歌う哀愁の花びらたち
Valley Of The Singing Dolls

 美しい花びらはすぐに散ってしまうもの…、そしてビルの谷間にポイッと捨てられるの…。それが人生なんだワ。
 ところが、中には、ドライ・フラワーとなり、カサカサに乾燥して、その上ほこりをかぶりながらも、一応面影をとどめているものや、最初から人工着色の造花仕様で、接着剤でしっかり固定されてて(爆)、散るのと無縁の花びらもあったりして…。

 前置きとは何の関係もなく(笑)、‘歌う女優’のレコードを集めてみました。あなたに祈りをこめて…。
                           (2004年6月24日)



ソフィア・ローレン
SOPHIA LOREN
 ソフィアは、ずっと一線で活躍されてるホント大女優ですよね。色んな映画で歌もちょこちょこ歌ってます。映画「島の女」(1956年)の主題歌A面は哀愁を帯びたメロディをしっとり歌います(この曲はアンソニー・パーキンスも英語で録音しました)。B面は「河の女」(1955年)の主題歌で、陽気なマンボ!こちらも楽しいですね〜。ソフィアは他にピーター・セラーズとのデュエット盤等もあります。彼女の伝記「ソフィア・ローレン 生きて愛して」(A.E. ホッチナー著 講談社刊)によると、ソフィアの妹マリアはシナトラも大絶賛するほど歌が上手かったとか…。そういえばマリアの娘のアレッサンドラ・ムッソリーニ(あのムッソリーニの孫にあたる。現イタリアの議員で学歴詐称で問題に…。政治家はどこでもいっしょ?)も若い頃、歌手として東京音楽祭に出場した事がありましたね(爆)。ソフィアの歌は現在ボックス・セットで色々聞けます。
シルビア・クリステル
SYLVIA KRISTEL
 シルビア、中学生の頃大好きでした。なんせ、リアルタイムで「華麗な関係」(1976年)千日前セントラルで観ましたからね。「卒業試験」と「さよならエマニエル夫人」はマクドナルド下の千日会館の低料金鑑賞でしたけど…(めちゃローカルねた)。彼女、美しかったですよね。この<ジュリアンの誘惑>(1977年)と「続エマニエル夫人」(1975年)のシングルは当時買いました。「続エマ」の主題歌はフランシス・レイとのデュエットになっていて、これがすごくいいんですよ〜。いつもレコードに合わせて、怪しいフランス語で歌ってました。<ジュリアンの誘惑>は味の素のコーヒーのCM曲でもあり(テレビで流れてた記憶がないから、イメージ・ソング?)、A面フランス語(作詞は永瀧達治)、B面日本語(笑)で歌われます。シルビアは確かオランダ人でしたよね。ミュージカル・コメディに出たいとも言ってたので、長い手脚を生かしたそんな作品も見てみたかったです。‘脱ぎ脱ぎ’ものばかりでなく…。ユーモアのセンスのある方なので、案外成功したかも〜。なお<ジュリアンの誘惑>は中古レコードで、今でも簡単に見つかると思います(泣)。
シドニー・ローム
SYDNE ROME
 知ってました?1976年にこんなレコードが出てたの。米国オハイオ出身のヨーロッパ女優がフランス語で歌います。作詞にはBoris Bergmanの名も…。モデル然としたカバー写真がいいですよね。でもでも、作品自体はもっといい曲なかったのかよ?ってカンジ。アルバムも出ているのかどうか不明。日本公開作があまり無かったにも関わらず、70年代後半には日本の映画雑誌の表紙やグラビアでも重宝されてたシドニーさん、今はどうしていらっしゃるんでしょ?デヴィッド・ボウイ主演の半コメディ映画「ジャスト・ア・ジゴロ」(1979年)でも、ドイツからアメリカに渡って成功する女優役で、英語で1曲歌ってますが、そちらの歌のほうがいいですわ。(2004年7月8日追記:シドニーのフル・アルバム「SYDNE ROME」(ドイツ盤)を見つけました。ローマで録音された1980年作で、10曲全て英語で歌っています。Sims-Mattoneというコンビが9曲書いていて、シドニーのヴォーカルは上記のシングルより、ハスキーでちょっと雑な印象も…。メインとなる曲はないけれど、音痴ではないのでそこそこ聞けるアルバムになっています。ジョディ・フォスターと共演した1977年の映画「MOI, FLEUR BLEUE(私、青い花)」のシドニーが見てみたいぞ。)
マレーネ・ディートリッヒ
MARLENE DIETRICH
 映画「ジャスト・ア・ジゴロ」が出たので、続いてディートリッヒさん。この映画のサントラに収録のマレーネが歌う<JUST A GIGOLO>が大好きなんですよ。最初ピーター・アレンのアルバムで知って、お気に入りとなった歌です。この曲はマレーネとは犬猿の仲?のエリザベス・テイラーも、映画「バージニア・ウルフなんかこわくない」(1966年)の中で、ちょこっと口ずさむシーンがありましたね。もともとはドイツの曲で、ドイツ語の歌詞があるそうなんですが、マレーネは英語で歌ってます。オリジナルの歌詞、いつか聴いてみたい!とずっと思っています。マレーネ自身のアルバムは、1954年にロンドンのカフェ・ド・パリでのライヴ盤(ノエル・カワードがオープニングでマレーネを紹介)しか持っていないのですが、これってゲイ失格?。ボックス・セットぐらい買えよな!
