デジカメの気持ち-ピントあわせ

これは、という写真が、ピントぴったりで撮れてると、それだけでかなりうれしいもの。デジカメの気持ちを理解して、デジカメがピントを合わせやすいように、手助けしてあげよう。

人間の目のピントあわせの仕組み

私たちが、近くを見たり、遠くを見たりするときは、目の水晶体というレンズを厚くしたり、薄くしたりして、光の曲がり方を変更して、網膜の上にちゃんと焦点があうようにしています。この水晶体から網膜までの距離が焦点距離。人間の目はレンズの厚みを変更して、焦点距離が変わらないようにしてるってわけ。

カメラのピントあわせの仕組み

でも、カメラのレンズは厚さが変わったりしない。光の曲がり方は常に一定。光が来る方向が変わると(被写体までの距離)、光の出る方向が変わって、焦点までの距離も変わる。どんな風に変わるかいうと、こんな風に変わる。レンズの右にある黄色いところが、画像を取り込むところで、CCDと呼ばれています。(普通のカメラではフィルムにあたります)

つまり、「ピントを合わせる」とは、「被写体の焦点距離にあわせて、レンズの位置を決める」ことなのです。

デジカメのピントあわせの仕組み

では、デジカメは、どうやって適切な焦点距離を見つけているんでしょう。?

こちらの解説を見てください。

いかがでしたか?要するに、シャッターが半押しされると、レンズを前後に動かしてみて、今写っている画像の中心付近の色や明るさの変化(コントラスト)が一番強くなるレンズの位置を探して、そこでレンズの位置を決めるというわけだ。なるほどねぇ。だから、半押ししてレンズの位置を決めてから、本押しすると、ピントがあっている場所が変わらずにすむわけね。

デジカメのピントあわせの落とし穴

でも、この良くできた仕掛けのせいで、ピントあわせがうまくできないこともある。コントラストがはっきりしていない被写体、たとえば、黄色と白の花などをアップで撮ろうとすると、花の部分より、背景の部分にピントをあわせたほうが、コントラストの平均値が強くなったりする。こんな場合は、間違って背景にピントをあわせちゃうんだな、これが。

これを回避するには、花までの距離にあわせてピントをあわせてくれるように、花と同じ距離にコントラストがはっきりしているダミーの被写体を置いて、それに半押しでピントを合わせてから撮影すると、理屈の上ではうまく撮れるはずなんだけど、なかなか思うように撮れないんだよねー(ToT)。

マクロモードについて

デジカメについているマクロモードは、近くにピントを合わせるモード、つまり、焦点距離が長い位置を基点にして、レンズを前後に動かしてピントあわせをするモード。

私の仮説では、少しだけレンズを動かしてピントあわせができるようにすることで、ピントあわせを高速にするための工夫だとおもうんだけど、さて、真相はいかに?

どこまで近づいて撮れるのか

どれだけアップでとれるかは、どれだけ焦点距離を変えられるかで決まります。カメラの仕様の「撮影距離」にご注目。これが短いほどマクロ撮影に強い。花などのどアップ写真を専門に撮りたい人は、この数値のチェックは忘れずに。

「ピント」について、さらに詳しく知りたい方は。。

ちょっとむずかしいけど、ここがお勧め。

   ピントの合わせ方

デジカメの気持ち-画像の明るさ

同じように撮っているつもりなのに、できた画像が明るすぎたり、暗すぎたり。フォトレタッチソフトで、後で直すのもよいけれど、やっぱり撮るときにちゃんと撮りたい。どうすればちゃんと撮れるのかな?

画像の明るさは何できまる?

デジカメの画像の明るさは、撮影するときに取り込む光の量で決まります。最終的な画像の明るさが「露出」。明るすぎるのを「露出オーバー」、暗すぎるのが「露出アンダー」というそうです。

被写体の明るさは、その時々で違うのに、どうやってちょうどいい明るさで撮るのでしょう?
カメラは、被写体の明るさにあわせて、ストロボを発光させるかどうか、光が入ってくる入り口の広さ(絞り、レンズの口径)、入り口を空けておく時間(シャッタースピード)を調整して、ちょうどよい明るさになるようにします。

デジカメの対象の明るさの決め方

デジカメは、シャッターが半押しされると、今写っている画像全体の明るさを分析して、それにあわせて、ストロボを発光するかどうかやシャッタースピードを決めています。

画像全体で判断するので、画像全体に白っぽいところが多いと「明るい」と判断して、暗めに写るように調整し、黒っぽいところが多いと「暗い」と判断して、明るめに写るように調整します。
このため、白っぽい空を背景にしてとると、なんだかやけに被写体が黒っぽく写ったり、同じ風景をパノラマ写真のように連続して撮ったときに、それぞれの明るさが微妙に違ったりする、というわけです。

