12年前の今日、君は生まれた
あの日も今日と同じ、天気は晴れ
医師の手にとりあげられた君はゴロゴロとうがいをしているような泣き声で
なぜか片目を閉じてこちらにウインクしていたね
指を差し出すと、ヒナ鳥が小枝につかまるようにギュッツと握り返してきた
一体いつ眠るのだろうというほど24時間ずっと君は泣いてばかりいた
(初めて明け方まで続けて寝てくれたときにはホントウに感激してしまったよ)
あのときは、いずれ2本の足で歩き出す日がこようとは、考えられもしなかった
かけがえのない存在がやってきたことを、わたしは気が付かないでいた
今は―
「ごはんだよ。」
「お小使いは?」
用事のある時にフラリとやってきて去っていく君
だけどそれで十分だね
誰にも所有されない、誰をも所有しない、適切な距離を―
よそよそしくもなく、苦しくない距離を―
わたしは君との間にも、そして他の誰との間にも保つことを学びたい