シャーロット・ランプリング
CHARLOTTE RAMPLING
 これは映画「愛の嵐」(1973年)の中で使われた曲です。クレジットがそうなってるので、シャーロット自身が実際ドイツ語で歌ってるんですよね。3分足らずの暗〜い歌ですが、この雰囲気と存在感、さすがです。シャーロットは2002年にフランス語と英語で歌ったフル・アルバム「男を見つめる女のように」も出しました(スグ廃盤になりそう、今のうちに買っときや〜)。以前、アンナ・カリーナのフル・アルバムが出た!というので、喜んで聞いたら、‘キャロル・チャニングもどきな婆さん声’になっていて、びっくらこいたことがありましたが、シャーロットは大丈夫でしたね。音楽的というよりつぶやきっぽいアルバムでしたが、中でも僕は英語の歌の方が気に入りました。あと、シャーロットの写真集も持ってるのですが、最高っスよ。
ジャンヌ・モロー
JEANNE MOREAU
 ジャンヌの歌といえば…、“またあの曲かよ?”と思ったでしょ?違いますぅ。やっぱりゲイは、トリュフォーよりファスビンダーだわさ!映画「ケレル」(1982年)の中でジャンヌが歌う曲素敵すぎ。‘人は愛するものを殺す…’確かオスカー・ワイルドの言葉でしたよね〜。ユーミンも<魔法のくすり>の中でワイルドを引用してましたが…、おっと、脱線。ジャンヌは「ジャンヌ・モロー」「新しい詩の世界」「クラリッスの詩」「ジャンヌを歌う」「ノルジを歌う」など、アルバムもたくさんあります。‘歌う女優’の大御所ってとこ?そうそう以前ジャンヌが来日した時、インタビューで彼女に“孤独って必要なものですかぁ〜?”と大バカな質問したNHK女子アナがいましたよね。“フッ、お嬢ちゃん、あなたには孤独の意味がわかっていないようね”ってジャンヌも脱力してました。逝ってよし!あのNHKアナ。
クラウディア・カルディナーレ
CLAUDIA CARDINALE
 ‘ドナ・サマーにも負けない!セクシーでエレガント!!あの女優カルディナーレがディスコで乱舞!!ヨーロッパではいま大旋風!!’というコピーが泣かせるじゃありませんか。成熟した女(つう〜か、とうが立ちすぎ?)のくどい目の化粧が気になります。A面は1977年当時よくあった、吸血鬼を歌詞(英語)に盛り込んだディスコ。でも、なんといっても聞きものはB面の<DO IT CLAUDIA>でしょ。プロコル・ハルムの<青い影>チックな音楽をバックに、女性コーラスが“おやんなさい!クラウディア。人生は一度しかないのよ!おやんなさい!”と煽る!煽る!まるで、ピンク・レディーの<ピンク・タイフーン>です。カトリックの国の女がそれでいいのかぁ〜。あなたもこのレコードで乱舞する?