さて、デジカメの気持ちが理解できたところで、おもうような明るさで撮る方法を考えて見ましょう。

対象の明るさを変える

照明を調整したり、背景を変えたりして、シャッターを半押しする時点の画像全体の明るさを変えると、写ったときの被写体の明るさが変わります。たとえば背景が黒っぽくなるようにして写すと、被写体が明るめに写ります。

シャッタースピードを変える

ストロボのモードや露出補正機能を使って、シャッタースピードを変更すると、写る明るさを変えることができます。たとえば、空を背景にしているときで、被写体が黒っぽく写る場合は、露出を+に補正すると、被写体を明るく写すことができます。

詳しくは次の記事を見てくださいね。

連続撮影モードを利用する

同じ被写体を何枚も撮るときに、明るさやピントを固定したい場合は、連写モードやパノラマ撮影用のモードを利用します。この場合、1枚目に決めた設定で、2枚目以降を撮影してくれるので、同じ明るさの写真を撮ることができます。

「明るさ(露出)」について、さらに詳しく知りたいかたは。。。

ちょっとむずかしいけど、こちらがお勧め。

   「露出」って何?

デジカメの気持ち-シャッタースピード

お手軽デジカメじゃ、シャッタースピードは変えられないと、あきらめるのはまだ早い。ちょっとぐらいなら変えられるって、知ってた?

シャッタースピードって何?

シャッターを開けておく時間のこと。シャッタースピードが速いと、シャッターが開いている時間が短く、遅いと開いている時間が長い。開いている時間が長ければ、より多くの光を取り込めるから、明るく写るけど、シャッターが開いている時間の間に、カメラや被写体が動いてしまうと、ぶれて写ります。

シャッター
スピード
シャッターが
開いている時間
取り込める
光の量
写真の
明るさ
ぶれやすさ
速い 短い 少ない 速いほど暗く写る ぶれにくい
遅い 長い 多い 遅いほど明るく写る ぶれやすい

フルオートのときのデジカメのシャッタースピード

デジカメは、写したいものの明るさを調べて、適当な明るさで写るようにシャッタースピードを調整してくれます。ある程度以上、シャッタースピードを遅くすると、ぶれやすくなるので、そのときはストロボを発光して、シャッタースピードを速くします。

デジカメのシャッタースピードを変えるもの

    (1)ストロボのモード

ストロボのモードを変えると、シャッタースピードが変わります。

ストロボの
モード
ストロボの動作 シャッタースピード
オート 被写体が暗いとストロボを発光します。 ストロボの明るさをあてにして、速くなります。
オン 常にストロボを発光します。 ストロボの明るさをあてにして、速くなります。
オフ ストロボを発光しません。 被写体が暗いほど、遅くなります。
スロー
シンクロ
シャッタースピードを遅くして、ストロボを発光します。 被写体が暗いほど、遅くなります。

  (2)露出補正

露出補正の機能がついているカメラなら、この機能でシャッタースピードを変えられます。
露出を+にすると、シャッタースピードは遅くなり、より明るく写ります。
露出を−にすると、シャッタースピードは速くなり、より暗く写ります。

シャッタースピードを目いっぱい速くする

動いているものをなるべくぶれないように写したいときなどに、シャッタースピードを目いっぱい速くしたい場合は、   

ストロボをオンにする。
露出補正を - (マイナス)いっぱいにする。

画像が暗くなってしまったら、フォトレタッチソフトを使ってあとで明るくしてみよう。

シャッタースピードを目いっぱい遅くする

夜景を撮りたいときなどに、シャッタースピードを目いっぱい遅くしたい場合は、

ストロボをオフにする。 
露出補正を + (プラス)いっぱいにする。

シャッタースピードを遅くするときは、三脚を使いましょう。

この記事には、私のカメラを使った実験結果による推測も入っています。どのカメラでも同じようになるとは限りませんので、自分のカメラで試してみてくださいね。

デジカメの気持ち-背景をぼかす

花をアップでとるときに、背景がぼけると、なんだか1ランク上の写真にみえるよね。どうやったらうまく背景をぼかせるのかな?

近くを写すとなぜぼける?

