お話

 わたしの話を聞いて

 あなたの聞きたいことではなくて

 わたしの聞いてほしかったことを

 義務とかそんなんじゃなくてただ聞いてほしかたっだけ

 おざなりな相槌はいらなかったの

 何を話したかったか何を聞いて欲しかったなんて
 
 思い出せないほど遠い昔のこと

 おきざりにされたわたしのお話は

 受け止められるのを待ちわびて待ちくたびれて

 それでもあきらめきれずに言葉にならない感情となってあふれだす


 子供の頃あなたに宛てた手紙を見つけました

 水森亜土さんの絵のついた「ららちゃんメモ」に書かれた簡単な手紙

 「ままへ    ○○子より
  ままごめんね。
  もうこれからぜったいしないね。
  だから口をきいてよ。
  ぷうぷう(プンプン)してないでね。
  おねがいよね、ねっねっ
  でもこのてがみかいたあととてもわたせなかったの
  でもようやくね」

  そう書かれてありました。

  口をきいてもらえないほど悪いことをわたしはしたのでしょうか

  手紙ひとつ渡すのも怖くてなかなかできなかったのです

  自己憐憫と言われるかもしれないけれど

  わたしはその手紙を書いている、子供のわたしのそばに飛んでいって

  抱きしめて、彼女のお話を、言い分をただただ聞いてやりたくなりました 

                                    2001/12

トップページへ