アン・マーグレット
ANN-MARGRET
 女優のディスコものと言えば、やっぱり‘セクシー・ダイナマイト’のこの方ですよね。でもアンは単にセクシーさだけが売りの女優とはわけが違います。歌や踊りはもちろん、その上ものすごい演技力の持ち主なのですから!1983年のテレビ版「欲望という名の電車」のブランチ・デュボワ役で見せた神がかり演技は、かつて同じ役を演じたヴィヴィアン・リーを完全に超えてました。作品自体の出来も最高!ぜひブランチ役のアンをご覧下さい。ゲイなら絶対ハマるって。このレコード<LOVE RUSH>は1980年のリリース。カバー写真もいいですね(昔の写真か?)。同年リリースの<MIDNIGHT MESSAGE>の方は、ル・ポールの編集したダンス・コンピでCD化されています。アンはディスコ以外のヴォーカル・アルバムもたくさん発表してますが、僕は2001年のゴスペル・アルバムの他に、5枚組みボックス・セット(1961年から1966年の録音)まで購入してしまいました。アン・マーグレット、万歳!
ミッシェル・フィリップス
MICHELLE PHILLIPS
 ミッシェル・フィリップスをこのコーナーに入れていいの?いいんです。いくら‘ママス&パパス’の元メンバーと言われても、僕にとってミッシェルはリアルタイムで女優でしたから。もちろん観に行きましたよ〜、ルドルフ・ヌレエフの映画「バレンチノ」(1977年)。わざわざ前売り券まで買って。きれいでしたよね、あのヌレエフ(とミッシェル)の全裸のラブ・シーン。ポスター部屋に貼ってましたもん。ところで、レコード(こちらも1977年発売)の方ですが、ジャケット写真のイメージと違い、かなり乾いた仕上がりになっています。シングルB面の自作の歌の方が良いです。アルバムでは、バーブラやシェールに曲を提供してたアラン・ゴードン(Alan Gordon)や、現在は陶芸家として成功されているロン・ネーグル(ネイグル)(Ron Nagle)とスコット・マシューズ(Scott Mathews)の作品、ビージーズのカヴァーも収録。ドリス・トロイのクラシック<JUST ONE LOOK>も歌ってます。
リンダ・カーター
LYNDA CARTER
 笑わないでね。そうあの‘ワンダー・ウーマン’のリンダ・カーターさんですぅ。‘ワンダー・ウーマン’といえば、やっぱりあのコスチューム!しょせん色モノですか?いいえ、歌はいたってまともなんです。メリサ・マンチェスターのアルバムで知られるヴィニ・ポンシアがプロデュースを担当し、ビリー・ジョエルの<SHE'S ALWAYS A WOMAN>や、ミッシェル・フィリップスと同じく<JUST ONE LOOK>も採り上げていたり、自作も3曲収録(1978年作)。180センチの長身の美女で〜す。実は僕もウケ狙いで買ってみたんだけど…(笑)。‘ワンダー・ウーマン’はやっぱ‘キャンプ・クラシック’?
シビル・シェパード
CYBILL SHEPHERD
 確かにきれいだ(った)けど、プライド高そで、性格キッツくて、めちゃイケズで冷たそう…。おまけに‘歯に衣を着せぬ発言’で知られてるシビルさん。その反面、実はすごくゲイ・フレンドリーなんですよね。やっぱり芸能界ではゲイを敵に廻したら生きていけない事を、よくご存知で…(ゲイ差別発言を延々と繰り返してるブリジット・バルドー!よく聞いとけ!いつか痛い目に会うよ、アンタ)。シビルは2004年現在までに、ソロで7枚のアルバムを出してますが、たまたまスリリングな大傑作となった「MAD ABOUT THE BOY」(1976年録音)を除いて、あとはどうも、彼女の大ざっぱな性格が災いしてか、かなりトホホの出来ですね〜。Suzuさんの表現をかりると‘ママさんコーラス’っぽい…(爆)。言えてます。これは、当時の恋人ピーター・ボグダノヴィッチが監督した大コケ・ミュージカル「AT LONG LAST LOVE」(1975年)のサントラ(2枚組)で、音楽は全てコール・ポーター作。う〜ん、サントラを聞いただけでも、ライザの「ラッキー・レディ」に通じる失敗臭が…。シビルの他にも、バート・レイノルズ、マデリーン・カーン、アイリーン・ブレナン等の歌も収録。でも、シビルの歌はなんでも価値があると思わせる程、アルバム「MAD ABOUT THE BOY」は素晴らしい出来なんですよ〜(2001年のライヴ盤もまずまず)。詳しいディスコグラフィー等は、シビル自身のホーム・ページへ。
