辞書・事典における漬け物関連の単語の定義

2002年2月作成

番号 文献名 つけもの こうのもの こうこう おこうこう こうこ おこうこ しんこう しんこ おしんこ
1 岩波国語辞典 野菜を塩・糠などに漬けた物。香の物。 野菜を塩・糠などに漬けた物。漬け物。しんこ。

香の物。漬け物。「こうこう」とも言う。

新しい漬け物。また一般に、漬け物。「しんこう」の転。 香の物。漬け物。
2 新潮国語辞 野菜類を塩や味噌・糠などに漬けた食品。香の物。 @味噌漬け。A野菜の漬け物。こうこう。 香の物。漬け物。
こうこう。漬け物。
⇒しんこ @新しい香の物。新漬け。A香の物。漬け物。こうこ。しんこう。
3 新明解
国語辞典
野菜を塩・糠・味噌・酒粕などに漬けた食品。香の物。 (「香」は味噌の古名。)「漬け物」の美称。

(「香香」の変化)「香の物」の意の口語的表現。
(もと、新漬けの香の物の意)「漬け物」の美称。 「しんこう」の口語的表現。「お―」
4 学研国語大辞典 野菜を塩・糠・味噌・酒粕などに漬けた食べ物。香の物。特に、わが国は種類が豊富。 野菜を糠・塩・味噌・酒粕などに漬けた食べ物。漬け物。こうこ。しんこ。 生の野菜を糠味噌・塩などに漬けた食べ物。漬け物。香の物。おしんこ。こうこ。
⇒こうこう
(「新しい香の物」の意)漬け物。香の物。こうこ。おこうこ。しんこ。 ⇒しんこう 香の物。漬け物。
5 広辞林 野菜などを、塩・糠みそ・味噌・麹などに漬けた物。香の物。 食品の名。野菜を、糠・塩、あるいは、味噌・粕などに漬けた物。こうこう。つけもの。

漬け物。こうこう。
⇒しんこ @新しい香の物。A香の物。こうこ。漬け物。
6 国語
大辞典
言泉
野菜を塩、糠、味噌、麹などに漬けた食品。香の物。 (「香」は味噌)古くは味噌漬け、のちには糠、塩、粕などに漬けた野菜類をいう。漬け物。おこうこ。たくあん (「香の物」の「香」を重ねたもので、もと女房詞)生の野菜を、糠みそや塩に漬けた食品。味噌漬けや沢庵漬けなどもいう。漬け物。こうこ。 (「おこうこ」とも)野菜の漬物をいう女房詞。 ⇒こうこう
⇒しんこ (「新香」の転)新しい香の物。また、一般に漬け物。おしんこ。 野菜の漬け物。香の物。
7 辞林21 塩・酢・味噌・麹などに漬け込んだ貯蔵食品の総称。特に、野菜を塩や糠みそなどに漬けた食品。香の物。 漬け物。新香。 香の物。漬け物。
香の物。漬け物。こうこう。
⇒しんこ (「しんこう」の転)新しい漬け物。漬け物。おしんこ。こうこう。 香の物。しんこ。
8 広辞苑 野菜などを塩または糠みそなどに漬けて、ならした食品。香の物。 野菜を塩・糠などに漬けた食品。漬け物。こうこう。 香の物。漬け物。
香の物。漬け物。
⇒しんこ 新しい香の物。新漬け。また一般に、香の物。漬物の称。こうこう。しんこう。
9 日本語
大辞典
野菜などを塩・味噌・糠・麹・酒粕・酢などに漬けた食品の総称。漬け込む期間により浅漬け、古漬けなど。香の物。おしんこ。 pickles (「香」は、味噌の古名)漬物の別称。昔は味噌漬けに限ってよんだ。香々。漬け物。しんこ。 香の物。漬け物。こうこ。
(「こうこう」の転)香の物。漬け物。 pickles

(「しんこう」の転)香の物。漬け物。おしんこ。 pickles
10 大辞泉 主に野菜を塩・糠・味噌・麹・醤油・酢などに漬けた物。香の物。 野菜を塩・糠・味噌・酒粕などに漬けた物。漬け物。おこうこ。 漬け物。香の物。こうこ。 「香香」の丁寧な言い方。漬け物。香の物。おこうこ。 (「こうこう」の音変化)漬け物。