ピントあわせのところで説明した図で、少し離れたものがどんな風に写るか、考えてみよう。

「近くを写す」では、黄色い花の焦点が、画像を取り込む面(CCD)からたくさんずれているけど、対する「遠くを写す」では、ほとんどずれていない。この「ずれ」の量が「ぼけ」の量になる。だから、うんと近くを写すときは、少し離れたものでもぼやけてうつるというわけ。

お手軽デジカメで背景をたくさんぼかすには

次の2つの方法では、写したい花のサイズは同じになっても、背景のぼけ方が違ってくる。

写し方

被写界深度

背景のぼけ方

ズームを使わずに、花に近づけて撮る。

浅い

多い

ズームを使って、少し離して撮る。

深い

少ない

被写体までの距離をいろいろ変えて、試してみよう。

デジカメの気持ち-背景がぼけるカメラとは?

いいカメラだと背景がたくさんぼけるらしいんだけど、いいカメラって一体どんなカメラなんだろう?

焦点距離とぼけかた

背景をぼかすのところで説明した図で、焦点距離が違う場合を比べてみよう。

「焦点距離短い」と「焦点距離長い」とで、CCDからの黄色い花の焦点のずれを比べると、「焦点距離長い」のほうが、よりたくさんずれているのがわかる。つまり、焦点距離が長いと、ぼけかたが大きくなる=被写界深度が浅くなるというわけだ。

背景をたくさんぼかしたい人は、、、

背景をできるだけたくさんぼかしたい!!そういう人は、「いいカメラ」の中でも「焦点距離が長い」カメラを選びましょう。

デジカメの気持ち-背景をぼかしたくないときは?

アップで撮ると背景がぼけると説明したけど、いくらアップでも花びらにだけピントがあってるんじゃ悲しいよね。花全体をはっきりとるにはどうすればいいのかな?

まずはピント合わせのおさらい

これを説明するには、ピントあわせをもう少しちゃんと説明しないといけない。
被写体の1点から出ている光は、360度四方八方に出ている。このうち、レンズを通る光が、それぞれ入ってきた方向に従って曲がって、1点に集まるところが焦点。
下の図を見てください。赤い花にピントが合っているとき、花の上端から出ている光は赤い線、花の下端から出ている光は緑の線のように曲がって、それぞれCCD上の1点に集まる。

ついに絞りが登場!

では、絞りを絞るとどうなるか。
絞りは円形のシャッターみたいになっていて、絞るとレンズの外側の光が通らなくなる。でも、隙間を通過する光の状態は、絞る前と変わっていないから、ピントが合っている状態は変わらない。ただし、レンズを通る光の量が少なくなるので、そのぶん暗くなる。

なーんだ。じゃあ、絞りは明るさを調整するだけのもの?
と、思ったら大間違い。これがなぜか、背景ぼけに関係しちゃったりする。

絞りと背景ぼけの関係

ものはためし、赤い花にピントが合っている状態で、少しはなれた黄色い花がどんな風に写るか、見てみよう。

赤い花の焦点と黄色い花の焦点距離のずれは、絞りを開放している状態と絞っている状態とでは同じ。
それなのに、CCDに写っている黄色い花の状態を見てみると、絞りを開放しているときは大きく広がって写っているのに、絞りを絞っているときは少ししか広がっていない。なんと、絞るとぼけが少なく(被写界深度が深く)なってるじゃないか!
光の曲がり方が小さいと、そのぶん、ずれは小さくなる。絞ると、光の曲がり方の少ない部分だけを使って写すから、被写界深度が深くなる。

そうか、絞りって明るさを調整するだけじゃなくて、被写界深度も調整できるんだ!

アップの花全体をはっきりとるには

つまり、アップの花全体をはっきりとるには、花全体がはっきり写るまで絞りを絞って、絞ったせいで暗くなった分を、シャッタースピードを遅くしてカバーすればいいんだ。

もちろん明るさの調整も

意識的にシャッタースピードを遅くしたいときにも、絞りが活躍。シャッタースピードを遅くしただけでは明るく写り過ぎてしまうので、そのぶん絞りを絞って暗くなるようにする。渓流の流れなど、動きを写したいときに効果的。

早速実験

よーし、絞りの意味がわかったところで、早速実験だ!。
とおもったら、私のお手軽デジカメには、絞りの調整機能はついていませんでした(T_T)。

いいカメラの正体

アップを専門に撮りたい人は、絞り調整機能のついている&レンズが明るい(光をたくさん通す=たくさん絞れる)カメラを選ぶといいんだと思います。。


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