デボラ・ラフィン
DEBORAH RAFFIN
 “なんでこの人までが?”なレコードですな。実はダンナがレコード会社の社長兼プロデューサーだって…(ふざけんな)。ジャケ写真はリチャード・アヴェドンの撮影で、制作費使いまくりだし。でも、日本ウケを狙ったこのシングル盤<SAYONARA>は、悪くないんですよ。一応合格点あげられます。ただアルバム1枚となるとね〜。企画も企画なら、デボラの歌唱も、もう息絶え絶えってカンジ。自身の主演映画「ダブ」(1974年)の主題歌を歌ったり、オールディーズの<ANGEL OF THE MORNING>、<OUR DAY WILL COME>(なぜかロバータ&ダニーの<WHERE IS THE LOVE>とメドレーになってる)、<GEE WHIZ>等、ありがちな選曲というのでしょうか?フィービー・ケイツ(意外と歌◎)、トレイシー・ウルマンなど、歌う女優はダスティ・スプリングフィールドをカヴァーすることが結構あるけど、デボラは何のひねりもない<二人だけのデート>だし。ミュージカル「グリース」からの<LOOK AT ME, I'M SANDRA DEE>を歌うのはいいとしても、<NEVER MY LOVE>のような歌唱力を必要とする曲はもうダメダメ。とどめが、ジャクリーン“哀愁の花びら”スーザン著「いくたびか美しく燃え」の原作からの朗読(爆)。当然、結果はレコードのタイトルのまんま、表舞台から‘さよなら〜’となってしまいました。
クリスティ・マクニコル
KRISTY McNICHOL
 クリスティちゃんは別にここに入れなくてもよかったんだけども、‘レズビアン疑惑’(褒め言葉ですよ、もちろん)があるという事で、格上げして登場させてあげました!これは、1981年の映画「さよならジョージア」のサントラからのシングル盤。共演はマーク・ハミル(ジョージ・ルーカスと出来てたんだって!まあっ)、デニス・クエイド(B面で自作曲を歌ってもいます。2002年「エデンより彼方に」の隠れゲイ役がイケてた)。作詞・作曲は映画「ザ・ドロッパーズ」(1979年)で名曲<WITH YOU I'M BORN AGAIN>を書いたCarol ConnorsとDavid Shireのコンビ。「リトル・ダーリング」(1980年)ではテイタム・オニールを食う演技を見せたクリスティ、歌の方は若さで許してあげて…。
マリー・ラフォレ
MARIE LAFORET
 完全にイメージ先行型。ほら、このカバー写真、美しいでしょ?このイメージでレコード聞くと痛い目に会います。確かに映画「太陽がいっぱい」や「赤と青のブルース」の彼女は素敵だけど…。だからといって<カントリー・ロード/故郷ヘ帰りたい>や<リリー・マルレーン>をフランス語で、しかもキンキン声で歌われても…リンダ、困っちゃう。このLP(1973年頃の録音か?)聞いただけで、他のアルバムを買う気が失せてしまいました。これって僕が悪いのか?慣れればよくなるのか?歌手マリー・ラフォレの評価がかなり高いのがちょっと謎。この容姿がなければ、誰もアンタのレコードは買わないって!などと言いつつもマリーの著作「マリー・ラフォレの伝説と物語」(白水社刊)はしっかり持ってますよ。翻訳が日本で出たのが1983年で、ちょうど僕が大学に入った年なので、すごく印象に残ってます(と一人しみじみノスタルジーに浸ってみました)。
ジョアンナ・シムカス
JOANNA SHIMKUS
 マリー・ラフォレが出たら、次はジョアンナ・シムカスですよね。知ってました?彼女はカナダ出身なんですって。それとシドニー・ポワチエとは70年代からず〜っとご夫婦(仮面じゃないのよ)のようですね。2001年オスカーの名誉賞をポワチエが受けたときも、ご家族と共にテレビに写っていました。ジョアンナが歌うのは、自身主演の映画「若草の萌えるころ」(1968年)の主題歌。この映画は20年ぐらい前にテレビで観たことがありますが、簡単に言うと‘家に帰ると大好きな叔母さんが死んでいた…’という(どうってことない?)話。高橋幸宏さんが‘好きな映画’として挙げていらっしゃったのを、昔読んだ記憶があります。Jean-Claude Vannierが編曲を担当していて、ジョアンナのさり気ない歌唱も好感度大。この曲は「TWIST AGAIN AU CINE 2」というオムニバス・アルバムでCD化されたこともあります。
