思い出でありました。その教会の内には吉田菊太郎氏のご尊父吉田兼三郎兄や大沢町長荻野磯五郎兄、今尚ご存命と聞きます島村くま姉、浅子愛子姉などのことなどをいろいろ思い出るのであります。その他英語を教えていた数名の青年たち、今その氏名を思い出せませんが、懐かしい人々でありました。
 私の生涯は神学校を出て48年、常に多忙に負われた生涯で在りましたが、越谷の10ヶ月は身も心も伸び伸びとよく学びよく祈りして落ち着いた生活を恵まれていましたのと関東平野の雄大な景観を心ゆく限りに楽しみつつ働いた年月でありましたため、在任の期間の短かった割に凡ての記憶がはっきりと残されています。(後略)。
                        昭和35年2月29日