◆室生寺(奈良県)

このお寺には、興味深い伝承があります。
そもそもこのお寺は、8世紀の末ころ興福寺の僧が勅命によって建立したことになってます。
が、一説には天武天皇の刺願によって役行者が開き、のちに空海が再興したとも伝えらています。
時代考証をしては、ちょっとずれ過ぎているわけで、なんでお寺ひとつでこんな面倒なことになっているんでしょうか。いずれにしても、後の話としては、ご多分に漏れずこのお寺も真言宗に飲み込まれるわけで、真言宗といえば空海という短絡的な発想がなかったとは言えないのでしょう。パンフレットには、非常に密教的な「雰囲気」がこの環境にあったのかも、などとありますが、まあ、これもちょっと苦しい。

それにしても空海と言えば、あの「高野山」を開山したヒトで、同じ?真言宗でも片や「女人禁制」、此方「女人高野」っていうですから、その政治的手腕は恐れ入ります。(どっちが本心なのかなぁ。)

ところで、ここは「石楠花」で有名です。ともかく、うんざりするほど花が咲き乱れています。
が、ボクは「金堂」に一列に並べてある「十二神将」に度肝を抜かされました。鎌倉時代のものだそうですが、正直言って、こんなところで運慶(解説による)の作品を見ることができるなんて驚きです。どっから持ってきたのかなぁ。(^^;;<コラコラ

「十二神将」の後ろにある薬師如来、地蔵菩薩、文殊菩薩、十一面観音(いずれも平安初期)もなかなかです。平安初期のものだそうですが、いったい、いつ頃並べられたのでしょうか?

そうそう、忘れてはいけないのが、「五重塔」。天平年間のもので、あの弘法大師が一夜城ならぬ一夜でこしらえたと言われています(ま、お話として)。2年前の台風で一夜にして崩壊してしまいましたが・・・。

総じて、このおのお寺には尊厳さを感じさせます。周辺の環境がなせる技なのかも知れませんが、盆地にある他の奈良のお寺とは、ちょっと違った趣があります。ちょっと残念なのは、お土産屋さんが少ないことかな。(^^;;

2000/4/30


室生寺門

駐車場(有料¥600)は、わりと広めです。歩いて5分でこの大きな門に到着。

両側には、「あ・うん」の像。
ま、わりとポピュラーですね。


入ってすぐの階段を登ると、両側に「石楠花」が咲き乱れています。

境内は木々で鬱蒼としていて、なかなか趣もあるし、尊厳さをかもしだしています。

奥に見えるのが「金堂」です。

 

「金堂」(国宝)。ここまでは、女性でいえばハイヒールでもOK。
周りの杉林も、そこそこ年輪を感じさせます。この右側に「五重塔」があるのですが、残念ながら2年前の台風で壊滅状態。未だ復旧の目途がたっていません。

 

この石段は、「金堂」の左横から入る「奥の院」までの道です。

階段数は450段とそんなに多くありませんが、何しろイッキの登りです。

胸突き八丁という言葉を思い出します。
階段を登りきったところにある奥の院「御影堂」。

面白いのは屋根のてっぺん。
石でできた「露盤」ってのがあります。
建築的に言って、これは珍品の部類になるのではないでしょうか。