ミレイユ・ダルク
MIREILLE DARC
 基本的には60年代の女優ですね。70年代はもっぱらアラン・ドロンの恋人というだけが話題で、彼の映画に添え物出演。それと日本じゃ日曜洋画劇場の合間のレナウンのCMがあったけど、これもドロンのダーバンとワン・セット?あ〜、もったいな〜い。主演でもっとどんどん活躍して欲しかったです。このアルバムは1968年発売ですが、日本では1977年にレナウン提供の写真をカバーにして、「恋をうたう」のタイトルで出ました(再発?)。ドロンと別れたあと「ソフィー 遅すぎた出会い」(1989年)という映画で監督デビューもして、その確かな演出力で、映画を観た者(僕のこと)を感心させました。歌の方はというと‘一発録りで済ませました’みたいな、勢いが魅力かも。ところで、アルバムの最後に<WEEK-END>という歌が収録されていますが、残念ながら同名映画で有名なあの“アタシのエルメスがぁ〜〜!”の叫びは入っていません。
マルレーヌ・ジョベール
MARLENE JOBERT
 日本ではいまだに故チャールズ・ブロンソン共演の「雨の訪問者」(1970年)の女優ってイメージだけのマルレーヌ・ジョベール(つ〜か、日本公開作がないけど、映画に出てるの?)。これは1986年のアルバムで、作詞も全曲で彼女が手掛けています。作曲はエルザ(Elsa 日本では<哀しみのアダージョ(彼と彼女のソネット/T'EN VAS PAS)>のヒットで知られる)の父、ジョルジュ・ランギニ。そうマルレーヌはエルザのおば様にあたるのですね。今聞くとかなり80年代サウンドですが、意外とカワイイ優しい声で歌ってて、なかなか良いですね。
メリナ・メルクーリ
MELINA MERCOURI
 ギリシャ出身の国際女優メリナ・メルクーリの1971年のアルバム。メリナは映画「日曜はダメよ」(1960年)「トプカピ」(1964年)などの中でもよく歌っていました。このアルバムは、ギリシャ語で歌われる映画「死んでもいい」(1962年)のテーマ1曲を除き、あとは全てフランス語による歌唱。でも、サウンドがかなりギリシャ風に聞こえるのは、やっぱりギリシャの曲が多いのとあのギリシャの弦楽器の音が印象的だからでしょうか。他には、日本でも<オー・シャンゼリゼ>で知られるジョー・ダッサン(ジュールス・ダッシン監督の息子で、メリナの義理の息子にあたる)の曲もいくつか収録されています。もちろんメリナのことですから、主張のある、いわゆる‘闘士の唄’も当然入っている(このジャケ写真の激しさを見よ!)のですが、同時に聴いて楽しめるアルバムにもなっています。ギリシャ語で歌ったものももっと聴いてみたくなりました。なお、メリナさんは1994年にお亡くなりになっています。
ベティ・デイヴィス
BETTE DAVIS
 このレコード、中古屋さんで見つけて喜んだんだけど、買った後で調べてみたら(2004年現在)CDでも出てるじゃん(涙)。一番の狙いはやっぱり「何がジェーンに起こったか?」のあの曲。こちらのミス・デイヴィスからとって名づけられた、同じ名を持つあのディヴァイン・ミス・Mの映画「ローズ」(1979年)でも使われましたね。このアルバムは1976年のものなので、もちろん(サントラではなく)再録なんですけど。収められているのは、ベティ・デイヴィス自身の映画からの曲や、「イヴの総て」のスピーチ(爆)の他に、いわゆる当時のポップス!バフィー・セント・メリーの<別れの時まで>やポール・ウィリアムスの<LONELINESS>…。それが、さすが大女優だけあるわ〜!説得力のある表現でちゃ〜んと‘聴かせる’レコードになっているんですよ。ラストはシャルル・トレネのシャンソン<残されし恋には>の英語カヴァー<I WISH YOU LOVE>で美しく締めていらっしゃいます。‘ベティ・デイヴィスの瞳’にまいったか!