(「しんかう」の音変化)新しい香の物。新漬け。また一般に、漬け物。こうこう。こうこ。おしんこ。
11 大辞林 塩・酢・味噌・麹などに漬け込んだ貯蔵食品の総称。特に野菜を塩や糠みそなどに漬けた食品。香の物。 漬け物。新香。 香の物。漬け物。こうこ。 香香を丁寧にいう語。おこうこ。 (「こうこう」の転)香の物。漬け物。
⇒しんこ (「しんこう」の転)新しい漬け物。漬け物。おしんこ。こうこう。 香の物。しんこ。
12 国語
大辞典
野菜を塩、糠、味噌、麹などに漬けた食品。また、肉、魚介類を塩や醤油などに漬けた物もいう。香の物。 (「香」は味噌)@古くは味噌漬け、後には糠、塩、粕などに漬けた野菜類をいう。漬け物。おこうこ。A特に大根漬け。たくあん。 (「香の物」の「香」を重ねたもので、もと女房詞)生の野菜を、糠みそや塩に漬けた食品。古くは味噌漬けをいい、また沢庵漬けをいう場合もある。漬け物。こうこ。 大根の漬物をいう女房詞。香の物。お新香。 (「こうこう」の変化)香の物。漬け物。こうこう。 ⇒おこうこう ⇒しんこ (「しんこう」の変化)新しい香の物。新しい漬け物。また、広く一般に、漬物をさしていう。おしんこ。こうこ。 野菜の漬け物。香の物。
13 日本国語大辞典 塩・味噌・醤油・麹・糠・調味液などに漬け込んだ食品。広義には肉、魚、貝なども含むが、一般には野菜を漬けた物をいう。香の物。 (「香」は味噌)@古くは味噌漬け、後には糠、塩、粕などに漬けた野菜類をいう。漬け物。おこうこ。A特に大根漬け。たくあん。 (「香の物」の「香」を重ねたもので、もと女房詞)生の野菜を、糠みそや塩に漬けた食品。古くは味噌漬けをいい、また沢庵漬けをいう場合もある。香の物。漬け物。こうこ。 (「お」は接頭語)大根の漬物をいう女房詞。こうこう。香の物。お新香。おこうこ。 (「こうこう」の変化した語)香の物。漬け物。こうこう。 (「お」は接頭語)「おこうこう」に同じ。 「しんこ」に同じ。 (「しんこう」の変化した語)新しい香の物。新しい漬け物。また、広く一般に、漬物をさしていう。おしんこ。こうこ。 (「お」は接頭辞)野菜の漬け物。香の物。
14 岩波古語辞典
かうのもの[香の物・糠の物]野菜を味噌・酒粕・糠・塩などで漬けた食品。近世、食後に湯を飲むときに必ず用いた。






15 江戸語
大辞典

(香は味噌の称)古くは味噌漬けをいい、後には糠・塩・粕などで漬けた漬け物一般をもいうようになった。漬物の総称。 漬け物。味噌漬け・酒糟漬け・糠漬け・塩漬け等の総称。香の物。





16 角川古語大辞典
かうのもの[香物]野菜の漬け物。「香」は味噌の異称であることから、古くは味噌漬けの意であるが、味噌・酒粕・糠・塩などで漬けたもの、すべてにいうようになった。後にはもっぱら沢庵漬けをさしていう。こうこ。 かうかう[香香]@「かうのもの」と同意。上方ではもっぱら、大根の塩糠漬けをいう。沢庵漬け。A転じて、野菜の漬物を広く、この名でいう。漬物の総称。





17 女性語
辞典

かうのもの。初めは大根の異名。のち大根の漬け物の異名。〈中略〉しかし大根にはすでに「から物」という女房詞があって広く用いられていたため、宮中にわずかに行なわれたのみで、民間には「大根の漬け物」としてこの語が広く普及し、はては一般語となって、男性も使うようになった。〈後略〉






18 暮らしのことば語源辞典

漬け物。古く野菜の漬け物を意味した「香の物」の、語頭のコウを重ねた女房詞から出た語。コウコ・オコウコという方が一般的。現在は塩漬け・糠漬け・味噌漬けいずれについてもいうが、古くは特に味噌漬けを意味した。それは「香」が女房詞で味噌を意味したからである。近世、上方ではとくに沢庵漬けをさす。