ラクェル・ウェルチ
RAQUEL WELCH
 ポール・ジャバラのページでも以前紹介したラクェルの12インチ・シングル<THIS GIRL'S BACK IN TOWN>(1987年)。プロデュースはMichael ZagerとBob Estyで、ラクェル自身が追加歌詞を書くという熱の入れよう。カバー写真はグレッグ・ゴーマン。このシングルに関しては、結構楽しめるんではないでしょうか(アルバム1枚作れるかどうかは未知数)。かなりセクシーなお声を出していらっしゃいます(でも、本人は単なる‘セクシー女優’扱いされると激怒なさるそうなので、気をつけて!)。そういえばラクェルはジュリー・アンドリュースのブロードウェイ舞台「VICTOR / VICTORIA」を、ライザ・ミネリに続いて、引き継いだのですよね。すぐクローズになった模様ですが。ラクェルの男役、観てみたかったです。「The Stepford Wives」(2004年) 「イン&アウト」(1997年)「ジェフリー!」(1995年) 「アダムス・ファミリー2」(1993年) のゲイの脚本家ポール・ラドニック(Paul Rudnick)とも、とても仲がいいというラクェルは、例の性転換映画を出すまでもなく、やっぱりゲイ・アイコンの1人だす。
スーザン・ジョージ
SUSAN GEORGE
 ジャック・ジョーンズ(Jack Jones)のアルバム「TOGETHER」(1973年)で、カーリー・サイモンの<幸福のノクターン/THAT'S THE WAY I'VE ALWAYS HEARD IT SHOULD BE>の曲目を見つけた時は“ヘテロの男がこの歌をうたうんかい?”と思いましたが、レコードを聞いてみたら、歌ってるのはほとんど英国女優のスーザン・ジョージじゃありませんか。同アルバムの<愛のプレリュード>は2人のデュエットだと知ってましたが、このカーリーの曲を男女2人で歌うアイデアはなかなかですね。スーザンの歌声は、なんとも可憐でとっても素敵ですし…。ジャックとスーザンは4年間付き合っていて、一緒に暮らしていた事もあるとか。裏ジャケに仲良さそうな2人が写っているこのレコードを聞く限り、選曲も選曲だし、2人は結婚間近のようにラヴラヴ(死語)なんですが、ジャックの翌1974年のアルバム「HARBOUR」になると、スーザンはカバー写真に再登場こそしているものの(ヴォーカル参加はナシ)、表ジャケは頭だけで顔はわからないし、裏ジャケでは2人手はつないでいるものの、去り行く姿だし…。おまけにピーター・アレン作のアルバム・タイトル曲の歌詞が、‘I'm not your harbour anymore’だって。この一年の間に何があったのか?スーザンはその後1984年に「ナイル殺人事件」(1978年)の英国俳優サイモン・マッコーキンデル(Simon MacCorkindale)と結婚。現在は夫婦で映画の製作も手掛けていらっしゃるようです。
ファラ・フォーセット
FARRAH FAWCETT
 ムフっ、こんなレコードが出てた事、日本じゃ誰も知らないんじゃないかな?発売は1977年、'ファラ・フォーセット・メジャース'時代(ジャケの表記をチェックせよ!)ですからね。雑誌「バラエティ」1978年2月号67頁で、このシングル盤の存在を知った当時から、密かに気になってたのです。そして先日ネットで検索してとうとう見つけてしまいました。配給がマイアミのT.K.プロダクションズというのも興味をそそります。実際は'歌う女優'というより'歌わない(歌ってない)女優'のレコードで、フランスの歌手ジャン=ポール・ヴィノン(JEAN-PAUL VIGNON)がフランス語で歌う<YOU(TOI)>という曲に合わせて、ファラが英語に翻訳した歌詞を、色っぽい声で語っているというだけのもの。ファラったら、お声がとってもかわいいですぅ。ファラといいブリジット・ニールセン(爆)といい、ヘテロ男の為に'能無しセクシー女'をレコードでも見事に演じきる女優魂には、ホント頭が下がります。気に入りました、この音盤!!ところでアナタ、‘ファラ現象’の実体験者?(2004年10月6日)
オリビア・ハッセー
OLIVIA HUSSEY
 '薔薇より美しい'お方、オリビア・ハッセーさん。アルゼンチン生まれだそうで、70年代には日本でも人気がありましたね。1973年の失敗ミュージカル「失われた地平線」では、バカラックの難曲を2曲ほど、かっちりと歌っておられました(吹き替えじゃないでしょうね?)。このシングル盤は1979年に発表されたもので、AB両面とも安井かずみ・加藤和彦ご夫妻作。もちろん日本語で歌われています。編曲を大御所DAVID CAMPBELL氏が担当していて、どおりでストリングスが超豪華。B面のボサノヴァ調<アラベスク>がとってもグーですよぉ。A面の<メランコリー・カフェ>は、翌1980年には岡崎友紀さんのカヴァー(タイトル表記は<メランコリー・キャフェ>)が出て、こちらは'ヒステリック・タンゴ'とでも言える仕上がりでしたが、オリビアのはもっと、ゆったりとノスタルジックで、不安定な歌唱と共により印象深い出来となっております。しかし、この後の、‘フランコ・ネロを捨てて例の日本の歌手と結婚してしまった’という選択誤りはどうよっ?(2004年10月6日)
立木リサ
LISA TATSUKI
 立木(現:秋川)リサさんと今野雄二さんのデュエット曲(1977年発売)。このレコードずっと探してたんですよ、25年間ぐらい。やっと(今年2004年に)見つけました!両面とも作詞は安井かずみさんです。A面の<気分を出してもう一度>は他に3つほどカヴァー・ヴァージョンがあり、最近もひとつ新しいカヴァーが出た模様…。僕がリアルタイムで聴いていたのはラジ(Rajie)のもので、当時から大好きな曲でした。B面の<20才のころ>ですが、安井かずみさんのご本を読むと、まさしくこの歌詞のような生活をされてたようなのでいいんですが、この2人の歌で聞くとかなりうそっぽくて赤面。まあもともと歌唱云々というものではないですし、こういった大人のお遊び企画を素直に楽しんでしまいましょう。これももう四半世紀近く前になりますが、安井かずみ・加藤和彦ご夫婦、今野雄二さん、どちらもなんばシティにトーク・ショウでお越しになり(またローカルねた)、高校生の僕も聞きに行きました。彼らカッコ良かったですよね〜。今野さんとは2ショット写真まで撮っていただきました。
岩下志麻
SHIMA IWASHITA
 10年程前、映画「ミナ」(1993年)の話から、友人でフレンチ・ポップス好きの中映さんとダリダ(Dalida)の<18歳の彼/IL VENAIT D'AVOIR 18 ANS>の話になりました。ダリダって、その芝居がかった歌い方やケバくて過剰な衣装&容姿がドラァグ・クイーンみたいなんです。ほら、映画「ペダル・ドゥース(淫らな夜 パリ・マレ地区編)」(1996年)でも彼女の歌フィーチャーされてたでしょ?で、中映さんが言うには“<18才の彼>は岩下志麻が歌った日本語ヴァージョンがある”って(笑)。彼は歌詞まで覚えていて、その時ちょっと歌ってくれました。それでこれは是非手に入れないと!と思いながらも月日は経ち、先日、何気にネット見てたら、2001年にCDで再発されているのを発見。ゲットしてしまいました。1975年の作品で「炎のごとく」というアルバム・タイトルは、ジャンヌ・モローを意識?志麻さん、歌はほんのちょっとで、語りが中心のアルバムですが、音楽が、ルグラン、ゲンスブール、アズナヴール他…、映画の主題歌も色々、すんごい欧露巴浪漫な世界を展開しておられます(激爆)。キャンピィなものがお好きの方は、今すぐ手に入れることをお勧めします。廃盤になってから泣いても遅いゾ!(なお、ディレクターが森直美さんという方で、藤真利子さんのアルバムと同じですね。)
藤真利子
MARIKO FUJI
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