19 上方ことば語源辞典




[「オコーコノタイタン」の項より抜粋]オコーコは沢庵漬け。コーコともいう。香の物の香を重ねた。女房詞にもとづく。


20 角川類語新辞典 野菜を塩・糠などに漬けた物。(日常語) 漬け物。(文章語)

野菜を塩・糠などに漬けた物。「こうこう」とも。(口語)

漬け物。新漬けの香の物。「しんこう」とも。(日常語)
21 料理食材大事典 保存食品の一つ。主として野菜を、塩・酢・味噌・醤油・砂糖・酒・酒粕・米糠・麹などの、一種から数種で漬けた物。〈略〉現在では貯蔵の意味合いは薄れ、風味を楽しむ野菜料理として食卓に登場する。〈後略〉 漬け物の別名。重ねて香々ともいう。味噌のことを香、味噌汁を香の水を呼んだことから、昔は味噌漬けに限ったが、現在は広範囲にすべての漬物をさす。




[「つけもの」の項より抜粋]短期間漬けるもの(新漬け)は新香で、漬け物の別称となっている。
22 世界
大百科
事典
野菜・果実・魚貝・鳥獣肉などを、塩・味噌・醤油・酢・酒粕・麹・米糠などで作った漬床、あるいは調味液に漬け込んだ食品。〈略〉材料の風味の良化とともに、多収穫時の防腐貯蔵、凶作時などに対する備蓄を要因として発達してきた。〈後略〉 [「つけもの」の項より抜粋]味噌の異名を「香」というところから、本来は味噌漬けをいった言葉とされるが、漬け物の総称として使われるようになり、香香、新香、おこうこ、おしんこなどとも呼ばれるようになった。






23 日本
大百科
全書
塩・糠・酒粕・醤油・酢・味噌などの副材料を用いて、野菜、果実などの植物性食品、あるいは魚貝、肉、卵などの動物性食品を発酵させるか、味をなじませたものである。微生物による発酵を利用するものとしないものがある。〈後略〉
[「つけもの」の項より抜粋]聞香で、嗅覚の疲れを癒すために大根などの塩漬けの香を聞いたことからこの別称が始まったという。また、種々の物を食べるとき、生大根(季節外にはその漬け物)を間に食べて、その香で口中の臭気を消したことによるともいう。〈中略〉ナスやウリなどの漬け物は、香の物といわず類香といった。香の物は本来味噌漬け限るという説もある。味噌を女房詞で「香」といったところから、この呼称が出たという。






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※用例は省略した。送り仮名や漢字などの表記は必ずしも各文献の記述どおりではない。
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※「⇒○○」は、「同じ辞書の○○の項を見よ」の意味。

               ■使用した辞書・事典■
               1. 『岩波国語辞典 第2版』 岩波書店, 1971
               2. 『新潮国語辞典 改訂』 新潮社, 1974
               3. 『新明解国語辞典 第4版』 三省堂, 1989
               4. 『学研国語大辞典』 学習研究社,  1978
               5. 『広辞林 第5版』 三省堂, 1978
               6. 『国語大辞典 言泉』 小学館, 1986
               7. 『辞林21』 三省堂, 1993
               8. 『広辞苑 第2版』 岩波書店, 1969
               9. 『講談社カラー版 日本語大辞典 第2版』 講談社, 1995
               10.『大辞泉』 小学館, 1995
               11.『大辞林 第2版』 三省堂, 1995
               12.『国語大辞典』 小学館, 1981
               13.『日本国語大辞典 第2版』 小学館, 2001
               14.『岩波古語辞典』 岩波書店, 1974
               15.『江戸語大辞典』 講談社, 1974
               16.『角川古語大辞典』 角川書店, 1982
               17.『女性語辞典』 東京堂, 1967
               18.『暮らしのことば語源辞典』 講談社, 1998
               19.『上方ことば語源辞典』 東京堂出版, 2001
               20.『角川類語新辞典』 角川書店, 1981
               21.『料理食材大事典』 主婦の友社, 1996
               22.『世界大百科事典』 平凡社, 1988
               23.『日本大百科全書』 小学館,1987